ゴールデンウィークだけど誰も走っていない道2024

2024年のゴールデンウィーク後半、南東北は奇跡的に晴れ間が続くという天気予報。久しぶりに福島県は三春町まで走ってきた。どこも混み合うゴールデンウィーク、こんな時こそ日頃無駄に走り込んでいる筆者の「空いてる道ライブラリ」からのリファレンス能力が問われる。そこで思い出したのが福島県伊達市から三春町までのいくつもの県道だ。特にK40、K51を春に走ればありとあらゆる種類の「緑色」を見ることができるだろう。晴天の日に三春町を目的地にした段階で勝利の予感しかない。ただし今回は定番コースを途中で外れ、初めて走るコースで三春入りを試みた。これも楽しみのひとつ。帰路にも初踏破路線候補を用意した。朝8時ちょうどに仙台・曉スタジオを出発。

思えばかなり久しぶりの定番コース走破なので、仙台、村田から福島県伊達市梁川まではテンプレートどおりに走ってみた。梁川町内に真新しい新道が設置されていて驚いた。旧道筋にあったお店のお商売の方が気になる。南下を続け伊達市霊山町内をパス。K51に乗って南下する。梁川・霊山、続くK51はかなり自然溢れる道路で、そもそも誰も走っていないし、走っていてもみなペースが早い。安定の楽しさクオリティ。

蔵王町定点
蔵王町内の定点観測地点
霊山町上小国松山
K51、霊山町上小国松山

さて今回往路のキモはこのK51の途中にある。

google street view
定番は右のK51だけど、
今回は左、K269へ

伊達郡川俣町内のこのY字路(37°41’41.7″N 140°33’32.5″E)、以前はお店として営業していた(たぶん酒屋さん)が、閉店してしまったようだ。それでもこの店先にあった目印となる大きな石は2024年の今もそのまま。普段はこのY字路を右、つまりK51を順当に進むのだが、この日は左へ。往路目玉の新規開発区間、K269である。

K51とK269の別れ道付近までは前述の通り人家もまばらな山道なのだが、先に進むにつれて人里っぽくなり、ついには川俣町役場や中央公民館など、町の中心部へ出る。この道中の変化も面白いし建物も種々趣深い。中央公民館では「第19回川俣シャモまつりin川俣」なんていうイベントもやっていて賑やか。炭火で鳥を焼く匂いが周囲に溢れていて、思わず右ウィンカーを出しそうになったが、三春町で昼ごはん分のお金を落とす計画が狂ってしまうので強い心でスルー。第一まだ10:30じゃないか。

川俣町内でR349に乗る。このR349は仙台北部に住む筆者にとってのR457みたいな存在ではないか。R349を地図で辿ると、中通り地方東側の主要な自治体におおよそアクセスできるように見える。この日もただ南下するだけでいくつかの自治体を通り抜け、田村市船引町でK50に分岐。JR磐越東線・要田駅をかすめつつR288に乗ると、もうそこは三春町である。所要時間3時間半だった。

要田駅前
JR磐越東線・要田駅前。
誰もいない

三春町での食事は長らく「三条屋(三春町大町79)」さんというそば処にお世話になってきたが、新規開発を旨としたこの日はそちらも新規開発を心がけた。「いろはや食堂(三春町鶴蒔田17)」さん。入店してみると筆者以外には親子連れ3名が小上がりにいるきりだった。しばし黙考し「かつ丼1,080円」を発注。ナニゲに一番高いメニューである。

三春町・いろはや食堂
かつ丼 1,080円
かつ丼 1,080円
カツの厚みを体感
良心的な肉厚と
よくよく染み込んだ出汁のハーモニー

筆者くらいの「とんかつ喰い」ともなれば、料理がテーブルに運ばれてきた瞬間にイケるかイケないか、直感でわかってしまう。いろはやさんのかつ丼の場合、お盆の上をさっと一瞥しただけで一手間かけていることが瞭然の小鉢料理、具だくさんの味噌汁が並んでおり、かつ丼本体の蓋を開けずとも間違いない味だろうことがわかってしまう。左様、なかなかに味付けの濃い厚みたっぷりの卵とじカツがびっしり敷かれていて箸をつける前からテンションがあがる。食べ進めてわかるのだが、厚めのカツに対して白メシの量が対等によそわれており、ライスマネジメントも容易い。こういうかつ丼はありそうでない。ぜひソースカツ丼もメニューに加えて欲しい。また小鉢のタケノコの煮つけは何かの魚と一緒に煮ていてすごくコクがあり、これだけで白メシ一膳は楽勝だ。味噌汁は豚肉の入っていない豚汁のような様相で、野菜たっぷりの上こんにゃくまで。たくあんももしかしたら自家製なのかもしれない。これらの料理を一通りまずは口にし、当たりのかつ丼と判定したとたんに俄然かき込むのがもったいなくなって、筆者としてはたいへん珍しくゆっくりじっくり食べた。ごちそうさまでした。

