2022年3月13日

暗いプントエヴォ

3月13日に東松島市、石巻市の海沿いを走ってきた。毎年3月11日は言うまでもなく東日本大震災のことを考えざるを得ない日だが、だからこそ11日を外して津波被害を受けた地域に足を運ぶようにしている。11日を特別な日としている人は多い。ほぼ無関係な筆者のような者が津波の被災地にのこのこ出かけて行くのは如何にも場違いな気がしてならない。でも正直な話、東北の太平洋沿岸を走る時は、いつだってあの津波のことを考えてしまう。ブログのツーリングレポートにそういう心情を毎度毎度書かないだけだ。3月に上げるこのエントリーは大目に見ていただきたい。昨年は県南の山元町方面を走った。10年経過して尚、荒れ地に戻すだけで精いっぱいの様子を見てげんなりした。それは「復興を人任せにしてきた自分」へのげんなりである。最近ちょうど南に向かうことが続いていた。11年目のこの日は石巻方面へ。

定点2022-03-13
大和町の定点観測地点

まずは腹ごしらえ。松島町内のHarry’s Junctionに11:00の開店と同時に入店。チーズマカロニバーガーにスモークベーコンをトッピング。今回腹ぺこで訪問したにも関わらず、手中のバーガーが食べても食べても減らないという魔法を体験した。ものすごいボリュームなのだ。ひたすらモグモグ。チーズマカロニは最高にうまいが、個性がケンカしてしまい、せっかくアドオンしたベーコンの味がよくわからなかった。次回は違うメニューに挑戦だ!

Harry's Junction
店構えだけでわくわくしちゃう!
チーズマカロニバーガー
チーズマカロニバーガー

満腹を抱えて奥松島・野蒜海岸へ。前日は完全に春の陽気だったのに、この日に限ってしとしとと雨が降り続き、気温も2-3度しかない。周囲のクルマに混じってゆっくり進む。途中JR陸前大塚駅に立ち寄る。どうということのない無人駅だが、アルファロメオ MiToを買ってひとりツーリングの楽しみを覚えた頃、夜活でよく訪れた。深夜の無人駅の寂しさというのは格別である。なにかこう、いかにもひとりだなぁって気分になれるのさね。しかしこの日はまさかの待ち人あり。ちょうど下り列車が入ってきて、それに乗っていった。あの人もこの時期にこの辺りに来る必要があったのかもしれない。

陸前大塚駅1
JR陸前大塚駅
陸前大塚駅2
陸前大塚駅3
石巻市は石ノ森章太郎推し。キャラクター大集合の「マンガッタンライナー」

陸前大塚駅から野蒜(のびる)海岸はすぐだ。ここも運転免許を取って以来、足しげく訪れた場所。昨年久しぶりに来た時は、見上げるような高さの防潮堤の土台がそびえ立っていて、立入禁止になっていた。これでは工事が終わっても海などもう見えないだろう。野蒜に来て海が見えないなんて……と哀しくなったものだが、今回訪問して驚いた。なんとその見上げる防潮堤の上が、新県道なのだった。嵩上げ道路を造っていたのか……!

野蒜海岸1
野蒜海岸の嵩上げ道路
野蒜海岸2

なんというか、強引だなぁ。でも海側だけ見れば津波被害以前の景色が広がっている。クルマを停めるためらしいスペースもある。海水浴場は再開しているのだろうか。夏の再訪を誓いつつプン太郎のエンジンをかけようとしたら、友人からメッセージが。Mac関係のある不調を解決してほしいとのこと。いつでも良いと言うが、早い方がどうせ良いのだろう。石巻方面を走ってから向かう旨電話する。

野蒜海岸付近から石巻方面へ行くなら、鳴瀬奥松島ICからE45三陸自動車道へ乗るのが手っ取り早いのだが、この日は趣旨が違う。R45で鳴瀬川を渡り、すぐに海方面の細い道へ。途中「野蒜築港跡」の看板を見つけ、立ち寄ることにする。

野蒜築港跡とは?
国土交通省 東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所サイト「幻の野蒜築港

野蒜築港跡付近

小さいながらも漁港があった。人は見かけない。鳴瀬川河口の向こう岸に釣り人が見える。

鳴瀬川河口の釣り人たち

雨催いだからか、なんだか寂しい景色である。しかし昨年山元町で感じたような、復興にまつわる忸怩たる感覚は不思議とない。もう少し石巻に近づいてみよう。矢本海浜緑地公園、その先の高さ7-8mはあろうかという防潮堤に上がってみる、さらにその先の石巻工業港の西端まで行ってみる。

