考察・NDロードスターとはなにか#1

新規主力戦闘機の通常配備が済むと、嬉しさのあまりそれほど日数を置かずに印象記をアップしてきた。だが2022年7月に就役したNDロードスターの場合、なかなかそれができない。理由は単純で、NDロードスターの正体を筆者がまだうまく掴めないからだ。アタマデッカチ、耳年増は筆者の悪いクセだが、これまで読み聞きでぼんやりとだが持っていたロードスターの理想像、「こうあれかし」と、日々運転するロードスターという現実が、微妙にブレているようにも思う。

筆者が持っていたロードスターの理想像を一言で言えば「希代の旋回マシーン」なのだが、どうやらそれは先代NCまでのもので、筆者の愛車となったNDはどうもそうではない、らしい。2020年に購入したNCを所有していたのは10ヶ月足らずで、あの期間内にリアがするりと外に出て行く瞬間を何度か体験はしたものの、それは言ってしまえば「Aペダルの煽りすぎ」という運転ミス1歩手前みたいなもので、当然自身のテクニックなどと呼べるものではない。購入して1ヶ月足らずのNDでは、そんな場面に遭遇したこともない。毎日楽しく運転しているが、要素解析に手間取っているのが現状であり、NDの全体像を掴むなんてレベルにも到達できていない。印象記でも総論でも、普通なら「つまりロードスターとは、こういうクルマなのです」と結論を得てから各要素の詳細を書くのだろうが、いつになるかわからない。

最終的に全体像を理解するための途中経過であることをお詫びしつつ、日々運転していて気付いたことを、要素ごとに分解して書いていこうと思う。ミクロな視点を集積すれば、いつかマクロな視点でロードスターを把握できるようになるかもしれない。

最初なのでいつものように車体概要を書いておく。

初年度登録2015(H27)年6月
形式 DBA-ND5RC
原動機形式 P5
総排気量 1.490cc

全長 3,910mm
全幅 1,730mm
全高 1,230mm
前重 530kg/後重 480kg
車重 1,010kg/総重量 1,120kg


運転環境
ロードスターのAペダルはNDからオルガン式組み付けに変わったが、運転姿勢を作る肝はこのAペダルだった。肩甲骨からお尻まで、背中全面をぴたりとシート背面に押し当て、右踵とAペダルの蝶番を合わせる。意外にもCペダルはこの状態で踏み切ることができる。この体勢になってから背面の傾斜角度を決める。それはアップライトではなく、寝かせ気味に決めたくなるはずだ。筆者の場合Cペダルから足を浮かせると、ハンドルコラムに左膝が干渉することがあったので、チルト機構でコラム全体を最低位置から少し上げる。これで決まる。

このベストポジションを見出すまで2週間くらいかかった。この姿勢を作ることができると、前後輪からのショックの受け方も変わってくる。納車された直後は運転姿勢の試行錯誤が続いたが、寝そべる体勢を作りたくて腰が背面から離れていた。すると肩甲骨周辺とお尻だけで身体を支えることになり、面ではなく2点で路面からのショックを受けることになる。するとシートの中で身体が共鳴してしまい、ショックをより大きく感じるし、収束にも時間がかかる(ように感じる)。やたらとガタスカ暴れるので、すわタイヤかそれとも足周りの劣化かなどといらぬ不安を抱いたが、前記姿勢をとることによって、ショックは瞬時に減衰されていることがわかり、減衰が早いと入力の大きさも適切に判断できるようになる。やはり要は腰なのだ。このあたりの試行錯誤の過程でAペダルの蝶番云々にも気がついた。とにかくメーカーが想定した運転姿勢を取ることが、そのクルマを理解するための第一歩である。正しい体勢でAペダルを踏むようになると加速感の印象も変わり、クルマが積極的に前に出ようとしているように思えてくる。MiToでも同様の経験をした。

シートベルトパッドはご愛嬌

足の置き方、Aペダルの踏み方は分かった。ただリターンスプリングの反力は、車格やスポーツカーという立ち位置を考えるとやや強い。重く感じる。自動車評論家の沢村慎太朗は、トルクの細さをペダルの重みで感覚的に補完しているのかもしれないと書いていた。げに難しきクルマのインターフェイス作り込み、である。

4件のコメント

  • こんばんは。昔のベンツもバネは強くて、トルクが細いのを補っているといわれました。一方では意識的にペダルを踏ませるため、とも言われたこともあります。いずれにしても、今のアクセルは軽いですね。
    ドライビングポジションは大切ですね。確かに腰がシートにグッと食い込むようにすると上半身が安定して、運転には滝しています。これを身につけないと、運転が上手にならないだけでなく、身体、特に腰、に悪い影響がありますね。
    今後の展開を楽しみにしております。

    • ベンツ、BMWのスロットルペダルが重いのは、革靴で踏みつけることが前提だからとも読みましたねぇ。いずれが真実かわかりませんが、漫画家の絵には一目一草に意味があるがごとく、クルマのすべての可動部品には、設計者が込めた意味があるのだと思います。
        
      時々見にいく自動車関係のインターネット掲示板で、「ハンドルのどの位置を握るか」というネタがあり、「右腕だけで12時の位置」って書き込みがあって目の前が真っ暗になりました。こんなアホが公道を免許証を持って走ってるのか、と。実際すれ違う車のドライバーを見ると、何人かにひとりはそれなんですよね、12時の位置、片手で。そういう人がこのエントリーを読んだらどう思うのでしょうか。読むわけないから心配する必要ないですね。

      • 体格の個人差があるのでメーカーも想定しているであろう適切なポジションは、複数あったり(例えばAかBかCとか)、電動のシートだったらシームレスに範囲があったりするのでしょうね。安全を考てもやはり背筋が伸びて腰がシートに密着している姿勢が良さそうですね。良い姿勢がすぐ決まる車は出来そのものもまず間違い無いですもんね。アルファロメオもマンマシンインターフェースだけなら大抵のメーカーとタイマンはれるんだけどなあ。

        • アルファに限らず、名のある欧州車ブランドにはマンマシンインターフェイス作り込みのルールがあるようですよね。それが分かると車種乗り替えてもすぐポジション出せると思います。あとは想定体型ですかねぇ。マツダは日本車なんだから、たかだか170cmの私がちゃんとポジション出せるのは当然っちゃ当然なわけで。それを大仰に書いてしまいました(笑)

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