じっくり味わいつつ食べたとは言っても、退店して12時過ぎ。10年前ならさらに遠くを目指したかもしれないが、今そんなことをしたら帰路は朦朧としてしまう。かつ丼の着卓を待ちつつ仙台への経路を検討してみた。往路の再使用はなし、南下してさらに遠まわりプランもなし。となれば西か東の二択である。西の場合は本宮市を通り抜け県道を組み合わせて安達太良山に向かって走り(素晴らしい景色が広がるのだ!)、岳温泉、土湯温泉、飯坂温泉を経由して宮城県白石市へ戻ってくるパターン。東の場合はR288でE6常磐自動車道まで一気に走り、北上して宮城県沿岸部に帰り着くパターン。……ん?岳、土湯、飯坂??おいおいそりゃ普通の週末だってそれなりに人手の多い観光地ではないか。GW中に近づくべき場所ではない。という消去法で「R288で東進、E6で仙台東部まで」とした。帰路でも初踏破区間があるのは素晴らしい。

三春町から太平洋側への走り方がよくわからないので幹線道路らしいR288を愚直に走ったのだが、いったん郊外に出てしまうと最高だった。最終的には筆者の曉号だけがマイペースで単独走。周囲は標高低めの山が連なり前方視界180度がほぼ緑色。ツーリングハイ状態に。一度だけ我に返って写真を撮ってみた。

R288
R288道中、田村市都路町内

この撮影中に数台のクルマがパスして行ったが、再度走り出してもそれら車両のテールランプすら見なかった。なにここ、天国??

E6に乗るためのICにうまく辿り着けないという紆余曲折があったが、それはエントリーを分けよう。常磐双葉ICで無事E6に乗ったのだが、走り慣れているからかとたんに睡魔に襲われる。道中大声で歌を歌いつつ南相馬鹿島SAまで走り、10分ほど仮眠する。この仮眠のためにネックピローとアイマスクが曉号には常備されている。ほんの10分だが効くのだ。その後は無事に北上。仙台空港ICでE6を降り、名取市内から仙台市太白区生出へ抜け、以降は往路をなぞって帰宅。7時間半/316km。意外と距離は伸びなかったが、走りごたえ充分。今回も「ゴールデンウィークだけど誰もいない」案件は大成功である。みんな、マネしてもいいぜ。

4件のコメント

  • 今年のGWは天気に恵まれて非常によかったですよね。
    私も全く人気のない県道や農道を走りぱなっしでした。
    食には失敗続きでしたので、
    記事にあるようなカツ丼を見つけることができるように精進します 笑。

    • 多分東北地方の三ケタ県道あたりは、大きな集落付近を除けばどこでも極楽だったんじゃないでしょうか。これから田植えの終った水田が美しい季節です。
      __
      三春町・いろはやさんのような食堂は、GoogleMap上で如何に妄想をふくらませられるか、が肝要かと思います。かつ丼ってたいていのお店にあるし、厨房の力量を測るのになかなか便利なメニューなので、割と注文しがちですね。これが「とんかつ定食」だと肝心のとんかつがヒドイと地獄の数十分になってしまうので……。

  • こんばんは。えーとですね、私もこれからacatsukiさんのようにします。
    5月5日に妻と一緒に二人の都合が合うからと、長男のいる酒田に行ってきました。行くときは鍋越峠、真室川町経由で、ご機嫌なドライブでした。ところが昼食を酒田港の海鮮丼屋さんで食べようとしたら、超長蛇の列。あえなく諦めてカレー屋さんへ。その次、クラゲを見に賀茂水族館へ。第5駐車場に駐車して(この時点で気づくべきだった)水族館に向かったら、これまた超長蛇の列。こちらも敢え無く撤退。
    結局長男の顔を見てにゃんこを見るという以外の、2大ミッションは共に達成されず、GWを甘く見るとこうなると二人で確認して帰路につきました。
    GWは走りに特化して食事はコンビで十分と言われてしまった次第です。赤湯のカツ定食に気を良くして完全に油断してました(涙)

    • 酒田行きの鍋越峠・真室川町経由、最高じゃないですか!天気も良かったし。素晴らしいですね。酒田港の海鮮丼屋さんというと、「酒田海鮮市場」の2階ですか?あそこ混みますよね!平日でもなかなかすごい。そんな時は建物隣の「小松鮪専門店」さんがおすすめ!こちらもそこそこ混みますが(たぶんGW中は見送るのが吉)、安くてボリューミーでうまい!。
      __
      あと酒田で秘かに激推しなお店が1軒ありまして。「味工房 八月(はげつ) http://hazuki-sakata.co.jp/ 」さん。ここの日替わり二段重ね弁当というランチメニューが素晴らしい。しかも1,000円しません。いずれにしてもこれらのお店、ゴールデンウィークは混み混みでしょう。平日行けば極楽が待っています。

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