石巻工業港1
小山のような防潮堤
石巻工業港2
石巻工業港

どこをどう見ても急ごしらえのような真新しい建造物と、もう何十年もそこにあるような古い建物がまだらにある。甚大な津波被害を受け、そこから成された復興事業が、すでに地元の血肉になっているように見える。あぁそうかと合点が行った。復興とは「元に戻ること」ではないのだ。元に戻るわけがない。土地も、命も、失われたものはもう戻らない。それを無視して「見た目だけの昔通り」にせず、生き残った人たちの使い勝手に基づいて組み立てられたものが、今筆者が見ている風景なのだ。だとすれば風景の馴染み具合や、そこに人がいることに違和感があろうはずがない。なるべくして今の風景になったのだ。それは喜ばしいことだと思った。あの地震や津波をなかったことにはできない。が、ここまで乗り越えてくれていた。結局筆者は何の役にも立っていないが、2011年から枝分かれした未来をリアルタイムで見られることは幸せだと思った。

ふと、では福島や岩手の太平洋沿岸はどうなっているのだろう、と気になった。機会を見つけてそちらにも行ってみよう。ちなみに友人のMacのトラブルは、あるプログラムをインストールしたのに認識しない!というもの。でも再度インストーラを立ち上げたら次々インストールし始めて、そりゃ認識しないわなぁ。ちゃんちゃん。

4件のコメント

  • こんにちは。

    JR陸前大塚駅! 何ともマニアックな(笑) 
    ほぼ毎週通っているこの駅前の道路は 
    「ねずみ取り」「白バイ」「覆面」と 
    オンパレードで最重点取り締まり道路ですね。 
    何台も捕まっているのを見てます。 
    良いペースで走れるので(汗) 

    また時間帯が合うとブルーインパルスにも
    遭遇できたりして、かなり前のことですが
    MINIに乗ってるときに野蒜の運河上を
    ブルーインパルスが低空飛行していて
    一緒にランデブーしたこともあったけ。

    そういえばHarry’s Junction!
    もう何度も行っていますが
    毎回ハンバーガーがグチャグチャになって
    妻からは「何やってんの」とツッコまれてます(笑)

    とりとめの無い報告文でしたぁ(汗)

  • ええっ?大塚駅前、そんなデンジャラスな道路だったんですか!あっぶねー!今後は気をつけます。別にぶっ飛ばしているわけではないですが、タイミングってものがありますものね。ブルーインパルス。数年前、まだ野蒜海岸の嵩上げ道路が単なる土を盛り上げた段階だった頃に、海水浴場の上空を低く飛んでいるのを見ました。オリンピックの盛り上げ役で東京の空を飛ぶずっと前です。あれを見ているとトップガン級のパイロットってなぁ、なりたくてホイホイなれるもんじゃないんだなぁってイヤでも思いますね。
     
    ところでHarry’s Junctionのハンバーガーは、最後ぐちゃぐちゃになってしまうのがデフォルトですから、気にされる必要はないと思います。思いついて、テーブルに運ばれてきた時、すぐにトマトスライスを外してみたことがありますが、そうするといくらかマシです。でもケチャップとマスタードをドバドバかけるので、あまり大差ないですが(笑)。んでも旨いからそれはどーでもいーのです!

  • こんにちは。今回も味わい深い内容をありがとうございます。特に大塚駅がいいです。東北は大和朝廷に攻められ、源氏に攻められ官軍に攻められ、災害に何度も攻められてきた土地だなあと思います。それでも一人一人が幸せに向けて生きているわけですね。私は年に何回か山本町の浜吉田駅まで電車で行って駅前の「水けしき」というところでナポリタンを食べてきます。親方が乗降客もどれだけいるかわからないようなところで頑張っています。蘊蓄が好きなのが欠点ですが、数か月に一度は食べたくなります。(好き嫌いはあるような味です)そして常磐線にも結構人が乗っていて、うれしくなるのです。みんな、自分の背中に背負って生きているんですね。

    • きっと背負ってますよね、誰もが。東北という土地の来し方については浅学ゆえ思いが至らないのですが(情けない)、あの大ダメージから地続きになっている「現在」というものにはとても興味があります。
       
      ところで、電車の移動もいいですよね!クルマブログで言うことでもありませんが(笑)。浜吉田駅、ですか。今度クルマで行ってみます。でも蘊蓄はちょっと、なぁ……(笑)。

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