プントエヴォで行く!旧亀岡家住宅と駅前食堂

福島県伊達市へ家人とともに建築物ツアーに行ってきた。行き先はその日の朝まで想定しておらず、伊達市にある明治時代の擬洋館「旧亀岡家住宅」見学は家人の発案である。前回は県北の岩ヶ崎へ出かけたから今度は南、それに距離もちょうど良い。朝食後すぐにプン太郎で出発した。

村田と大河原の境目

高速道路は使わない。通常とは異なり大きめの幹線道路をわざわざ選んで南下する。筆者が普段愛好する三ケタ県道は、この季節思わぬところに積雪があったりして、意図せずプン太郎を傷つける恐れがある。流石に学習しましたよ、ええ。村田町から大河原町へ抜けてR4へ。そのまま南下し続けて国見町、そして伊達市梁川へ。国指定重要文化財の旧亀岡家住宅は、伊達市保原総合公園内にある。実はいつもの「福島夢の県道三昧コース」のすぐ近く。おかげで経路途中にある梁川の藤川屋へ立ち寄ることができる。

藤川屋のおいしいお菓子の数々

ここんちのお菓子は、目をつぶったままショーケースを適当に指さして買っても良い。どれも外れがない。上掲写真は購入したもののほんの一部である。藤川屋からK122で数km南下し、K150に折れ、さらに数km西進すれば保原総合公園はすぐ左手にある。仙台はきらりと晴れていたが、保原は今にも雪が降り出しそうな曇天。駐車場でプン太郎から降りると、深々と寒い。だが目的は室内だ。天気はさほど深刻な問題ではなかろう。

伊達市保原・旧亀岡家住宅
旧亀岡家住宅

旧亀岡家住宅は想像していたよりもずっと立派だった。隣接する保原歴史文化資料館で入場料を支払う。職員さんは「中はとても寒いですから防寒をしっかりどうぞ」的なことを言う。あ、暖房入ってないんだ……。でも、ま、室内だから……と、ナメてかかった筆者が愚かだった。暖房のない1月の木造建築、まさに底冷えであった。擬洋風建築なのにほぼ全ての部屋が畳敷き、さもなければ板の間だ。足の裏がすぐに痛くなって、刺すような冷えが徐々に身体の上の方へ登ってくる。

旧亀岡家住宅・室内1
旧亀岡家住宅・亀甲格子
「亀岡」にちなんで亀甲柄の格子
旧亀岡家住宅・室内2
旧亀岡家住宅・床の間の一部
ここにも亀
旧亀岡家住宅・欄間
欄間細工
旧亀岡家住宅・階段
旧家の階段って、なんでみんな急なのかな
旧亀岡家住宅・室内3

しかし室内は圧巻だった。部材となる木材の選択、遊び心ある床の間の細工、格子や欄間、天井や床板の造形などなど、見どころの大洪水である。造営は県内の宮大工を指名して行われたという。施主、設計士、大工それぞれが目利きであり凄腕だったのだろう。豪華絢爛であり質実剛健でもあり。こんな家で暮らすイメージがまったく湧いてこない(笑)。有料の結婚式場としても使われていたというから(当時としては珍しい)、その豪華さをご想像いただきたい。

しかし、あぁしかし。めっちゃ寒い。上半身はまだしも、足裏とつま先が凍傷にかかりそうだ。2階へ上がるも限界になってしまい、「こんなこともあろうかと思って(真田技師長)、厚い靴下を履いてきた」と鼻息荒い家人を残し、筆者は歴史文化資料館へ避難。哀しいかなこっちもそんなに暖かくなかった……。遅れて合流した家人と資料館を見学し、先ほどの職員さんへ冬季はどうかスリッパを設置してほしいとお願いする。COVID-19対策で設置せずと返答されるかと思ったら、畳敷きなのでスリッパを置かないのだという。おお!それも道理。改めて住宅を見上げつつ「冬季は閉館ってことで良いのでは……」と思ってしまった。

駐車場のプン太郎に戻り、暖を取りつつ昼食の算段。この近辺で心当たりは1軒だけ。その「トラットリアwasabi」は人気店だから、こんなピークタイムに訪店しても待たされるだろう。待つ待たないよりも、この日の胃袋はイタリア料理という感じがしない。家庭料理的な……、カレーもあるけどラーメンもある的なお店……、そんなムード。「町の食堂」の気配がするお店をGoogleMap.appで捜索。どうやら保原の繁華街はさらに西進した一角らしく、中華料理系や居酒屋系の店名がちらほら。そこに発見したのだ、「駅前食堂」を。どう考えてもこれは「町の食堂」であろう。さっそく移動する……と言っても10分も走らずに到着。

