左ハンドル車の日常

乗っているクルマが左ハンドル(LHD)だと人に言うと、運転に興味のある人からは大体次の反応が返ってくる。「交差点右折が大変じゃない?」「追越しとか大変じゃない?」「駐車券発行式の駐車場の出し入れ大変じゃない?」。大変じゃない?三重奏である。

個人的にはそれらは大変ではない。追越し時の安全確認や駐車場の出し入れに多少の難があっても、ストレスのない運転姿勢を保持できることの方が100万倍重要だからだ。A-Cセグメントの右ハンドル車両では、全長の短さからどうしても室内設計にあれこれ制約が発生してしまい、結果的にペダルやハンドルのオフセットなどが発生して、万全な運転姿勢を作れない車両が多い。LHDのプン太郎と言えども100%完璧と言えないが(もう少しだけA、Bペダルが右に寄ってほしい)、「運転してナンボ」なクルマに充分なっている。その希少さを思えば、駐車券を引くためにクルマから降りることなどなんでもない。

ただ「あ、これは左ハンドル車に乗っているからか……?」と思うことがある。それは一時停止時の安全確認動作だ。つい、左から確認してしまう。自分の身体に近いところから安全かどうか確認したくなるのは、おそらく生物としての本能だと思う。しかし日本国内の交差点で、真っ先に確認しなければいけないのは右方向の安全ではなかろうか。例えば交差点へ進入しようとする時、最も危険なのは、交差する目の前の道路の左車線を右から走ってくる車両との接触だ。だから左側通行の日本国内での安全確認は、①右方向、②次いで左方向、③直前にもう一回右方向という手順で行うべきだ。それなのに筆者はついつい左から確認してしまうことがある。プン太郎が左ハンドルだから、つい自分の身体に近い方から確認してしまうのだろうか。

最終的に左右どちらも確認することができればいいじゃん、別に大した問題じゃないと思う方もいるかもしれないが、このことは軽視すべきではない。右ハンドル車両の運転手でも、左側ばかり凝視しながら鼻先をどんどん入れてくる運転手が多い。右折後に走ることになる、交差する道路の左車線が気になるのだろう。それを右からの走行車両から見れば、「おいなんだよ、左を凝視しながらどんどん進入してくるじゃないか」となる。

筆者が考える「運転上手」とは、周囲のクルマに余計なブレーキを踏ませない運転だと言える。結果的に接触しなけりゃいいでしょ、ではない。前のクルマを煽って車線変更させ、右左折のクルマや歩行者をギクッとさせつつ「でもオレ、不思議と事故は起こさないんだよね」とドヤ顔されても、ねぇ。速度管理は当然だが、適切に停車できることや事故を未然に防ぐ動作も含めての安全運転だ。なのに左側だけ見たままズルズル交差点に入ってくる車、多いんだよなぁ。ヘタしたらそのまま入ってくるから恐ろしい。右も見てよ!

Peugeot308GTi
これはプジョー 308GTiに試乗した時の画像。
人生初の左ハンドル車両運転経験。in 2016

12件のコメント

  • > 筆者が考える「運転上手」とは、周囲のクルマに余計なブレーキを踏ませない運転だと言える。結果的に接触しなけりゃいいでしょ、ではない。

    まったくその通り。
    オレも同じことをよく言います。
    運転していてその手のことで、文句を言っていると、隣の細君から、ここで言っていても(相手には)聞こえないんだから仕方ないでしょ、と嫌がられます。😅

    • 私も同乗者がいる時に口にしてしまうことがありますが、我ながら、なんかイヤなヤツですよね。第一自分自身も聖人君子みたいな運転をしているわけじゃないし。結局酷い運転をしているクルマとは距離を取るってのが、今のところ最適解ですよね。

  • こんばんは。安全運転と無違反が運転を楽しむための最低条件だと思います。先日の覆面に赤色灯を出されたけど難を逃れた件以来改めて感じている今日この頃です。こどもの日に会津川口方面にツーリングに行った際も今までより慎重に運転するようになりました。運転に楽しみを覚える人はもちろん、そうでなく移動手段だけと捉えていいる人も、お互いに安全に気持ちよく運転したいものです。違反や事故など起こしたら、運転の楽しみなど吹っ飛んでしまいますから。そして横断歩行者妨害なるものも近頃知ったので(遅い)そこも気を付けて運転している次第です。そうすると街中では自然とゆっくりで他人に迷惑をかけない運転になるようです。

    • 速度もですが、車線内の、どのあたりを走るのかってのも気を使うことがあります。左車線の真ん中ってのが一応デフォルトだけど、近くに小学校があって、しかも下校時間なんて条件になると、実は右車線寄り、つまり車道の中央寄りを法定速度で慎重に走るのが正解ってこともあるな、と。とにかく道路1本1本に、区間ごとに道路状況は千変万化ですから、「絶対的な正解は無い!」と割り切って判断するしかありませんね。実際そういうことに考えが行くようになると、実はそういう風に的確に判断して運転を変化させている運転手さんって、結構いますね。最近は4tくらいの流通系業務トラックの運転から学ぶようにしてます。運転がうまい人が多い。宅配系とタクシーは案外そうでもないんですよね(笑)。

  • 言葉は悪いですが、相手を信用しないよう心がけています。いわゆる「かもしれない」です。「こちらを見ていないかも」とか「ウィンカー出してないけど曲がるかも」はよくあるかもしれないですが、はっきりういと常に「相手は下手かも」とか「相手は自分勝手かも」とかまで考えてます。なので一見安全運転してますが、メチャ腹黒です。勿論4CでもLEXUSのおじいちゃんやヤンママ、ヤンパパ?のベルファイア相手には、できる限り徐行または停止してやり過ごします(笑)。文字にすると腹黒というより上から目線ですね、気をつけます!

