ゴールデンウィークだけど誰もいない場所2024

ゴールデンウィークを迎え、人並みにどこか行楽に出かけてみることにした。それは良いがやはり人混みは苦手なので、同行する家人の趣味と筆者の目的地選定スキルを総動員して「ゴールデンウィークだけど誰もいない場所」の2024年版を考えてみた。ちなみに2019年に同じタイトルのエントリーを投稿した際には、ユニークアクセスが普段は200件/日程度の当ブログが、3日で1,000アクセスクリアという奇跡が発生した。今回もアクセス数稼ぎができるかどうか、ステマに近い釣り記事である。

今回は同行する「家人の趣味」がキーワード。家人は特に建築物にご執心で、助手席で「うわ!あの窓枠が!」とか「あの屋根、いーわー!」とか「あんなところに美麗タイルが……!」とスマホカメラで撮影しまくるマニアである。かねて山形県高畠町のいくつかのポイントを訪れてみたいと言い言いしていたので、今回高畠町探訪をテーマに出かけた。ルートは仙台市内からR286・笹谷トンネルを経て山形市内入り、R13を南下し上山市でK13に分岐、K268も併用し高畠町内入りである。家人のシトロエン C3で出かけるので、K13金山峠は(せっかく開通していたが)見送り。このルートで高畠入りすると、上山市の端っこの方で「楢下宿」という旧来の宿場町の史跡も堪能できる。高畠町内の探訪地は「旧高畠駅舎」「瓜割石庭公園」「阿久津八幡神社」である。「え?それだけ?」と思われる方が多いと思うが、病身の筆者の体力を勘案するとこれでもけっこう詰め込んだ方なのだ。

一方で前述のスポット群は「知る人ぞ知る」どころか、かなりの有名スポットである。そこで重要なのが訪問時間。この日は仙台市内北部の曉スタジオを朝6時に出発。ガソリン補給やコンビニおにぎりによる豪華朝食を経て、上山市の楢下宿に到着したのは朝8時にならんとするところだった。

当日は快晴と言っても過言ではない爽やかな晴れ空が広がっており、朝8時の楢下宿の空気は鮮烈。楢下宿は江戸時代、奥州13藩参勤交代時の定宿地だったそうで、いまだ脇本陣などの主要家屋が残存する静かな集落。明治時代に掛け替えられたというアーチ式石橋も趣深い、国・県・市の重要文化財が目白押しの地なのだ。さらに興味のある方は各自ネットで捕猟してほしい。これらの文化財級建物の公開時間はたいてい9時からなのだが、管理する方のご厚意でC3を停めた駐車場に隣接する「大黒屋」だけはその場で開けてくださった。ありがたい。

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金山川
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覗橋
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大黒屋の勝手

建物の中も外も静寂が満ちており、すぐ脇を流れる金山川のせせらぎや、カエルや野鳥の鳴き声だけがたゆたっている。畑仕事に出かけるであろう軽自動車や街道筋の住人と思われる方が犬の散歩などで時折通り過ぎるだけだ。連綿と続く時間の流れの中に自分が立っている自覚がひしひしと脳内に満ちてくる。アサイチで素晴らしいところに来てしまった。今回は覗橋と大黒屋だけだったが、普通の平日の午前中にクルマを停めて周囲を散策するだけで、相当贅沢な体験になるだろう。もちろん昼食はすぐ近くの「楢下宿丹野こんにゃく」さんでこんにゃく懐石だ。想像するだけで素晴らしい。

次は高畠町内に入り「旧高畠駅舎」を目指す。寺社仏閣を除けば町内では一番アイコニックな場所と思われる。家人はとにかく建物の詳細を撮影したいから、わさわさ人が集まってくる前にまずは……という次第。

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実際到着してみれば、確かに他県ナンバーの日産 ノート e-Powerで訪れている壮年のご夫婦やひとり電子タバコを燻らすライダーの方などがいたが、周辺も含めてこちらも静かなものだった。立入り禁止の駅舎内を窓から覗き込めば、昭和49年に廃線となったばかりだから、このまま切符売り場の小窓が開いて利用者がぼちぼち現れるのではないか?と錯覚してしまうほど現役感が残っている。駅舎から少し距離を置いて周囲を眺めれば、駅舎周辺は公園として整備されており、2-3歳の女児を連れて遊ぶ若夫婦や散歩中のお年寄りなどがちらりほらり。みなさんよそ者の筆者にも声をかけてくださる。こんな些細なことからでも高畠町は暮らしやすそうなことが肌でわかる。それも嬉しい。

鼻息荒くバシャバシャ写真を撮っている家人をいなして、次は「瓜割石庭公園」に向かう。筆者は2018年10月に「クルマで行きますOFF会#17~宮城・山形横断特急~」で訪れたことがある。

