いざ、鎌倉!はとっても近くにあった

近場ではあるものの、クルマじゃないと行きづらい。そんな場所へ行って遊んでくるのも、クルマあっての醍醐味だ。今回は蔵王町の鎌倉温泉である。蔵王町もその隣の村田町も、言うまでもなく仙台の近場である。当スタジオからは40分くらいで着いてしまう。だから普段は経由地でしかない。なぜそんな近場にわざわざ……と思われるかもしれない。きっかけは昨年秋に遡る。七ヶ浜町はSHICHI-NO-RESORTでの滞在で、近場宿でだらける連休の楽しみに筆者は気付いてしまった。

2021年10月24日
C3で行く!秋の休暇旅行

折々にそんな宿を探していてふと思い出したのが鎌倉温泉である。知り合いのSNS投稿で知ることになったのだが、木造建築の1軒宿。調べてみれば宿泊代がリーズナブルな上に、コロナ対策として宮城県が設定した「みやぎ宿泊割キャンペーン(22年3月末日まで)」で3,000円/1名割り引かれる。え?それ、ふたりで泊まってホントにそんだけ?てなくらいお安くなってしまうのだ。古民家のような6畳間でこたつにあたりながらNetflix三昧、飽きたら風呂……。天国かよ。

鎌倉温泉

チェックインは14時。普通に考えればその前に村田町内で昼ごはん……となるが、あいにく良いお店を知らない。そこで村田町への往路を少し遠回りすることにして、名取市のRossoに行くことにしたのだが、折り悪く定休日だった。久しぶりすぎて営業状況を確認しなかった。愚かなり。気持ちを切り替えて岩沼へ向かうK39沿いにある「仙台食○」なるお店を新規開発することにした。これ、なんて発音するのだろうか。

食堂・仙台食○
仙台食○(名取市愛島笠島字西表前13)
仙台食○・月見そば
月見そば
仙台食○・唐揚げ定食
鶏の唐揚げ定食
仙台食○・大盛りバターコーン
大盛りバターコーン

食べ過ぎに用心して、家人が月見そば、筆者が鶏の唐揚げ定食という分散型発注をしてみたのだが、そもそもどちらも盛りが多め。営業の外回りの人なんかが立ち寄るお店なのだろう。おまけにうっかり大盛りバターコーンまで発注してしまった。そばも定食もクセのない味付けで万人向け。他にも食べてみたいメニューがたくさん。機会を見てまた来よう。岩沼と村田を結ぶK25は、近年の大改修で鏡のような舗装が施され、道路拡幅と大規模トンネル増設。かつてのワインディングロードの面影はない。遠回りどころか、海沿いの岩沼市と山間の村田町は時間的距離が一気に縮まってしまった。村田町内の木村菓子店でおやつを仕込み、いざ鎌倉。と、意気込んでも経路はしょっちゅう走っている道である(笑)。最後の最後に完全にすれ違い不可の狭く細い道を1kmくらい走ったどん詰まりに鎌倉温泉の赤い屋根があった。

鎌倉温泉全景1
鎌倉温泉
鎌倉温泉全景2

谷底の1軒宿。古色蒼然とした旅館は大好物だが、実際の宿泊経験は少ない。わくわくである。秘湯の二文字から閑散とした空気を想像していたのだが、2箇所の駐車スペースはほぼ満車。満車と言ってもせいぜい10台くらいだが、少し意外。急な坂道を下り、味わい深い玄関をくぐるとすぐにフロントとロビー。ロビーというか、休憩所か。風呂上がりのお客さんが何人か寛いでいる。チェックインを済ませて部屋へ通される。部屋は別棟で、フロントからは渡り廊下で行く。ギシギシと鳴る縁側を歩き、一番奥の部屋へ。宿泊客は我々の他にもう一組だけだという。

鎌倉温泉・亀の間
亀の間
鎌倉温泉・鶴の間
鶴の間
鎌倉温泉・長火鉢
オブジェと化していた長火鉢
鎌倉温泉・廊下
鎌倉温泉・部屋から廊下を見る

ちなみに石油ファンヒーターとこたつは有料オプションである。曉スタジオにはこたつがない。だからこたつにあたるのは、かれこれ30年ぶりくらいだが、改めてこたつという暖房器具の中毒性を噛みしめることになった。一度入ったら出られない。背中に感じるすきま風すら気持ち良い。この快楽をなんとしよう。もうこれだけでこの宿に来た甲斐があったというものだ。もちろんさっそく風呂に行く。広くない浴室は、感染症対策もあり、一度に入浴できる人数が限られている。この時は筆者を含めて4人で、実はこれでもう満員感がある。ここで気が付いた。駐車場に溢れるクルマは日帰り入浴客のクルマなのだ。秘湯っぽいルックスに騙されてはいけない。鎌倉温泉は大人気温泉だったのである。この後の滞在中、すっかり暗くなってからも入浴客が途切れずにやってくるので、フロント廻りやロビーはざわざわしていた。一方で宿泊棟はひっそり。このコントラストも良い。ちなみに部屋と廊下を仕切っているのはガラスはめ込みの障子だけ。部屋と部屋の仕切りは襖。もちろん鍵などない。プライバシーという概念はほぼない。

