ありがとうハザード不要宣言

ありがとうハザード不要宣言

進路を譲られた時などにハザードランプを数回点滅させる、いわゆる「ありがとうハザード」は不要であると筆者は考える。いつの間にかありがとうハザードをつけない方が恩知らずみたいな空気が漂っている。

ハザードランプの正式名称は「非常点滅表示灯」と言い、その使用は道路交通法施行令中の第十八条「道路にある場合の灯火」に、夜間、道路に停車または駐車する場合「つけなければならない」と定められている。これを咀嚼して理解するなら「止める事情がない限りつけるな」、乱用するなということだ。この法令表記に直接記載されていないが、道路走行中の異常事態への対応として、渋滞の最後尾に付いた時や、道路工事、災害通行止めなどにふいに出くわして減速・停車する場合の運用も、現実的に「道路に停車または駐車する場合」にあたり点灯すべきと言える。

つまり自動車走行中の異常事態に限ってハザードランプは点灯できるのであって、車線変更後や合流後に感謝の意を伝える手段としてハザードランプを点灯させることは法令違反である。

ここまでは「正論」、単なるイヤなヤツである。筆者が「ありがとうハザード」不要論を唱えるのは法令遵守の視点というよりも、車列の交通ペースを乱す運転手に限って義理堅くありがとうハザードをつける場面に多数遭遇するからだ。覚束なくギリギリに車線変更してきたり、おずおずと路面店舗の駐車場から変なタイミングで車線に出てくる。やるぞやるぞと思っていると果たしてありがとうハザードがつくのだ。譲った当方としては「わざわざハンドルから手を離してハザードスイッチを探り当ててオンオフするくらいなら、さっさと前走車に追いついて後続車のペースを乱さないでくれよ」と思ってしまう。

生活マナーや日本語の活用方法などと同じく、道路上の運転マナーも常に変化しているのだからと大見得を切られると、こっちも理論武装して正論を吐くしかない。本来は駐停車せざるを得ない場合につけるものとして定義されているハザードランプに、別の意味を持たせない方が良い。いや、そんな四角四面な理屈などよりも、三次元空間把握能力の低い運転手に、安全運転よりもまずはお礼の気持ちを伝えねば……などという余計な気遣いを強要する方が危険ではないか。ありがとうハザードは不要である。

16件のコメント

  • いやはや私もサンキューハザードやめてほしいというかこの世から消えてなくなってほしい派。以前急に前に割り込んできた車がハザードをつけた時、サンキューハザードかと思いきや急に路肩に留まりやがった!こちらはサンキューハザードかと思いブレーキが一瞬遅れたことがあります。
    やはりハザードは緊急時や相手に身構えさせる意味合いだけでで使用してほしい。
    ま、上記の場合は相手は予想外の動きを知らせる為のハザードを私がサンキューハザードと勘違いしたせいなんですけどね…。
    お礼はハンドサインで十分可能だし、機械的なハザードのお礼よりハンドサインの方が温かみがある(…と感じるのは俺だけ?)。
    ただ、これだけ全国的に波及して、しかも「サンキューハザードしないと相手に失礼だ!」みたいな風潮もある現状、本来のハザード使用になる世の中に戻るのは難しいのかなぁ。
    (一部の人間はハザードつけりゃー何やっても許される魔法のサインとして使う不届き者もいますねぇ。)

  • エントリー本文に書いたけどアップする時に削除した一文がありまして。それは「感謝の意は合流後の運転で示していただきたい」というもの。合流後の運転がスマートな人ってのは確かにいて、そういう運転手さんはハザード出さない人もけっこういますよね。というか!ちゃんと運転できていればありがとうハザードなどいらない!どうしてもっていうならハンドサインで充分すぎます。運転中の動作としてもそっちの方が合理的かつスマートだし。ありがとうハザード出しときゃ適当に運転してもいいって人は、そもそも停止・駐車してからハザードつけたりしやがりますよね。まぁ右左折のウィンカーにも同じことが言えますが。言いたかないけど、警察はネズミ取りなんかしてないでこういう公道上の運転マナーの啓蒙でもしてくれよと思います。

