介護タクシーの廃人運転手さん

まずは2025年5月8日以来エントリーが途絶えていた理由と経緯をご説明したい。入院するほど体調が悪くなった、それもひとつの病気とひとつの怪我でほぼ連続2週間病院を渡り歩いていた。もちろん不調だったのはその2週間だけではない。

当ブログに折々書いていたぎっくり腰。3月下旬に負って誤魔化しつつ5月中旬になった。その頃胆管炎が再燃してしまったらしく、アルブミンの不足で体内の水分調整に失敗し、両下肢が象の足のように浮腫んでしまった。消化器内科の主治医に相談したら速入院を言い渡され、5月20日から1週間ほど東北大学病院に入院。その週末が「クルマで行きますオフ会」だったのにまさかの欠席は御周知のとおり。無念。加療のお陰で胆管炎とアルブミン不足による水分調整不調は鎮静され28日に帰宅。なんと翌日にステージをひとつこなすという荒技を披露。

東北大学病院退院間際の夕暮れ。8階なのでそこそこ長めは良い
仙台市西方の某保育園で開催。子どもたちの盛り上がりが想定以で嬉しい

この29日の午前中にあったクラウンショーがちょっと本当に苦しかった。というのもぎっくり腰はまったく解消していないどころか、この29、30日がもっとも辛かったのだ。よくやれたものだ。で、どうにもならず31日に這う這うの体で松田病院の整形外科に泣きついた。車いすでぐったり順番を待って診察してすぐCTスキャンとMRI。この両撮影台に仰向けで寝ること自体が苦行。うめき声を上げながら撮影を終えて、双方の画像を見つつ先生、「これぎっくり腰じゃないよ。脊髄の圧迫骨折だよ。これ見てごらん、骨盤真上のこの3つの骨、ほーら、見事につぶれてるでしょ?あんた3回痛みが来たって言ってたよね?3月4月5月にそれぞれ1コずつ折れてったんじゃないかな」。

な、なんとー!!ぎっくり腰の上位バージョンだったとは!!その場で入院が決定。まぁ1-2週間経ってどうなってるかだなーと言われ一昨日退院してきたばかりなのにと心底落ち込む。だが誰を恨むわけでもない。すべて自分の迂闊な思い込みが招いた地獄である。

そんなわけでリハビリ以外は絶対安静という、これはこれで過酷な日々。一方東北大学病院の定期診察は6月9日と2ヶ月も前に決まっており、状況的に間に合わぬとリスケの申し入れをしていたのだが、それを知った松田先生は「あっちの病院って肝臓の治療受けてるんでしょ?(厳密には肝臓だけではない)。血液検査の結果診るとさ、あんた相当酷いよ。整形外科医が患者拘束して消化器内科医を邪魔してる場合じゃないから、もともとの診察日程を最優先しなさい」と配慮してくださり、筆者はまるで全話放送をまっとうできない不人気TVアニメのように早期打ち切りという形で朝8時に松田病院を退院。念のため手配した介護タクシーの寝台車量で病院間を移動した。東北大学病院への再入院という可能性にビビったが、幸い胆管炎+アルブミン不足状態は順調に回復しており、ようやく歩ける程度にはなった圧迫骨折の腰を抱え帰宅した。

とまぁこんな経緯でとても「腰を落ち着けて」ブログのテキストをタイプできるような体調ではなかった。今後は以前の頻度に戻して行ければと思う。ちなみにこの理由と経緯は半年くらいで消去するだろう。半年も時間が経てば1ヶ月程度のブランクは目立たなくなるだろうから。多くの読者に見捨てられたと思うが、筆者本人が面白い、興味深いと思う自動車世界のことを引き続き書いて行きたい。これだけ画像・映像をメインコンテンツにしたSNSが流行していても、どうしてもブログのテキスト量でなければ満足できない視点や話題があると思う。どうせならニッチでもいいじゃないか。ということで、久しぶりのエントリーへどうぞ。


