2022年盛夏、単日の休日に出かけたショートツーリングの記録その2。宮城県石巻市内で開催されている、ある美術イベント。信頼できる筋から「あのアーティストの作品は良かった」という声を聞き、ちょろっと走りに行くにはいいかと石巻市内へロードスターを走らせた。

とは言え先にアップしたように、直近に石巻市手前の松島町へ走ったばかり。問題はどこを走るか。経路に新鮮さがほしいのだが、さすがにこんなに近い場所への楽しい経路がいくつもあるわけではない。そこで基本に立ち返り、大和町、大郷町、東松島町を縫って走る超定番コースを往路とした。

このコースでは鳴瀬奥松島ICからE45三陸自動車道へ乗る。小休憩に矢本PA（下り）に寄ったら、ちょうどブルーインパルスの飛行訓練を間近に見ることができた。航空自衛隊ブルーインパルスは松島基地所属なのだ。

かっこいい。無条件でかっこいい。いやー、イイモノを見た。若干脳内アドレナリン過多の状態でE45を再び北上。真野地区へ向かういつもと異なり、この日は石巻港ICで降りる。

お目当ての作品は石巻南浜津波復興祈念公園の東端にある。筆者はこの周辺の道路に明るくないので、ひたすら海沿いの道を走ってしまったが、むしろ旧門脇小学校前を通っていくK240の方が近いしメジャーなのかもしれない。大した時間差ではないが、ツーリング中の「あれ？こっちじゃなかった！」はなんか悔しい。

遠回りしてようやく南浜マリーナ前の駐車場にロードスターを停める。なるほどお目当ての作品は見えるぞ。しかし誰もいない。人影がまったくない。アートフェスティバルなのに大丈夫か？と作品に向かった。最初に出会えたのは「This ground is still alive」である。信頼できる筋から推されたのはこの作品だ。ん？人がいるぞ？入ってもいいですか？「すみません、今日はメンテ日なんです」。なんと！この日はフェスそのものの休祭日だったのだ！大丈夫じゃないのは調べもしないで出向いた筆者だった。がーん。作品の中でメンテをしているのだから、この人は誰あろう作家・保良雄さんご本人なのだろう。お休みだからあれこれ訊くわけにもいかない。結局保良さんの作品の周りをぐるり歩き、その向こうにある川俣正さんの「石巻タワー」も文字どおり見るだけとなった。オマヌケこの上ない。ちなみに9月7日（水）、14日（水）も休祭日である。ご注意いただきたい。

まったくもって釈然としないが、これにて石巻を退散することにした。そろそろ昼時。この日は自宅から昼食用にパンを持参していた。なので定番の元気食堂はスルー。遠隔地のコンビニ駐車場で旅情溢れる昼食タイムという算段である。こういう時は街中よりも、街道沿いにぽつねんとあるコンビニの駐車場の方がふさわしい。そこで宮城県内陸の県道詰め合わせセットみたいなコースを復路とする。K33を経由してまずはK30へ。若干北上してしまう遠回りの道だが、田園風景や集落など道々の景色が味わい深いので走っていて飽きない。北上川沿いの路肩にロードスターを停めたら、田んぼの中を鷺が飛び交っていた。今日は飛翔体に目を奪われる日だなぁ。

E45桃生津山IC付近まで北上する。この辺の幹線道路走行はすでに経験値を重ねたので、勘で西に向かうことができる。登米市内を横断してK237に乗る。地図で見ていただくと一目瞭然だが、田園地帯を真横に突っ切る直線路である。この日も時間によっては気温は30度を超えたが、当然終始オープンで走っている（気温30度以下なら幌は閉めない内規・低湿度時特例）。青空にすじ雲が流れ、その下をオープン状態のロードスターで突っ走る愉快を超えるものが他にどれだけあろうか。素晴らしい。

K1に乗り換えて考え無しに西進し、ローソン栗原瀬峰店にロードスターを停め昼食とする。前述どおり主食はあるので、ちょっとしたおかずと、おやつとして大福を購入。この店舗の昼時の駐車場には日陰というものがない。炎天下で幌もかけず、ジリジリと太陽に焼かれつつチーズ入りパンとハーブチキンをムシャムシャ。我ながら阿呆かと思うが、幌を閉めてエアコンをガン焚きするのはどうにも釈然としない。性に合わないのだ。あくまで個人の思想信条であり、それを押し付けるつもりも啓蒙するつもりもないが、ガソリンは例え一滴でも走るために使いたい。そもそも自動車そのものが環境に負荷をかける物体であり、走るという本来の用途を満たしてもいないのに負荷だけを発生させているという状態に違和感がある。そんなわけで、灼熱の昼食を終え早々に走り出す。ここで外気温計を見たら33度だった。繰り返すが我ながら阿呆である。同乗者がいたらもちろんこんな真似はしない。

田尻町方面へ向かう。田尻駅前から西へ伸びるK15を行く。いつもならここを曲がる……という交差点の数々を、敢えて直進していたら大崎市内の古川地区に入っていた。旧古川市街地は基本的にトラフィックペースが悪く、いつも避けていた。だからいつもあの交差点で曲がっていたのか（笑）。まぁ入ってしまったのは仕方ない。早めにR4に合流して南下、R47との交差点を右折、E4古川ICをパスしていつものK158に左折。あとは三本木町までひたすら南下するのみ。こちらも田園地帯の中の一本道で気持ち良い。

R457に乗ればあとはあまり選択肢がない。途中陸上自衛隊王城寺原演習場方面へ進路を変え、大和町南川ダムを経由して帰ってきた。

5時間/179km。石巻。リベンジマッチを組む必要があるだろう。