    • ハザードの意はともかく、クルマによってはハザードのスイッチが運転中の視界に入らない場所にあって、視線をずらしてそれを探すほうが危ないですね。走っている最中、クルマは車内がプライベートなだけで、常に他車(他者)との関わっている、とみんなが考えないかなあ、考えないだろうなあ。

      • そう言えば939系のハザードランプスイッチはシフトノブの手前にあって、ブラインドじゃ無理だし下手したら身体を捻らないと操作できないんです。踏力一定ブレーキといいハザードといい、159はガチで予想運転スキルがないと運転し難いクルマと思う人がいるかもしれません。
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        他者(車)と関わり合って公道を走っている云々の件、トンネル内で無灯火のクルマもその類じゃないでしょうか。昨今のメーター類はちょっとイイヤツだと液晶にメーターの絵を映しているし、物理メーターでも基本自照式が多いから「いや、オレは見えてるし」と考えるウマシカがいても不思議じゃないなぁと思ってました。あとフロントにはデイライト搭載のクルマも増えましたしね。おめーが見えているかどうかじゃなくて、おめーのクルマが他のから見づらいんだよ!

  • 私はサンキューハザードは必要だと思います。もちろん車速、姿勢を安定させてからが前提ですが

    言われるように後方車に謝意を示す方法はハザードではなくハンドサインです。教習所で教えられる方法も日本の左通行、右ハンドル、そしてMTを基本として作った時代背景からか左手をルームミラーのあたりでひらひらさせる方法を教わります。しかし現代の車は想定していたセダンで視線レベルも合っててガラスも透明で中が丸見えなんてことはありません。
    ワンボックスやSUVの台頭や視線を通さないプライバシーガラスで手なんて振ったって見えませんから!先日車線変更するパトカーを前に入れた時に律儀に車内でひらひらしてましたが(最近はパトカーもサンキューハザードしますし)いやそれこっちは職業ドライバーだから気付くけどパトカーもガラス濃いし一般ドライバーは気付けと言われても無理だろうな〜と思いました。
    あとはきっと前の車がどんな挙動をするのかわからないのに速度を上げすぎたり車間を詰めすぎて走る人が増えたから仕方なく定着してるのもあると思います。ハザードに代わる謝意を伝える何ががハンドルにボタンとして付いてるってのがいいと思います(笑)

    • >ハザードに代わる謝意を伝える何がが
      実はこれ、クラクションにもそういう意見があったはずです。もう20年くらい前かなぁ(笑)。いわゆる「警笛」と「どうもありがとう(謝意)」時ではクラクションを鳴らす時間や鳴らし方(ビーッ!なのかピッピッなのか)は実際異なるのだから、謝意を伝えるための音量や音質を調整した「ありがとうクラクション機能(スイッチも別立て)」を搭載してはどうかって話。これも道交法で警笛は一種類のみという規制があるので無理っちゅー話で収束したように見えました。
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      譲ってくれてありがとうという謝意を伝えることは大賛成だし、みんながみんなに優しい世界になればいい(笑)とは思います。ですが現行の道交法下では各ドライバーの運用でどうにかするしかないので、したりしなかったり、スマートだったりぎこちなかったりする事態になっているわけですねぇ(しまの助さんのコメント読んでなるほどと思った)。本文はそういう論旨で書いていませんが、結局目まぐるしく変わる運転マナーや価値観に、道交法の方が付いてこられていないのだと思います。あと多くの自動車オーナーは免許取得以降知識や技術のアップデートってしないですよね(え?オレだけか??)。

  • 日々運転をしていてよく車の運転は包丁を扱うことみたいだなと思います。大して高くないハードルで免許の取得や購入ができるのに簡単に人も殺せて事故も起こりプロもアマも初心者もベテランも同じ土俵にあげられてごちゃ混ぜ、そりゃ事故もトラブルも起こりますよね。
    知識や技術のアップデートは色々疑問に感じるひとは知らずにおこっているんじゃないですかね!