鎌倉温泉・フロント
フロント
鎌倉温泉・休憩コーナー
フロント脇のロビー……というよりも休憩コーナー
鎌倉温泉・本棚

廊下の本棚にはたくさんのマンガが揃えられている。なぜこんなに大量に……?と、最初はちょっと不思議に思っていたのだが、日帰り入浴客がこんなに多いならそれも納得。この日は見かけなかったが、部屋借り+無限入浴ができる「日帰り入浴プラン(大人1,200円、16:30まで)」がある。仙台在住の筆者には、これが最強プランかもしれない。うっかり「ブレイクダウン(さいとうたかを著)」全5巻を見つけてしまい、部屋で貪り読んでしまった。部屋にはフリーWi-Fiが完備されている(但しセキュリティレベルは低い)が、結局Netflix三昧どころか、SNSのチェックくらいが関の山だった。風呂に入ってマンガ、風呂に入ってマンガを繰り返していると、頭を使うことが面倒くさくなってくるのである(笑)。

鎌倉温泉・初日晩ご飯
初日の晩ご飯

18時に晩ご飯を食べてのんびりして、テレビなど見たら21時でもう眠い。またもや入浴して(貸切状態だった)早々に寝てしまう。酷く風の強い夜で、戸がガタガタとうるさく、すきま風が寒かった。

コーヒー牛乳
そりゃ呑みますよね、コーヒー牛乳を

朝一番の風呂もやっぱり貸し切り状態。筆者は風呂に入ると眠くなってしまう性質なので、滅多に朝風呂には入らないが、実は大好物。青空を見上げながら大きな風呂にひとりでつかる贅沢よ。朝食後のんびり帰宅準備をして、10時近くにチェックアウト。

鎌倉温泉・2日目朝食
二日目の朝食

このまま帰宅するのはもったいない。が、湯疲れか身体が重い。名取市あたりでおいしい昼ごはんを食べてから帰宅するつもりだったが、この二日間の過食が祟ったか、宿を出発してもまったく腹が減る気配がない。そこ名取市云々をいったん忘れ、白石市方面から遠回りして帰ることにした。まずは村田から蔵王コスモスラインで白石まで南下。E4東北自動車道・白石IC近くにある白鳥神社を見つけ訪問。

白石市・白鳥神社
白石市・白鳥神社(宮城県白石市福岡深谷明神10)

これまではJR白石駅付近の市街地ばかりについ足を向けていたが、R4よりも西側に点在する古い住居が連なる眺めは、なかなかに味わい深い。さらにC3を進める。白石市街地から角田市・丸森町方面へ向かう道行きは、「今まで気になっていたが走ったことがない道」を選んで走ったが、幸か不幸か所々「あ、ここか」と馴染みのある場所に出てしまう。

7-11角田江尻店から蔵王をのぞむ
セブンイレブン角田江尻店(宮城県角田市江尻峰岸107-1)から蔵王をのぞむ
JR船岡駅
JR船岡駅(宮城県柴田郡柴田町船岡中央1-1)

結局大河原へ抜け、再び村田町へ戻り、K31で仙台市内へ戻る王道コースで帰宅した。わずか1泊だし、移動そのものにも特段の魅力があるわけでもない。が、たまにはこういう「ひたすらのんびりするだけ」という贅沢な時間の使い方ができるようになってきた。歳を取って得たもののひとつである。すきま風の吹く6畳間への滞在を万人に勧めることはしないが、クルマによる移動の自由を謳歌する口実のひとつとしては、なかなか上出来だと思っている。近場泊、どうですか?

シトロエン C3
今回の足も家人のシトロエン C3

4件のコメント

  • こんばんは。今回も味わい深い内容をありがとうございます。特に、ガラスの入った障子の画と廊下(縁側?)の画がググっと来ました。あ~、懐かしい!!私のおばあちゃんが出てきそう。いいなあ。そして、晩御飯と朝御飯のけれんみのない日本の由緒正しい献立がまたグッときます。鎌倉温泉は地図上では知っていましたが、実際に行ったことはありません。なんか、秘湯ではないのに秘湯に行ったような錯覚を起こしそうですね。のんびりと過ごす時間は大切ですね。ちなみに晩御飯に写っているのは何かの魚の煮つけでしょうか?

    • 私の祖母の家も障子と襖ばっかりでした。だから懐かしいのか(笑)!秘湯って、やはり移動する距離にも感覚は左右されるんじゃないかと思います。あまり近い場所だと秘湯感が希薄なんです(笑)。鎌倉温泉の場合はそこが魅力ですけど。晩御飯に出てきたのは確かに魚の煮付けなんですが、魚の名前は不明。キンメじゃないかと。皮が赤かったなぁ。旨かったです。

  • 前ブログの最後の昨年の記事から更新されないなぁ~って・・・ブログ引っ越しされていたのですね。

    それに入院されていたとか、でも、この記事見るに一応食べられて、運転も出来るまで回復されている様子。

    安心しました。

    ご存じの通り、山形は今年クッソ雪でした。いまだに路肩に雪が残っている始末。

    今年もオフ会でお会いできるといいですね。

    • パイセン、お久しぶりです。しょっちゅうドメイン変えてすみません。でもこれが最後の引っ越しですんで、今後ともよろしくお願いいたします。西蔵王公園近くの蕎麦屋さん・竜山のインスタ投稿を見ていても、マジかよ、もう3月なのに!と呆れる積雪量でした。我慢の子、ですね。マツダ3は健在でしょうか。ま、うちの2台みたいな波瀾万丈とは無縁でしょうね(笑)。

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