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じゃるさん元気かな

普段は人っ子ひとりいない森閑とした場所だが、さすがGW、引っ切りなしに訪問者が来る。なぜかカップル、2マンセルばかりなのが面白い。草刈りをしていた壮年の男性が親切にガイドしてくださって、2度目の訪問にも関わらず多くの新知識を得ることができた。近所に住む普通のおじさんみたいな方だったが、現地ガイドは立板に水の如し。こういう方が(恐らくボランティアで)維持管理に関わっているということは、やはり町民の高畠愛は深いのではないか。

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昼食は南陽市・赤湯温泉街の「お食事処ふみよし(山形県南陽市赤湯853-17)」さんと決めていたのだが、開店は11:30。瓜割石庭公園を堪能し終わってもまだ10時である。そこですぐ近くの「道の駅たかはた」にて休憩を目論む。当然ジェラートなど食べますわね。

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筆者の知る週末、増してやGWの道の駅たかはたにしては駐車場のクルマが少ない。ジェラートを調整してくれた店員さんに「なんだかあまりお客さんがいませんね」と声をかけてみると、「そうなんです!昨日もヒマで……」と苦笑い。よろしくありませんなぁ。行楽地は行楽地らしく、こういう時は賑わっていないと。どの口その口だがこれも本心ではある。道の駅たかはたからブドウマツタケラインを経由して赤湯温泉街へ抜けても30分かからない。時間を持て余した我々は、すぐ向かいにある「阿久津八幡神社」様へ行くことにした。

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アイコンたる三重塔はいつも目にしていたが、本殿まで境内を上がって行くのは今回が初めて。だからわかったのだが、二礼二拍一礼するためには、大したことのない距離ではあるものの石畳の上り坂を上がって行く必要があるのだった。もっともそのおかげもあって、途中「耳の神様」なる小さなお社にお参りできたのは良かったが……。無事阿久津八幡様にお参りし、拝殿・本殿の周囲をふわっと見学していたら良い時間に。いざふみよしさんへ。ブドウマツタケラインの高畠・南陽区間を運転したのは家人だったが、「うわー、良い道ね!」とご満悦。そうでしょうそうでしょう。途中の時沢集落にあるシフォンケーキ専門店「にんまる」さんに立ち寄ることができなかった(せっかく営業されていたのに)。次回こそ!

良いペースで走ることができて、ふみよしさんへは開店10分前に到着できてしまった。日陰のベンチで大人しく待つ。

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以前ふみよしさんを訪店したのは2021年なのだが、現在は移転して温泉街直近のK156沿い、烏帽子山公園の土手下に新店舗を構えておられる。移転前の店内は大座敷に座卓+座布団席がいくつも並び、隣の客の注文から会話から全部駄々漏れみたいな雰囲気で、そこがたいへん魅力的だった。新店舗は良く言えばテーブルごとのアイソレーションがきちんと取られていて、我々の席などは半個室と言っても過言ではない。コロナウィルス禍が実は収束していないのだから仕方ないが、以前のあの江戸時代の湯屋の2階みたいな雰囲気は悪くなかったなぁ(江戸時代の湯屋に行った事はないが)。家人は五目ラーメン(塩味)、筆者はチャーシューメン(醤油味)+半チャーハン。メニューのビリングトップに燦然と輝くとんかつ定食は量的に惨敗の予感がしたので今回見送り。チャーシューメンのやや甘めの醤油スープは意外と良いですね。

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実は同日同時間帯にkikuchi大先輩も入店していたらしい。実際にはお会いできなかったが、もしお会いできていたらすごい偶然になるところだった。残念。我々はふみよしさんの駐車場から出発し、旧R13現K102を南下。今日何度目?という高畠町内を疾走しR113で宮城県七ケ宿町へ。あとは先日の米沢から帰路とまったく同じコースを辿って帰宅。C3なので毎度のことながら走行距離未確認。

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釜房ダム湖畔の藤枝商店にて。
前日・前々日とすぐ近くで
「アラバキロックフェスティバル」が開催されていて、
普段からは考えられない程の交通量。
しかし藤枝商店の店前だけは
時間が止まったかのようにのんびり

人混みに翻弄されることなく実にゆったりマイペースでそれぞれの場所を堪能できた。特に朝の楢下宿は単にルート上にあるからという程度の動機で立ち寄ったにも関わらず、筆者個人的にはこの日のベストサイト。気になるスポットを初訪問する時は季節や気温をまずは気にしてしまうが、実は訪れる時間帯も大変重要なことが良くわかった。楢下宿、また行きたい。そして一方で、驚いたことに我々が走り抜けたその後、ブドウマツタケラインの蛭沢湖周辺で林野火災が発生したという。ヘリまで出動する大規模な火災だったらしい。おっかねえ!みなさまどうかご安全に。