    余談ですがうちのこメガーヌはクラクションが硬すぎてピッピッってできません(笑)ビッー!がやっとです。最初のころは謝意を伝えたくてピッピッとしたくてよくビッーとして相手に睨まれたので諦めました。
    ルーテシアもメガーヌほどではないですが硬いのでメーカー仕様なのか?フランスではピッピッとする文化がないのか気になりますね。

    • 包丁!確かに……。ルノー車のクラクションスイッチが硬いのは面白いですね。文化の違いなのかな。こういうのをひとくちで「文化の違い」って済ませてしまうのも乱暴ですが、個人の責務を果たしている以上過剰な謝意表示は不要と考える文化があっても不思議じゃないですね。日本だと個人の責務が自己責任と置き換えられてしまうので、いや、それはそれでちょっと違うんだよなと思います。

  • いやはや、私もしまの助さんのコメントになるほどと思いました。確かにハンドサインでは後続車への認識しやすさはハザードに比べて現状かなり低いですね。あとは(一般的に)ステアリングに近いスイッチを操作して合図を出せる利便性もあるのかな?後ろに箱を積ん出るトラックは車内でハンドサインしても見えないし、窓開けて右手出すのは運転しながらは手間だし危険だよなぁ。ただやっぱり個人的にはハザードは危険等を避けるために使ってほしい。ちょっと本題から外れてしまうけれど、危険や異常を知らせる目的の場合、現状のハザードの点滅スピードは遅すぎると思ってました。最近の車の一部で急ブレーキをかけると自動でハザードが高速点滅する車があります。これってすごく良いと思うんです。高速点滅するハザードを危険回避用にドライバーの意思でオンオフ出来るようなスイッチを付けてもらって、サンキューハザード用に一回押せば2~3回点滅して勝手に消えるような別のスイッチがあればいいのかなぁ。しかし、統一するには道交法の改正から全メーカーに統一してもらう必要があるから無理かなぁ、う~ん。

    • ちょーななさん、再度のコメントありがとうございます。うーん、自分の書いた本文に自分が足を引っ張られてしまっているような気がしてきました。私が言いたかったのは、運転習熟度の低いドライバーが、ただでさえ安全確認やハンドル操作に神経を使う本線合流直後に、わざわざハザードスイッチに手を伸ばしてまで行うほどありがとうハザードは重要か?いや違うでしょ?ということが言いたかったんです。これね、ベテランと運転に興味のない運転手を同じ土俵上に上げちゃいけないと思うんです。プロドライバーですらマナーが怪しい昨今(念のため書きますけどしまの助さんみたいな超運転上級者も当然います、というかそっちの方が多いです)、同調圧力で義務でもなんでもない操作を増やして欲しくないって思ったんです。まずは交通の流れを阻害しない安全運転!それができてりゃあとは些事じゃないですか。さっきもコンビニの駐車場にあたまから突っ込んで、しかも斜めに止めてる軽ワゴンに乗ったにいちゃんがいて、何よりもまずそういうところからじゃないか、となんかため息が出ましたね。マナーもテクニックも酷い。まぁそんなやつぁありがとうハザードなんかつけないか(笑)。

  • トラックの交通量が多い地域に住んでるので、サンキューハザードは一般的なものだと思ってました。
    製紙工場が多く私を含めて3交代勤務の従事者が多い地域でもあるので、夜勤への出勤中に道を譲ってもらった時などには、ハザード以外に謝意を表すのが難しいように思います。
    パトカーの後方掲示板みたいに決められたパターンの文字が流れたらわかりやすいけれど、運転中に別操作はハザード以上に危険なので現実的ではないですし…。

    しまの助さま、メガーヌもクラクションが硬いのですね。トゥインゴⅢのも硬くて掌底するつもりで押さないと反応がありません。フランス人は殴って音を出してるんでしょうか?
    どこで聞いたか忘れましたが、廃車までにクラクションホーンが壊れずに未交換なのは日本で使われた車だけって話があった気がします。

    急停止時のハザード点滅はESS(エマージェンシー・ストップ・シグナル)っていうらしいです。欧州で義務化予定らしいので各メーカーの現行車種にはすでに搭載されているのかも知れないですね。

    全く関係ない話ですが、丸住製紙の一般社員はTVの報道があるまで倒産のトの字も知らなかったそうです。
    タウンページとか新聞・広告用の紙をメインに作ってた会社ですが、地元では『労働組合が強すぎて会社の方向転換が遅れた。工場でレタス作ってたりとか色々したけど、時代の変化に対応するのが遅すぎた』って言われてます。
    ちなみにレタスはすぐ辞めちゃいました。
    書道甲子園で使うデカい紙を作ってた会社でもあります。

