気仙沼冬の旅・女主人の慰安旅行

アルファロメオ 159を駆って登米市、気仙沼市へ出かけてきた。昨年秋口から超多忙を極める曉スタジオ女主人慰労のための一泊旅行である。女主人の愛車シトロエン C3ではなくバトラー君こと159になったのはもっぱら筆者の都合で、市街地ばかりを這いずり回っていてはシリンダー内にカーボン屑が溜まるのでは?というJTSエンジン特有の心配から。E45三陸沿岸道路(三陸自動車道)をかっ飛ばしてシリンダー内部浄化を目論んだわけだ。実際のところ石巻以北がほとんど対面通行となるE45では気休めにしかならないとは思うが、気は心と言うじゃないか。

結論から言うとこの旅行はほとんど100点満点とも言える出来で、訪れた場所も食べ物も非常に良かった。備忘録として書いておくが、クルマブログの内容としては薄いものなので、自己判断で読み進めていただきたい。

例によってE45鳴瀬奥松嶋ICまでは下道、仙台市、大和町、大郷町、東松島市などの自治体を縫うように走る。何度も掲載しているが、GoogleMapで経路を示す。

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例によって矢本PA(下り)で休憩

●1日目●
初日最初の寄港地は登米市東和町米谷にある「不老仙館」という歴史的建造物。マニアである女主人の探索網からも漏れていた物件だが、筆者はアルファロメオ MiTo時代(2009-2018)、宮城県北部内陸の道路修行として頻繁にひとりツーリングを繰り返していた頃から存在だけは知っていた。

米谷到着はちょうど昼頃。この日の晩ご飯にスペシャルなお店を予約していた都合上、遅めの昼食や食べ過ぎはもっとも避けたい事態。そこでまずは腹ごしらえ。お目当ての店は「食堂ながれ(登米市東和町米谷ぜん荷66-6)」さん。不老仙館の2軒お隣りの小体な町の食堂である。GoogleMapで調べて白羽の矢を立てた。小体なお店だが地域の人にとって大事なお店らしく、ワンオペのおかみさんをお客さんがフォローする場面もありほほ笑ましい。麺類オンリーなのがちょっと残念だが、おかげで注文が通ればものはすぐ出てくる。そしてうまい。筆者はチャーシューメン、家人が味噌ラーメン。スープ、麺、具材、どれもいちいち抜かりないものだった。どちらも800円。そりゃみんな通うよなぁ。ごちそうさまでした。

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チャーシューメン
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こちらは女主人が発注した味噌ラーメン

腹ごしらえのあとはいよいよ不老仙館へ。このブログで文字数を費やして解説を書くことはしないが、ろくなネット情報がない。事前情報として最低限のものがこちら。

登米市公式サイト観光情報内「【東和町エリア】不老仙館」

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係員のおばさんから熱烈歓迎を受ける。あまりの熱烈ぶりに話がどんどん脱線していくのはご愛嬌。肝心の建物、調度などは圧巻のひとこと。一方で掛け軸などの各作品の解説こそ丁寧だが、「あるものは全部並べますよ!」的展示になってしまっていて、つまりキュレーションが為されていない。もう少し見所を絞るか分類などしっかりやってくれると見学者の理解もより進むと思う。無類の歴史的建造物マニアである曉スタジオ女主人によれば、建具からガラス、外塀に至るまで見所は無限にあるという。

不老仙館を後にして、南三陸町まではR398をのんびり走る。途中かわいらしい「入谷簡易郵便局(本吉郡南三陸町入谷中の町196-1)」を外から見学し、志津川ICから再びE45へ。少し時間は早いが気仙沼入りして宿にチェックインしてしまうことにする。今回の宿は「サンマリン気仙沼ホテル観洋」。

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チェックイン後はすぐに大浴場へ。風が強いお陰で天気は快晴。青空と気仙沼の海を見ながら浸かる広い風呂、最高ですな。ただもうちょっとお湯が熱くてもいい。

旅行初日最大のハイライトである夕食。筆者だけでなくEDOメンバー全員が崇拝する「ゆう寿司バイパス店」に予約時間ぴったりに入店。大将おまかせで順に握ってもらうことにする。

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あれを握ってくれこれを握ってくれとお願いすることはもうほとんどない。お奨めを口に運べば脳内が快楽物質で満たされる。ひととおり握ってもらったあと、それでも2月に気仙沼に来たらこれを食べなきゃというネタ、他にないですか?と訊いたら、白子のヅケをお奨めされた。待つこと20分くらい(その間もリピートネタを次々握ってもらった)、ポン酢おろしと柚子皮一かけらを乗せた軍艦巻きで供された(この柚子も気仙沼大島産)。この日のどのネタも飛び切り美味かったが、この白子ヅケはその全てをかっさらって行った。もう少し暖かくなって漁場の顔ぶれが入れ替わる頃、また来たい。

夢見心地で宿に戻り、寿司の味を反芻しながらもう一度入浴。日付が変わる頃に布団に入った。


sunrise
窓からローマは見えないが、
気仙沼湾と魚市場が見える。
旅行二日目の朝、
大島の向こうから朝日が昇るところ

●2日目●
筆者は旅館の朝飯を食い過ぎてしまうという不治の病に罹っており、ホテル観洋の朝食でも当然のごとく発病。や、でも朝ご飯からまぐろとメカジキのぶつ切り刺身とか塩鮭焼きとか煮物とかおひたしとか、それだけ並べてご飯の量を抑えなさいよなんて、無理筋も無理筋じゃないですか。しかも刺身はともかく、ごはんもおかずも御代わり自由ですよ?久しぶりに朝から消化剤を呑む羽目になった。

breakfast
メカジキカレーなんて食べるから
すぐに腹が膨れるのだ!
salmon and baked egg
「あぁ、よくあるホテルの朝食ブッフェね」と
言うなかれ。
一品一品が地味溢れ美味い