    • アメリカで50年だか無事故無違反のおじいさんが表彰された時、「無事故で過ごせるコツは?」とか訊かれたらしいんですね、取材で。で、答えて曰く「自分以外のドライバーは全員気違いだと思え」だそうです。じゅんすかさんの心構えはまったく間違ってないと思います!
       
      先日前を走ってるホンダ フリード(だったかなぁ、でもシエンタではなかった)が、ヘンな運転だったんですよ。車線の中をよたったり速度出したり落としたり。ヤな運転だなぁと思いつつ付いて行って、赤信号で停まった時にわかったんです。左前輪がパンクしてる!仕方ないから降りていって指摘してあげました。助手席の奥さんが「ありがとうございます!!!!」って言ってくれました。相手の整備不良ってのもありますよねぇ。あのフリード(だったかなんだか)が対向車で、それなりに速度出てて、ちょうどすれ違うタイミングでバーストでもやらかしてこっちに突っ込んできたら、目も当てられない。怖いなぁと思いました。ま、オレも以前買い物に行ったらスローパンクチャーで右前輪がベタッとつぶれてたことがありますから、人のこと言えないんですが。

  • エスプリからずっと左ハンドル車が我が家には1台はありましたが、ついに無くなりました。正直、あまり左・右、気にならず運転していましたが、全車が右ハンドルになったら、やっぱり楽でした。車幅が1940mmから1800mmになったのも、大きいですけど(汗) 右折しやすいし、左にピッタリ寄せても降りれる(笑)

    車線内のどのあたりを走るかというコメントがありましたが、これ、本当に重要ですよね。特に、山道では、見通しの悪い左コーナーは、必ずスローダウンしてイン寄りで走っております。対向してくるバイクが怖いです。アウトインアウトで中央線近くににラインをとってくるバイクが非常に多い印象です。

    • それさぁー、「1940mmから1800mmになったのも、大きい」んじゃないのぉ(笑)?? オレごときは1940mmのクルマは右でも左でも運転に右往左往すると思いますね(笑)。そう言えば左にぴったり寄せて降りられるのは無条件で羨ましい。あ!逆に駐車場に停めた時、車室内、左側に余裕を持たせて停めても、右隣のクルマの乗り降りに大した影響がないのは美点だと思ってます(その隣のクルマ、助手席に人が乗る時はアウトですけど)。
       
      山道というか、走ることが目的で走る道路ってあるじゃないですか、あちこちに(笑)。そういうところを走る人の中にもいきなりセンターを割って曲がってくる人がいるんで怖いですよねぇ。バイクで怖い思いをしたことはないんですが、先日はダイハツ コペン(現行)の屋根を開けてかっ飛んできたおじいさんが危なかった。その時はこっちもかなり慎重にラインを取って速度も落としてたのでこっちに余裕はありましたけど、明らかにおじいさんびっくりしてたもんなぁ。ま、オレ、もう最近はホントに山道行かなくなりましたけどね!

      • 「それさぁー、「1940mmから1800mmになったのも、大きい」んじゃないのぉ(笑)??」→→→ そうね(汗)失礼いたしました(苦笑)

        • 1,800mm代は想像できても、1,940mmはやっぱり身体に入ってこなかったです。とにかく左右の斜め後ろが見えないなー、的な。ま、時速40km/hで駐車場ぐるっと1周しただけですけど。あれはすごい。

  • 左ハンドルは意外と使いやすくて安全、に一票。
    RHDのM235iを多用するようになりましたが、やっぱりMiToのLHDのほうが安全に運転できるって思ってます。なんと言っても自転車、バイクの横を抜けるときが安心。見えにくいから追越も右折も無理しないし、助手席の人を降ろすときも降ろしやすいところにしか停めない=駐停車禁止の路肩で無理やりなんてことがない。
    でも高速道路の左側からの合流は死角が多くて怖い。これが一番の難点かなぁ。だからデジタルミラーつけて死角を少なくしてるんですけどね。確かに山道くねくねではRHDと見える世界が違うから、右に急に現れるバイクとかトラックの大きな頭とかにぎょっとしますね。
    でも、駐車券をとるために降りるのはイヤです、はい。

    • ホント、慣れてみれば大した違いはないと実感しますね。あと意外な効用として、「車体外郭の把握がしやすいデザインかどうか」というのも、わかるようになったと思います。RHDだから左寄せが難しいんじゃなく、「そのデザインじゃ、その運転席周り設計じゃ、見えにくくて当たり前」というRHD車があるんだ、とわかったことはLHD慣れの効能のひとつでした。車幅も関係すると思いますけど。あと助手席の人を降ろす時ね!左通行で右座席から降りるってことは、走行車線に裸で飛び出させるようなもんだから、かなり気を使うようになりました。一応それも効能だと思ってます。でも駐車券だけはねぇ……。

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