  • 謝意を表す必要はない!ということじゃなく、習慣化によって運転が覚束ないレベルのドライバーまでハザードハザードしてるのに時々迷惑を被るからできない人はやんなくていい!と思う次第です。半ば習慣化していることは承知のうえで書いたエントリーなんですけど、肯定する方も多いのかな。運転に慣れていて余裕があるドライバーのありがとうハザードは、別にどうぞ各自のご判断でってことなんですけどね。
    ____
    少なくともこのブログにコメントをくださる方は、自動車にもご自身の運転技術向上にも興味がある方と拝察します。ということはやらないよりやった方がいいじゃんってなるのは、ある意味当然だと思います。だってそもそも運転技術に習熟してるであろう人たちなのですから。でもさー、1台1台クルマを止めて、おまえは上手いからありがとうハザードつけてもヨシ!おまえはヘタクソだからそんなことより運転の練習をしろ!とは言えないですもんねー。

  • ウチのルーテシア4もクラクションスイッチめっちゃ固いです!これ仕様なのか!
    思わぬ形で長年の疑問(ほぼ忘れてましたが)が解消しました。ありがとうございます!
    ここぞという時の「てめぇこの野郎!!」って場面でエアバッグ開くぐらいの勢いで押せって事なのか、あるいは乗降時に手・腕が当たって不意に鳴るのを防ぐという意味なのか・・・いずれにしてもルノーの割には何かしらの気遣いでやってる可能性がありますねww
     
    ハザードランプは、ドライバー間コミュの中で他方法が難しい状況で致し方なく使用していたものが意味合いが変質し、マナーみたいなとらえ方をされているのではと思います。しかしハザードはいろんな状況で最も意思を伝えやすい方法でもあります。ハザード出す側も受ける側も「これは感謝のサイン」と明らかに分かる状況なら出すべきと考えます。感謝の気持ちを示されて悪く思う人間は基本的にいないと思いますし、そんな心の穏やかさは確実に交通安全に結びつきます。
    ところが現実世界は有象無象魑魅魍魎だらけの混合交通・・・笑顔でお辞儀しながら側道から強引に割り込みしてきた輩にハザード出され、「はぁ!?譲ってねーよこの****!!」と一人車内で大声出す時も。
     
    ちょーななさんのおっしゃるように、ハザードとは別の光り方でコミュニケーションは良い方法だと思います。ハザードはクラクションと違って、基本的に直後の後続車”だけ”にシグナルを送るものなので他者(車)との混乱は起きにくいと言えます。ただ、ランプ球切れとか抵抗無しLEDに換装したハイフラッシャーと見分けつかなくなりそうですねww

  • ありますなぁ、「はぁ!?譲ってねーよこの****!!」状況(笑)。スムースに合流してスッと流れに乗れる人からのハザードは別に気にならないんです。****野郎に限って間が悪いし合流後もモタクタしやがる。その上「ありがとうねー」みたいな軽い感じでハザードつけるからイラッとするわけで。いや、ハザードの点滅に軽いも重いもないんですが(笑)。運転技術が未熟な人にいったんみんな揃えれば良いと思いますし、だとすると加速・旋回・制動以外の操作要素はなるべく少なくしてあげた方が良いと思うわけです。

  • 「はぁ!?譲ってねーよこのxxxx!!」に一番共感したワタクシですが、この記事で何より気になったのが森高の脚。さすがですねぇ。これが本当に人間の足だというのがすごい。この当時だからそんなに加工もないだろうし。棒のように細いだけでなく、すらっと伸びやかで実に美しい。こんな脚を持って生まれたらきっと人生変わってたんだろうなぁと思う反面、そんな疲れる人生はイヤです。はい。
    あ、サンキューハザード、私も遅れてハザードつけられると、「慣れないことしてないで、さっさと行けやボケェ」と呟いております。

    • 森高千里、非実力派宣言は1989年リリース。異性にモテる人はそれはそれで色々なストレスを抱えていることがほとんど。私の周囲で美人さんで順風満帆な人生を送られている方はひとりもいません。ま、結局最後に基準になるのは人間力ですからねぇ。
      ___
      そして私がそもそもこのエントリーで書きたかったことは
      「慣れないことしてないで、さっさと行けやボケェ」
      この1行に凝縮されていました。おみそれしました。

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