アルファロメオ 159を考える・その3
およそ全ての自動車には、モデル固有の運転リズムがある。そのクルマが一番ストレスなく動作する所作があって、運転手はそのリズムを見極めて運転してやるべきで、評価もその状態でどうなのかという基準で下さないとおかしい。偉そうに書いているが、30代の終わりくらいからぼんやりと気付いてはいたが、言語化できたのはつい最近のこと。普段運転しているクルマの操作リズムと真逆とも言えるキャラクターのクルマを(代車でだが)運転する機会を重ねたからだ。
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159の旋回はその加速動作と対になっていて、するするクイックに……では決してない。まず自分で運転して最初に驚いたのがハンドルの反力。重いのだ。こういう話をする時に筆者のライブラリとして語ることができるのは同門のMiTo、アバルト プントエヴォ、そしてマツダ NC/NDロードスターということになる。どのクルマもスポーツドライビングを標榜しており、旋回動作はあくまでも少々速い速度域にも俊敏に、ストレスなく対応できるように調律されていた。その印象に「重い」という単語は一切縁が無い。だが159は違う。早い話が真逆である。微舵域のスムースさや100km/h付近の適切なアシスト量と路面情報の豊富さにはピンと来るものがある。159のパワステ、油圧式じゃねーの??
はっきりと油圧アシストと解った上で運転したクルマはあおさんのかつての愛車プジョー 206SW S16とミュージシャン仲間KさんのBMW 135iクーペ、そして1年弱だけ我が家にいたNCECロードスターだけなのだが、ぼんやり運転しててもありゃわかる。と書いていて「159、実は電子制御でしたー!」なんて恥はかきたくないのでググったら、思った通り油圧だった。うむうむ。ですよね。もっともGoogleの検索結果は159油圧パワステの様々な種類の故障と修理事例のオンパレードだったが……。
159の運転席に座ってハンドルを見れば「でかいクルマのハンドルはでかいんだな」と直感するレベル。で、実際の操作に対する動作は前々段に書いたとおり。微舵域の動かし始めのウルトラスムースさは今でも「お!」と破顔してしまうし、速度を上げても下げても路面情報やタイヤが今どれくらいどっちを向いているかが伝わってくる。
どっしり構えて回るハンドルと緻密な開き方のAペダルの挙動を合わせて考えると、159は慌てて入力操作をすべきクルマではないということが自然と解る。そうかそうか、そりゃそうだよなと運転を重ねている時にふと気が付いた。そもそも159はTシャツにドライビングシューズで運転するようなクルマじゃない。基本的にカジュアルよりもフォーマルな場面を想定して調律されているんじゃないか。実際にソール厚めの靴で運転してみたところ、特にAペダル開度の調整はこっちの方が楽だった。神経質にならずにすむ。厚底というフィルターを咬ませるくらいでちょうど良い。そういうペダル操作があって初めてステアリング機構の緻密さもちょうど良く味わえるのだ。そして制動性能も当然これらの挙動に沿ったものになっているのだった。
「アルファロメオ 159を考えるシリーズ」
その1 運転環境
その2 加速
その3 旋回(本稿)
制動
その他
おまけ:159が思いがけずフィーチュアリングされた下記の映像のような運転は、だから本懐ではない。でも2台も出てくるから嬉しい(笑)。プロドライバーって凄いですね。
オルガ・キュリレンコはかわいいんだが脱がねえし……
お久しぶりです。
MitoやロドスタのMT車に乗ってた頃は底が薄いスニーカーやドライビングシューズの出番が多かったものです。
今は通勤グルマはスバル/R2ですしケイマンはMTですがごんぶとトルクのおかげで頻繁にクラッチ操作する車でもないので、ソール厚めの革靴ばかり履いております。最近履いてないネグローニは靴箱の隅で朽ちつつあるかも…
懐かしい。このシーンだけ何度も再生してました。グレイク氏はATしか運転できないそうですね。確かアストンDBSは実車3台オシャカにしたって何かで読んだ覚えがあります。
Mitoをお譲りした喫茶店のオーナーがお母様の車を乗り継ぐことにしたのでMitoを処分することにしたと連絡がありました。譲渡後も特に大きな故障もなかったとのことで『毎日、乗らせてくれたミトには、感謝しかありません』とメッセージをいただきました。
きちんと設計されたクルマには意図が込められており、それに沿った服装や靴選びまで求めてくるというわけですね。いやいや、お久し振りです。今年もよろしくお願いいたします。
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今は亡き当ブログの技術顧問T君が一時期R1に乗っていて「プントっぽいんですよ、これ。鉄仮面プント」と言っていってホントかなぁと思ったものです(笑)。今R1は滅多に見かけませんが、R2を見かけるたびに「あぁ、運転してみてえ」と思います。家人がヴィヴィオに乗っている時も全く真価がわかりませんでしたが、ガチダートラ競技の人だと「あれ一択」だそうで。まぁウチのはCVTだったしな。
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慰めの報酬のアヴァンタイトル、159は5台用意して全部オシャカになった……んじゃなかったかな。あんな風に扱うなら1台オレにくれぇ!と思って見てました、劇場で(笑)。
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譲渡MiTo、健気ですねぇ(泣)。やっぱりちゃんと走り込んだ固体は壊れないんですね、きっと。オークション経由ででサーキット専用車になったというウチの子は今も生きているんだろうか……。もうダメだろうな。
本文の内容とリンクしていなくて恐縮なのですが。
「でかいクルマのハンドルはでかいんだな」ですが、うちのABARTH 595、ハンドルがデカく感じるのです。MTだからこれよりもシートを前にしており、そのせいでハンドルに近づいているからでしょうか。でかいんだ。
逆に4Cは小さく感じます。ただでさえ重ステなのに。小さいから余計に重いじゃないかー、と駐車のたびに毒付いております。実際にはどのくらい大きさが違うのか、測ってみたいものです。
メジャーひとつでさっくり測れるじゃないですか!ぜひ数値公開してください。Hanakoのハンドル径も測っておけば595と違うのかわかってこれも面白かったと思います。
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ハンドル径の大小も大事ですが、ロックトゥロックの数値も参考になると思うんです。で、実はこのエントリーのために159のハンドル回して測ってみたら約2.5回転だったんです。え?っと思って。これめっちゃクイックじゃん、と。古のシトロエンかよみたいな。ロックトゥロックってどうやって測るのが正解なんかなぁ。仮に2.5がクイックだとして、159の旋回動作の印象とは真逆なんです。これはどう考えればいいのか。
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確かに4Cは径が小さいと毎度運転席に座るたびに思いますが、あれより大きいと乗れない降りられないとか別の不具合が起こるんじゃありませんか(笑)。