プントエヴォで行く!松川浦は波高し!!

ひととき春の気配を感じた仙台だったが、半ばも過ぎて悪あがきのように重い雪が降る。陽が昇って気温が上がればとけてしまうが、早朝まで降った雪は、平日なら通勤ラッシュを直撃、大渋滞を引き起こす。張り切ってツーリングに出かける日は8時くらいには家を出るから、いろいろ困ってしまう。だから2月に入ってからは、ツーリングに行くと決めた日の数日前から、目的地や出発時間には気を配っている。

背景にそういう事情があり、かつ前回は宮城県北の海沿いと内陸部を胆嚢、いや堪能してきたわけで、次なる一手を読者諸姉諸兄ならどのように組み立てるだろうか。筆者は単純に南下することとした。いつもの県道を南下するだけではさすがにマンネリなので、一計を案じた。まず往路で高速道路を使い、復路に時間をかける。そうなるとE4東北自動車道で福島市あたりが限界か。ただ福島市に行っても、何か楽しい目標なり食べたいものなりがほしい……。などと考えながらGoogleMapを眺めていたら、福島県桑折町でE4と交差するE13東北中央道に気が付いた。E13は未踏破。これを海に向かって走ると、相馬市の松川浦まで行けるではないか!相馬・福島間はこのE13開通のおかげで、かつての基幹道路R115の交通量がめっきり減って、ヘンタイ向けワインディングロードに変貌した。今では筆者はR115をむしろ推す次第だが、一方でE13は後手に回っていたのだった。相馬市と言えばとんかつの銘店「かつ吉」である。おかみさんの顔をもう2年も見ていない(病気だからカンベンしてください)。生存報告をしておく必要がある。

前置きがものすごく長くなったが、そんな思考を経て、

①往路に高速道路使用
②E13東北中央道を初走行
③かつ吉のおかみさんにごあいさつ
④相馬からの海沿いの県道を堪能

というツーリングと相成った。いつもとはちょっと違うのだ。

で、この日も前日深夜から早朝にかけて仙台では(いや北日本全体では)積雪があり、朝から出かけることは最初からあきらめた。道路の雪も概ねとけた10時に自宅を出発。仙台宮城ICでE4に乗る。往路に高速道路を使うことにしたのは、筆者愛好のこの時期の県道とは異なり、雪対策もしっかりされていると踏んだから。目論みは大当たりで、ほぼ全面的にドライ路面。だがきっと県道で南下すると、けっこう雪があったはずだ。JCT直前の国見SA(上り)で飲みものを購入。

国見SA上り
国見SA上り。長期改修工事を経てすごくきれいになった

いやしかし、例のスタッドレスタイヤのタイヤノイズが高速領域だと一段を大きくてねぇ……。音楽を流しつつ走っていたが、どの曲もベースがほとんど聴こえないので、途中で止めてしまった。さっさとオサラバしたい。

桑折町でE13に乗り換える。このE13桑折JCT・相馬山上IC間が予想を超えて素晴らしかった。天気が良く車内は暑いくらい。道路左右の眺望は山脈に次ぐ山脈で、実にダイナミック。また時折視界に入る初春の里山風景も、まるで絵画を見ているようで素敵だ。始終対面通行なので、ダンプカーのコンボイやペースの遅いクルマが現れると、とたんにペース落ちるが、窓外の美麗景色のおかげでイライラもしない。融雪剤を含んだ泥水を前走車にはね上げられるのには閉口したが、それも今の季節だけだろう。この区間、R115とE13のどちらを走るべきか大いに悩む価値がある。特にE4とE13を併用すれば、飯舘村へは我が家から90分で到着してしまうのだ。このコンビニエンスさをなんとしよう。

予習不足で相馬のひとつ手前のインター、相馬山上ICで降りてしまった。降りた先は前述どおりのオススメR115だからまったく苦にならない。この季節ならこちらもリアル里山を縫うほんわか国道である。ほどなく相馬市街地へ。かつ吉のおかみさん、元気だろうか。

相馬・かつ吉
がーん
張り紙
臨時休業を知らせる張り紙(泣)

まったくのんびりした話だが、まさか福島県が飲食店に臨時休業要請を出しているとは、ツユほども思わなかった。宮城県村井知事が経済優先でまん延防止措置の要請をしておらず、東北のよその県も同じムードと思い込んでいた筆者が愚かである。かつ吉再訪を誓いつつ、近隣のお菓子屋「船橋屋」へ。こちらも定番。幸い船橋屋は営業しており、無事お菓子を購入できた。なぜか船橋屋のレジにおこわやいなり寿司が並んでおり、かつ吉の臨時休業で昼食難民と化した筆者は、これ幸いとおこわも購入。これにコンビニおかずを加え、松川浦で太平洋を眺めながら車中で昼メシというプランが決定。

松川浦漁港
松川浦漁港にて

快晴。だが風が強い。西から松川浦へ進入すると、まるで自然の堤防のように入り江の口が南北に延びており、目を凝らすとクルマが行き来するのが見えた。最後に松川浦を訪れた際は、津波被害からの復旧工事が終わっておらず、立入禁止ですごすごと引き返してきた道だ。あれは確かプン太郎を購入した直後だから2018年のことか。そうかようやく……と目頭が熱くなり、松川浦大橋を渡って鵜ノ尾岬の「夕陽の広場」へプン太郎を停める。腹ぺこである。

松川浦
西を望む
広場のプントエヴォ

太平洋の際となるこの松川浦で、どうして「夕陽の広場」なのかと訝ったが、なるほど、この広場は浦の東端にあるのだった。さぞかし夕陽がきれいなのだろう。ここに一日いれば、日の出から日の入りまで全部見られるという寸法だ。そんなことする人がいるかどうかはともかく。