松田病院から東北大学病院へのクルマ移動、作業療法士さんや看護師さんが心配してくれたのは「クルマのシートに座れるのか?」ということだった。何しろ圧迫骨折、イスに30分座ることさえリハビリメニューになるのだ。で、これがけっこうキツイ。驚いた。話によると、例えば車いすのままクルマに乗ると、上下振動がサス無し車いすを鋭く突き上げるので本当に痛いのだと言う。痛いのヤダ。寝台車ならまだマシだと思うけどどうする?と手配時に確認された。うーん、ストレッチャーなら大丈夫とは思わないが(「試乗記・病人として救急車に乗ってみた」)、確かに腰を痛めているとあの簡素な造りの車いすに乗ってさらにミニバン的クルマに乗るのも無傷ではいられない気がする。そこで介護タクシーの中でも寝台車を頼んでみた。結果から言うと寝台車でも鋭く突き上げられれば腰は痛い。あぁ、やっぱりねと残念な気持ちになるところだったのだが、運転手さんと助手さん(どちらもおじいさん)のおふたりによって、大変楽しい移動時間になったのだった(まぁ腰はそこそこ痛かったけど)。

東北大学病院の定期診断の後は家人のシトロエン C3に乗って帰宅するため、行きは寝台車とC3の2台で向かった。運転手さんが「奥さんのクルマってなんですか」と訊いてきた。「シトロエンのC3です。現行B6型」と答えたら「あぁ、あれはかわいいよねぇ」とおっしゃるではないか!はい、ここにもヘンタイがふたりいました。
「かわいいし、プラットフォームなんかもう三代キャリーオーバーですから変な壊れ方しませんよ」
「わたしも以前はシトロエン乗っててねぇ」
「おお!猛者ですね。修理なんかしょっちゅうじゃありませんでしたか?」
「まぁね、壊れるって言っても部品買ってきて自分で直しちゃうから」
「うおー、けっこうな廃人ですね!」
「(笑)」
「ハイドロ、良かったですよね」
「今のところC5,C6で終わっちゃってるけどねえ」
「C6かぁ、実車、1-2回しか見たことありませんよ」
「あれはねぇ、実はすっごく恰好良いんだよ。特にテールランプ周辺が独特で……」

と、こんな会話が運転席と荷台のストレッチャー上で行われているのだから実に愉快である。

そこからかつてのクルマ遍歴のお話しや、出勤時に必ずある交差点でデッドヒートを繰り広げるプジョー 106Rallyの話など(あいつ速いんだよぉ)が繰り広げられた。さらに訊くとマツダ車にも何台も乗ったそうで、 あのコスモにも乗っておられたという。

「あれはホイールベースが長いから、ケツが滑り出して行く様子が手に取るように分かるの。だからぶんぶん振れるんだけどちっとも怖くない」

人様の話でも、こういうのはワクワクする。ちなみに運転手さん、今一番欲しいクルマは三菱 FTOだそう。理由は訊かなかったが、きっと独特のお楽しみポイントをご存知なのだろう。とまぁそんな具合に、約40分の移動時間は、病院に連れて行かれるというのに大変楽しいものになった。しゃべっていたのは主に運転手さんで助手的立場のうもひとりの乗務員さんは、主にツッコミ。しかし話題に上がった車種全てについては何かひとこと、独自のインプレッションを語っていたので、まったく引けを取らない筋金入りのクルマ好きと思う。偶然ではあったが、こんな楽しいタクシー移動もあるものなんですね。おふたりの乗務員に多謝。

9件のコメント

  • てっきりIBD関連で入院と踏んでいたのですが(日本人の腸は西洋人と違うので、お肉とか沢山食べては駄目ですよ)、予想の遥か斜め上を行くご病状、お見舞い申し上げます。
    それよりこの介護タクシーの乗務員、濃いですねぇ。叶うならタクシーの車両がピカソのエアサス仕様なら完璧でしたね。知人に3台乗り継いでいる猛者がいます。