12件のコメント

  • 文化財のデパート高畠町に来られたのですね!私も好きな町です。縄文文化も残っているので高畠町に入るとレキシの縄文ロンリーナイトを聞きながら走ってますよ(笑)

    • 雰囲気重視なんですね(笑)!歴史的文化遺産がたくさんある高畠町ですが、どなたか系統立てて解説するプチツアーとかやっていただけないかなぁといつも思います。ひとつひとつをクルマで移動しやすい順で回っても、関係性がわかりにくい……のは単なる当方の知識不足ですが。誰かやさしく教えてくれないかなー。あとおいしいご飯が食べられるお店も教えてほしいです。

  • 同県に住んでいても高畠ってあんまり行ったことないですねぇ~

    記事見てたら今度じっくり行ってみようと思いました。

    • 次に行く時は少し予習してから行こうと思います。あとブドウマツタケラインを走るという誘惑をどこまで断ち切れるか、ですね(笑)。

  • acatsuki様
    どれも素敵な写真ですね~。
    動画にはとても癒されました。
    風景だけでなく、音にも、、、癒され不足の自分に改めて気づかされました。(滝汗)
    お身体いたわりつつ、よいゴールデンウィークをお過ごしください!

    • 風や川のせせらぎ音って弛緩できますよねぇ。5分くらい録音してループ再生したい。Tazzaさんこそお身体ご自愛ください。

  • こんばんは。あの日は12:15に到着しました。その前に迷ったのが15分くらいなので、もしかしたらお会いできたかもですね。カツ定食は味はもちろんですが本当に量が凄いので、妻と行ったらカツ定食一人分と、御飯とみそ汁で十分です。(そんな頼み方できるのか?)妻も是非行ってみたいと言っています。
    いつもながらの写真のきれいさ。感心します。楢下宿はいつも通り過ぎるだけなのでそのうちゆっくり歩いてみたいです。
    この赤湯を昼食の場所にしていろいろなルートが組めることが分かったので、これから何回も訪れることになりそうです。これもご紹介いただかなかったら、知らずにいた訳ですので、感謝しております。これからもどうぞよろしくお願いします。

    • ふみよしさんの駐車場を出発したのがちょうど12時!残念!!とんかつ定食の完食が難しそうな件、相方には「中華ざる」という、ふみよしメニュー中もっとも量の軽そうなメニューを発注してもらって、カツはシェアするってのがいいかもですねぇ。赤湯、他にもおいしそうなお店があったんですが、2021年に訪問した時はちょうどコロナ対策が浸透していた時期で、良さそうなお店が数軒「県外のお客様おことわり」だったんですよねぇ。あれ、根拠ないのにやめて欲しいなぁ。おかげで「赤湯温泉=ふみよし」という公式ができてしまったわけです(笑)。
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      写真はいまだにぜんぜん満足できておらず、「これはやっぱりレンズじゃないか?」とか「いやいや、もっと良いボディ(カメラ本体)が……」みたいに「金で解決」がちらついてきてまずいです。撮り続けるしかないです。ちなみに本エントリーの画像は(2018年オフの1枚を除き)すべてiPhone12で撮影してます。晴れ間の発色は確かにウェブ向きですね。

  • 無沙汰してます。
    元気です。

    高畠っていうと赤黒白ミト乗りくらべ会とクルマでOFF会#17でしたねえ。所用があって途中離脱してしまいましたけど。懐かしいです。
    たしかマンボウさんのイチゴー号のお披露目会も兼ねてましたっけ。

    ご紹介のスポットはじめ食って走れるのが魅力的な場所ですし仙南からはK47〜R286経由で笹谷またはK51〜R113経由の七ヶ宿からアクセスできて距離もちょうどいいのでよく行ってましたね。

    ご紹介のスポットの他には大聖寺(亀岡文殊)もおすすめスポットですね。
    お参りのあとの門前にある某商店のジャンボ焼団子は腹ごたえありますよ。ラーメン・うどんもやってます。
    http://www3.omn.ne.jp/~biggig/
    食べたら賢くなれるかも???

    こちらは間もなく梅雨入りなのでいったん走り納めです。orz
    じゃる号はトラブル続きで走れてません。

  • お久しぶりですっ!お元気そうでなにより(ご本人は)。「腹ごたえ」って言葉は初めて目にしましたが、とても響きが良いのでこちらでも流布すべくがんばっていきます。

  • 2024GWみちのくツーリングで、実は私もニアミスをしていた模様です。
    同日同時間七ヶ宿ダム横R113を流していました 汗
    今年は皆さんのコメントやBlogを参考にして、食を求めてみました。
    が、ことごく人混みに紛れるという失態。
    天気に恵まれたのが幸いですが、また出直したいと思います 笑

    • えー!本当ですか?<ニアミス 一瞬でもお顔を見られれば大変な幸運だったのに……。どんな食事処に行って敗残されたのか、今後の参考に今度教えてください。

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