宿をチェックアウトし、気仙沼市内の歴史的建造物を見にいく。ただしこの日は特定の建物を見学するのではない。街区そのものが見所満点というある地区へ向かう。

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マニアの間では「太田歓楽街跡」などと呼ばれる港町の酒場群跡。パッと見、すべてのお店がとっくの昔に閉業していると思っていたが、平成の終わり、いや令和になってなお何軒かのお店は現役だったという。マジか。酒と色が濃厚に混じり合った独特の空気が曇天の下滞留している。昭和の飲食店跡や酒場跡に興味がある人は足を運んでみても良いと思うが、なかなかに空気がヘビーなので自己責任でどうぞ。

夢中で写真を撮り続ける女主人をひとり残して、筆者はかつての大島へのフェリー乗り場だった内湾にできた新施設「気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ」へ。お隣りの商業施設『迎(ムカエル)』内にある「アンカーコーヒー内湾店」さんにてひと休み。その後女主人と合流して向かいの「生鮮館やまひろ(気仙沼市南町3-2-5)」さんでメカジキやマグロの刺身用サクを買い込む。

良い宿、良いメシ、良い体験。加えて良いお土産。まだまだ気仙沼市内や大島に行きたいところはあるが、筆者の体力が心配だ。帰路に着くことにする。復路候補はいくつかあったが、久しぶりだったのでR284を岩手県一関市方面へ走る。途中から南に折れて東磐井広域農道へ。

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前日から一転して曇天だったのは惜しかったが、相変わらず誰も走っていない極上路を堪能。ただし一部標高の高い区間は道路の圧雪が健在で、その区間だけは少々緊張したが……。Q4なんて言ったって一度滑り始めればどうにもならない。幸い何事もなく下界の保呂羽湖付近へ。

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東和町・道の駅林林館駐車場にて

K295、R456を経て宮城県登米市東和町の道の駅林林館でトイレ休憩。昼時だがまっっっっったく腹が減っていない。レストラン森の茶屋には申し訳なかったが何も食べずに出発。そのまま前日最初の寄港地東和町米谷まで走り、コンビニでサンドウィッチの豪華昼食をバトラー君車内で認める。

米谷のすぐ西を流れる北上川を渡り、県北の県道をふらふらと走ってみたが、少々疲れを感じたので適当なところからE45に乗り、奥松島鳴瀬ICへ。あとは往路と同じ道で帰宅した。二日間トータルの走行距離は314km。意外と距離は出なかった。思えばE45を使えば気仙沼は想像するよりも近い。とても濃厚な、百点満点の旅行だった。宮城県内、それも県北だけでもこんなに充実した二日間を過ごせる。それを身を以て体験できたことが最大の収穫だ。また行く。待ってろ気仙沼!

4件のコメント

  • こんばんは。書きたいことが沢山あって、どこから書き始めたらよいのか迷います。
    まず何と言っても、この時期に奥様の孝行旅行を企画されたのは素晴らしと思います(拍手)雪もほとんどなく、奥様も満足なされたことでしょう。
    いつも食べ物の写真の写り具合に感心します。もちろん被写体が新鮮でおいしいからなんですけど。やはりカメラマンの腕がないとうまく取れませんから、凄いと思います。(私はスマホ一択なので無理ですね)一度はゆう寿司に行ってみなくては。グルメ雑誌みたいです。クルマブログなのに。
    ホテル観洋。泊ったことあります。なのでエレベーターの写真が懐かしかったです。そして朝食のブッフェの素晴らしさも思い出しました。私も食べ過ぎました。
    その時は帰り道は気仙沼の鹿折からK34で北上し、R343で一関までその後東北道のルートでした。ちょうど桜の季節で、R343の道端で桜と一緒に43の写真を撮りました。そして何と言ってもループ橋。東北にこんなものがあったのか~、でした。
    159なら確かに疲れ知らずで一泊旅行に行けますね。良い相棒を手になさいましたね。社長にも感謝ですね。いよいよ雪の季節も終わりです。今後のブログが楽しみです。

    • 今回は本当に、家人も私も大満足の旅行になって少し驚いているくらいです。私が企画したというよりも「やってらんねえ!一泊くらい泊まりに行ってもいいだろ!」と家人がやさぐれていたのが発端なのです(笑)。私は尻馬に乗っただけ(笑)。ただ旅行の準備だけはちょっとヌケていて、実はカメラを持ち出すのを忘れたのです。なので本エントリーの画像はすべてiPhone12 miniの12MPカメラで撮ったものです。日の出など、風景を大きく捉えたい時はやはり力不足ですね。目の前のにぎり寿司を撮ったりするのはとてもうまいのですが。
      ____
      気仙沼からの帰り道、K34-R343は盲点でした!や、こっちの方が断然楽しそうだわー。次はここを走ります。思えば2年前の岩手県探訪シリーズ最終回に、このK34を気仙沼へ下ってきたはず。帰路の検討をしている時、一関はまだ雪深いんじゃないか……?とビビってしまい、一関を目的地にすることはおろか、北に進むことも一切考えなかったんですよねー。R284の様子から察するにそこまで心配する必要はなかったのでしょう。一ノ関駅前に是非訪問したい陶器屋さんがあるので、春になったら必ず一関も行きます!

  • いいなぁ。ゆう寿司、また行きたいです。

    • 次に仙台にお越しいただく機会があれば、気仙沼・ゆう寿司の前に最強の牛タン屋をご紹介します。もうオレはあの店でしか牛タン定食を食べません(宣言)!

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