    • 最初の入院はIBD関連と言えなくもないのですが、そもそもIBD的病気の直接の原因がまだ解き明かされておらず、潰瘍性大腸炎と原発性硬化性胆管炎が関連する病気なのか未だに確定的なことが言えないのが現状です。患者としては間違いなく関連あるはずと思いますけど、はい。
      ____
      介護タクシーの運転手さん、こういう話を実に穏やかな口調でお話しになるものですから一層凄みがまします(笑)。ピカソってC4ピカソですよね?エアサス仕様ってハイドラクティブ?だとするとなるほど、確かに手放せないでしょうねぇ。私の場合は今でもC5ツーリング1.6L版欲しいですよ。159が来てくれたのでいったんその欲求も鎮まっていますが、2回試乗しました。今でも忘れられません。

  • C4ピカソのエアサスはハイドロ由来ではなく、ただのエアサスです。それでも一部のシトロエニストは涙を流して喜んだとか、いないとか。

    • シトロエンの場合こういうこともあるのかぁ!疎い人から見ればシーラカンスみたいなモンですものね。

  • ひとまず諸々落ち着いたようで何よりです!もう我々世代はどこか不具合があったり忙しいのはしょうがないですよね。自分も体調はまずまずですが仕事で少しくたばってます(笑)!とりあえず自分のペースで行きますか(笑)!しかし「廃人」はそういうことでしたか、この界隈人のことは言えない方ばかりですが(笑)。

    • イヤー、全然落ち着いてないんです。腎臓と肝臓の検査と治療ってなんでこんなに面倒くせえんだとうんざりです。そこに現病たる大腸炎も。時間がかかっても仕方ないですから……。

      早く皆さんと会いたいです😭暁号もバトラー君も干上がっていることでしょう(泣)

  • ひとまずご退院おめでとうございます。当方も下位バージョンのぎっくり腰ではありますが、症状がまだ軽度の状態で無理をしてトドメを刺しました。上位バージョンとの事なので退院されてもくれぐれも無理だけはしないようにしてくださいませ。
    FTOは発売開始後にちょろっと試乗した記憶があります。詳細は忘れてしまいましたが、確かGPXのいっこ下のグレードだったと思うのですがMIVEC非搭載のV6のエンジンが気持ちよく吹け上がったのだけ覚えてます。
    (確かその時の助手席にはじゅんすかが…)
    当時ハンドリングも定評がありましたしMIVEC搭載のGPXは個人的に今乗ってみたい車の1台ですね!
    おっと話が逸れましたが、とにもかくにもご自愛くださいませ。

  • こんばんはー
    骨折だったんですね…しばらくは安静の時間が続きますね…
    だいぶ昔ですがタクシー会社で働いてたことあるんですが、介護車のドライバーは患者さんの不安や痛みを少しでも解消できればということで、介護の資格とかはもちろんですが、話し上手というスキルが求められてましたw
    自分が在籍していた会社は関西ということもあり介護ドライバーは元落語家さんとか若手芸人さんが担当していました。
    クルマ廃人はレアかもしれませんねw

  • 結局幻の退院となりましたが……。未だベッドから起き上がれません。FTO、見た瞬間には「重そう!」と脳みそと視覚が結び付いて、なんか、受け入れらませんでした。イヤむしろMITSUBISHIなんて一般自動車生産なんて危険な仕事、国がやらせるな!と思ってましたねぇ。
    ____
    でも今ではメーカー一絡げに自動車を考えたりしませんし、内部の組織構造からどうしてこんなクルマが生まれてきたのか?なんて想像するのが楽しいですね。
    ____
    あのう、タクシー運転手さんて安全走行、ホスピアリティ、双方バランスよく備えていることが大事だと思うのです。今回は廃人対ヘンタイという、当方から見ると格下勝負でしたが、いつ腰をビシッと痛めるかおっかなびっくり乗っていたので、そのビビりをうまく緩和してくれて本当に嬉しかったです。クルマの話なんてたいてい面白いんだから(笑)。

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