駅前食堂
駅前食堂(福島県伊達市保原町7-6-1)

もうこの外観だけで大満足。料理がおいしくなくても我慢するつもりでのれんをくぐる。テーブル席が4席ほど、小上がりに2席。店内は大きくない。席はすべて埋まっているか、退店した客の皿がまだ残っている。ちいさな子どもをふたり連れたお父さんが、席の準備が整うのを待っている。大当たりの予感。席を用意してもらってメニュー(壁に並ぶ板短冊)を子細に検討した結果、筆者はアジフライ定食720円、家人はラーメン520円。定食のご飯を少なめにと頼んだら、お店のおばさんに目を丸くされた。「多くもできるのよ?」。わかってます(笑)。でもあまり食べられないのです。どうやら母娘ふたりで切り盛りしているようで、てんてこ舞いである。長期戦を覚悟する。

アジフライ定食
アジフライ定食 720円
ゆで卵の下にはたっぷりのマヨネーズが控えている
駅前食堂・ラーメン
ラーメン 520円

身が厚くてボリュームたっぷり!の惹句に違わず、ぶ厚いアジフライが二尾。お盆にソースが付いてくる。だが皿の中にもタルタルソースとマヨネーズがしっかり配備されている。こんな完璧なアジフライ定食は見たことがない。ちなみにご飯は「これが少なめ?」という盛り(笑)。アジフライの身は厚く、齧るとほろほろと口中に広がる。しょうゆ、ソース、マヨネーズ、タルタルソース、味は四変化だ。うまいかって?うまい。間違いない。ラーメンも昭和醤油風味の素朴なもの。値段と盛りを考えると子ども連れが多いのも頷ける。一方で筆者たちのとなりのテーブルでは3人組のおっさんたちが昼ビールをしっかりキメまくっていた(お会計が1万5千円を超えていた。いったい何をどれくらい食べて飲むと、あの店であの金額になるのだろうか)。霊山町の桑島食堂を「静」と例えるならこちらは「動」。駅前食堂での食事を前提に出かけても良いとすら思う。ごちそうさまでした。※

帰路。まだ午後も早い時間。なので高速道路は使いたくない。しかしK46小坂峠や丸森方面からの道は積雪注意案件。まだ我慢。滅多にないことだが、国見町からR4で大人しく白石市まで北上、広域農道コスモスラインに乗って村田町、K31で仙台市内へ戻ってきた。福島宮城県境、越河地区のR4は、上りが複線化されていて特に往路は非常に快適だった。クルマへの雪害を避けるための幹線道路行だったが、たまに走ると発見がないわけでもないのだな。。約7時間/168kmの道のり。宮城県からさほど遠くない福島県内には、こちらの盲目から見過ごしていた魅力がたくさんある。時間もガソリン代も足りない


伊達市保原の駅前食堂には、店裏に専用駐車場が3台分ある。が、この日は満車だった。あの賑わいからすればそれも当然であろう。食堂の斜向かいに十日町商店街無料駐車場があるので、むしろそちらへの駐車をおすすめする。

十日町商店街無料駐車場看板
なんと甘美な響き……「無料」

2件のコメント

  • こんばんは。本日も充実の内容のアップをありがとうございます。まず、亀岡住宅が住宅であることにビックリ!以前青森の斜陽館に行った時感激しましたが、あれは和風の邸宅。こちらは、外は欧風、中は和風。細工や意匠を見ても、どんだけお金持ちで、趣味人な人が建てて住んでいたのだ?と叫びたくなります。素晴らしい。からの駅前食堂!ギャップが萌えます。アジフライは勿論うまそうでしかも安い、でしょうが、ラーメンがまた…。麺は多加水麵のモチモチ系でしょうか?スープもすっきり系、そして今時520円!!これは行かなきゃなあですね。まだ松島のハンバーグ屋さんも行っていないので、行かなきゃない所がたまっています(汗)。

    • 私もなんの前知識もなく、ただ「亀岡家住宅」と耳で聞いただけの邂逅だったので、「これが住宅?」と驚いた次第です。しかし、昔の金持ちのやるこたぁ、スケールが違いますね。最後の当主は正面図の物見の塔の3階の6畳間で奥様と質素な生活を送っていたそうです……(こんだけの邸宅に住んで質素もへったくれもねーよ!と思いますが)。 駅前食堂、他にもチャレンジしたいメニューがいくつかあるんです。再訪せねば!
       
      ※松島のHarry’s Junctionは「ハンバーガー」屋さんですので、ハンバーグ定食みたいなのは出てきません。ビーフ、ポーク、チキンのタコス3種類はあります(笑)。

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