浦の南方面
左が太平洋、右が松川浦
おこわとグリルサラダチキン
船橋屋のおこわとファミリーマートのグリルサラダチキン

グリルサラダチキンという、情報量の多い食べ物とおこわのコンビはおいしかった。一息ついて、太平洋など眺める。

太平洋の波1
太平洋の波2

前述のとおり風が強い。波が荒いのもそのせいか。写真を撮影し終えて、浦を閉じている堤防部分を南に走ってみようかどうか迷ったのだが、自分の体力をまだあまり過信しない方が良いように思い、距離を延ばさずそのまま帰ることにした。

K38へ
さぁ、北上します

復路はK38を中心に宮城県へ北上する。いつもなら松川浦への往路としていた道だ。あとから地図を見て知ったが、このK38は相馬亘理線というのだそうな。まさにこの日の筆者のための道路である。松川浦・相馬港付近は津波被害からの復旧復興がかない、公園が多く整備されている。おかげでK38は見晴らしの良い美しい道路になっていた。以前家人のC3で南下した時は、ひたすら真っすぐすぎて眠くなる……と書いたが、北上すると印象はまったく逆で、奥羽山脈と太平洋を同時に見つつ走るという、貴重な体験ができる。交通量はそれなりにあるが、どのクルマもペースは速めなので本当にするすると亘理町まで来てしまった。漠然と岩沼から村田町へ抜けて、いつものK31を帰ってくるつもりだったのだが、K38からK10へ乗り換えたのは良いが、R4をまたぐポイントをうっかり走りすぎてしまった。戻るのも癪だったので、死んだ目でR4を一瞬北上し、名取市内でK39に合流。あまりのフロントグラスの汚れ具合に耐えられなくなり、熊野堂(という地名です)でコイン洗車上に入場。洗車してしまった。

熊野堂からは仙台市太白区・生出でようやくK31と合流。仙台宮城IC脇へ戻ってきてめでたく宮城県と福島県をぐるっと一周。あとは無事に帰宅してお土産のまどか饅頭をぱくつくだけだ。ぴったり5時間/208km。今回訪れたのは、福島県の北の端っこのほんの一部にすぎない。その一部ですら桑折・相馬間の雄大な景色や、おいしいお菓子や、波の荒れる太平洋など、実に盛りだくさんではないか。唯一かつ吉臨時休業だけは残念だったが、それもまた次回の課題としてエネルギーになる。早く春になってほしい。行きたい場所が山ほどあるのだ。

6件のコメント

  • こんばんは。東北中央道などは眼中になく、R115一択だった私ですが、acatsukiさんが迷うようなら、一度高速を走ってみます。いまはR115はまだ雪道でしょうから、今回は高速が吉でしたでしょう。さて、松川浦の素敵な写真の駐車場に、盛大にブラックマークが付いているのに、驚きです。どこにでも出てくるんですね。松川浦の海鮮丼なども別の選択肢としてありましたね。いつもながらの素敵な写真も、松川浦へ行けよ、と呼びかけています。さて、私は本日acatsukiさんとは反対に、鳴子温泉温泉まんじゅう3連チャンの旅を敢行してきました。孫の対応と、母の対応でめげている妻のために、温泉まんじゅうを3か所で食べて一番美味しいのを買って帰るという企画でした。残念ながら川渡温泉駅前の玉泉堂さんは休業でしたが、あとはゲット。さらにacatsukiさんを真似て温泉街ぶらつきの3連投。楽しかったです。案に相違して、道は全線ドライでした。数年前には考えられないことと驚きました。

    • しかもここ大事、E13東北中央道(の桑折-相馬間)は無料なんですよ!大事なら本文に書けって話ですが(笑)。無料だからペースが遅くてもあまり文句を言う気にならなかったです。そうですよね、R115のちょっと標高が高い部分はまだ雪があるはず。
       
      さて鳴子と言えば巨大こけし像の首が、雪の重みで折れた話題で沸騰ですが、ご覧になりましたか?R108とR47の分岐点にあるこけし屋さんのモニュメント。現状確認に行かねばと思っていたんですが、当然ゴリゴリに積雪があるだろうと思って躊躇していたんです。全線ドライとは驚きです。そして川渡温泉駅前の玉泉堂さん??それ知らないです!行かねば!

  • こんにちは。再投です。すみません、書き方が悪かったです。玉泉堂さんは、閉店でした。鳴子御殿湯駅前の「なるみ」さんと、鳴子温泉駅前の「西條菓子舗」さんはやっていました。とにかく、出来立ての饅頭は、時間が経ったものとは別物、というくらいおいしいです。妻はなるみさんのが、好みということでしたが、そこではほかにもいろいろな饅頭を作っていて、今度また行って他のも食べようということになっております。なお、次のターゲットは本吉町津谷の「大島まんじゅう」を店先で食べる、です。もちろん途中の下道も鋭意調査中です。

    • 最近大人しかった私の中の「饅頭ハンター」が覚醒してしまいました!玉泉堂さんの閉業は残念ですが、「なるみ」さん、「西條菓子舗」さん、そして「大島まんじゅう」は、いさみやさんでは?ともあれ、今後訪問必須のお店として深く胸に刻まれました。うーん。食べたい!

  • かつ吉休みでしたか〜
    私もご無沙汰です。
    松川浦行ったなら、そこのおいかわ食堂がオススメでした。
    シーフードカレーやあさりラーメンが旨旨ですよ。

    • 今回海鮮系の食堂の充実に気がつきました。次回は海鮮丼で決まりっす!

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