クラッチペダルを踏んでみる

入院した。プン太郎ではなく、またもや筆者が、である。今回は胆嚢を摘出する手術を受けるための入院だった。筆者は潰瘍性大腸炎を患っているのだが、その治療の過程でCTスキャンやらレントゲンやら、何度も撮影されることになった。それらの画像診断が進むうちに、当の大腸ではなく、胆嚢と胆管がちょっとおかしいぞ、とお医者さんから指摘された。異形なのだそうだ。普通、胆嚢は野菜の茄子のような形をしているそうだが、筆者のそれはブドウの房のようにボコボコしているらしい。実はこの件はもう5年以上前にまったく別のタイミングで指摘されていたことではあった。ある日のデスクワークの最中、どうにも胃痛が我慢できなくなり、職場の近所の胃腸科で手当てしてもらったのだが、その時にレントゲンを撮影した時に指摘されていた。あれ以来、時折苦しめられてきたナゾの胃痛は、どうやら胆石だったようだ。加えて胆管もやはり異常だという。いやはや、病気のデパートか(例えが古い)。最終的に病名は(「疑い」も含めて)4つ付くことになり、特に異形の胆嚢、胆管は組織異常でもあるので、万一悪性の場合は処置は早ければ早いほど良い、と。2021年に2回もあった検査入院は、この対応を考えるためのものだった。胆嚢は肝臓が作った胆汁を貯蔵する臓器、胆管は胆汁を十二指腸へ流すバイパスだ。潰瘍性大腸炎罹患以来、頻繁に消化不良的な胃の鈍痛を体験してきたが、派手に痛いのは胆石、胆嚢と胆管の異常で胆汁流入不足ゆえの消化不良ならば、筆者が日々感じている不具合はすべて合点が行く。今さら書くまでもないが、筆者は食べることが好き……というか、食べることで諸般のストレスを発散してきたクチである。食べられないことは今後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ 笑)に重大な影響を及ぼす。悪性かどうかということよりも、その念が先行し、今回の入院・手術となった。

入院中・病室から見たある日の朝焼け

お医者さんの説明では、日々感じる消化不良感と今回の胆嚢・胆管異常の因果関係ははっきりしないらしいが(笑)、恐らく胆嚢の中には胆石が潜んでいるはずで、そいつを取っ払うことで、いつあの激甚なる鈍痛が襲うのかビクビクしなくてすむだけでも、筆者にとっては価値がある。手術の結果、予想外の臓器癒着などが発覚することもなく、術後、4箇所の傷は滞りなく塞がり、合併症なども発症せず、約1週間で退院できたことはありがたいことだ。つまりこのエントリーは、退院してきたその足で打っている。

しかし、改めて考えてみてほしい。内視鏡やその他の手術器具を挿入するための1-2cmの皮膚切開、それも4箇所である。確かに塞がるのは早かったが、傷は傷だ。しかも腹部。つまり腹筋である。こうなってみて初めて意識したのだが、腹筋というのは、ありとあらゆる日常動作に深く関連しているのだなぁ。ベッドに横になる。あるいは起き上がる。これが術後は大仕事だった。腹筋を使わずに仰向けから起き上がってみてほしい。身体のどの部位を使うか、まず考え込んでしまう。術後、翌日からもうどんどん歩いてくださいと言われる。歩けるが、垂直にすっくと立つと傷が引き攣れて痛い。自然とどこか前かがみのヨボヨボ歩きになってしまう。すべての動作に痛みが伴う。筆者は宇宙海賊コブラじゃないのだ。※

こうなってみると、一番の心配事はクルマの運転である。マニュアルトランスミッションのアバルト プントエヴォのクラッチペダル、オレは踏めるのかいな?病院へ迎えにきてくれた家人のC3から、帰宅後、荷物を降ろすよりも先に、プン太郎のクラッチペダルを踏んでみた。

踏めたー!

とは言え、シートに乗り込むために身をよじるだけで傷が痛む。今日はエンジンをかけてみるだけにした。明日以降、動かしてみるつもりだが、100km走るのも自信がない。だが2020年の入院の時に比べたら、まだずいぶんマシだ。復活も近いだろう。近いはず。近いといいな(客観から主観への三段論法)。

宇宙海賊コブラ
地球人だが握力500kgとか数時間で傷が回復とか。精神エネルギーを射出する「サイコガン」を義手の代わりに仕込んでいる無敵の男。寺沢武一の代表作。

8件のコメント

  • やっぱり身体は人それぞれで、因果関係ってやってみないとわからなかったりするので、今回ので劇的改善!となるといいなぁ。逆転ホームラン。
    今日我が家では偶然胆汁&ビリルビンの話をしてました。がんばれ、消化酵素!
    腹筋は大事よ、腹筋弱ると腰にも来ちゃうよ。春のために、リハビリがんばれ!

    • プラシーボかもしれないことは重々承知のうえで、退院したその日の晩から胆汁どばどば出てる感ありありです。もたれない!素晴らしい!ってことで、ここで食べ過ぎる生活に戻ると、入院でせっかく落とした体重がふいになってしまうので気をつけたいところ。でも傷の痛みの引き換えにしても、胃もたれがないのは素晴らしい。ビリルビンもさんざんK先生と話したなぁ。肝臓の薬をいまだに飲んでます。
       
      腹筋の大切さは、今回の1件で思い知りました。これから最低限のトレーニングはしよう、と心に決めた2022年1月。

    • オペお疲れ様でした。久しぶりに書き込みいたします
      同病の同志なんでわかります。腹腔鏡とはいえ痛いでしょうね。お見舞い申し上げます。
      私は全摘の際にヘソ下10cmほど開腹されましたが、まあ〜痛かった。1月後にクラッチは踏めましたが、マンホールとかアスファルト埋めた継ぎはぎ部とかが‥
      インプレッサで1時間以上のお出かけは不可でした。
      くしゃみ、咳する時に下腹部の横から手で力をかけて、衝撃で腹筋が大きく動かないようにするとだいぶマシだった記憶があります。お試しください。

      • お久しぶりです。その後お元気ですか?こんなブログにコメントをくださるくらいですからお元気なことと推察申し上げます。ヘソ下10cmですか……。1-2cmでヒーヒー言ってる当方としては「想像を絶する」としか言いようがありません。ようやく寝起きが少し楽になったなぁという実感はありますが、普通にくしゃみできる日はいつの日か。
         
        腹筋、横から手で力をかけて咳払いしたりしてます。てきめんに楽ですね(笑)。プントエヴォを運転してみての感想は、改めてエントリーを上げようと思っております。どうぞご安全に。

  • こんにちは。結構大きな手術と入院でしたね。まずは退院おめでとうございます。さて、腹筋の件ですが、母は盲腸の時にヘルニアになり、それ以来腹に傷があるため腹筋をあまり使えません。トイレも大変なようです。腰は体の要と書くくらい大事なところなので、いろいろ大変ですね。でも運転をするのもリハビリと心得て焦らず直していただきたいです。東北の春も少しずつ近づいて来てますから。

    • 入院1週間未満ですから、オオゴトなのかどうかは正直わかりません。お医者さんは始終非常にライトな感じで接してくれていましたので、それも良かったのかもしれません。腹筋は運転にも直結で、特にコーナリングでは知らず知らずに負担がかかっていたのね、と目からウロコです。おっしゃるとおり、焦っても良いことなさそうなので、気長に復調させていこうと思います。

  • さあ、2月後半は、あなたの時代です!

    • よっしゃ!ようやくオレの時代がやってきた!ブルーバード、おまえの時代だ!

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