会津・近代文化遺産ツアー2022晩秋#1

福島県喜多方市、そして猪苗代町へロードスターで出かけた。これは曉スタジオ女主人の慰安旅行として、会津地方の著名近代遺産建築物を堪能する旅である。これに喜多方のうまいもの屋さんを絡めて1泊2日。すべてが素晴らし過ぎた。It’s All Too Muchである。本エントリーの裏テーマは、その素晴らしい体験を可能な限り簡略に書くことである。

訪問先はおいおい本文で紹介していくことにして、まずは往路の様子から書こう。体力温存とドライビングファンを計りにかけりゃ、結局後者を採ってしまう筆者。往路でのE4東北自動車道利用は最低限に控え、国見ICで降り、国見町内>桑折町>K5フルーツラインを爆走>R115に合流して土湯峠>裏磐梯>桧原湖>北塩原を経由。合理性ゼロだが、飯坂、土湯、大塩裏磐梯の温泉郷、土湯峠、裏磐梯と桧原湖など、徹頭徹尾風光明媚な土地だけを通り抜けるコースは、このブログ読者には自信を持ってお薦めするもの也。増してやオープン状態のロードスターで走るのだ。ごく控えめに言って最高だ。

with 陸自 in 国見SA
国見SA(上り)にて
霧が酷かった
道の駅つちゆ
道の駅つちゆ
土湯峠を裏磐梯方面へ下る
土湯トンネルを抜けて
R115のひたすら下り区間
会津一望の丘
会津一望の丘……という割には
夏草が繁っていてあまり見えない

東側から喜多方市街地へ進入。所要時間は予想通り約4時間。実に気持ち良い4時間だった。走って悔いなし。喜多方での最初のアクションは腹ごしらえ。喜多方の一般的名物と言えばラーメンということになろう。しかし曉スタジオ最大の贔屓ラーメン店「あべ食堂」が2022年5月に閉店してしまった今、選択肢は別にある。「かつとカレーのさがの」さんでマチナカ食堂の神髄を堪能する。

かつとカレーさがの外観
かつとカレーさがの
(福島県喜多方市西四ツ谷296)
ささみカツ定食
どんっ!
ささみカツ定食
どどんっ!!
ささみカツ定食700円

喜多方出身の同僚に教えてもらったこのさがの、直球ど真ん中球速160km/hの大衆食堂である。正直な話、店の外観は「ホントに営業中?」と戸惑うほど古び、寂ており、店内の眺めもまた同様。だが古くても汚くはない。これ重要。そしてひっきりなしにお客がやってくる。店主の仕事は確かだ。この場合の「仕事」は調理という意味でもあり、調理以前の素材吟味や下ごしらえなどの意味でもあり。画像だけ見てこの店を敬遠する人や、こんな盛りつけをするような店……と嗤う人もいるかもしれない。はっきり言おう、それは早計であり重大な判断ミスである。ワンプレートで供される定食の、どの料理も素晴らしくおいしい。味付けもわかりやすいものから複雑玄妙なものまで、バラエティにとんでいる。そして白飯、具だくさんの味噌汁、漬物の定食三点セットも、それだけで食事が成立してしまうほどの美味さだ。1品1品の味がケンカせず、見事な調和を見せる。料理がテーブルに運ばれた瞬間から会話は途切れ、黙々とただ食べ続け、食べ終わればしばし恍惚としてしまう。これで支払いがふたりで1,350円である。極端な小食の人には量が多いかもしれないが、料理とおかみさんの接客を体験してから文句を言える人は少ないだろう。心からごちそうさまが言える店なのだ。

さがのの話ならエントリー1本は余裕で書けるのだが先に行こう。恍惚としたまま、この日最初の目的地「日中線記念館」へ。そのまま北上すれば山形との県境へ一直線というあたり、熱塩温泉のすぐ近くである。国鉄日中線の名残で、駅舎を改装した記念館とラッセル車、客車一両が保存されている。

日中線記念館外観
日中線記念館
日中線記念館改札口
日中線記念館保存車両
ラッセル車と客車オハフ612752
客車内部

<女主人の一口メモ>日中線記念館 旧熱塩駅舎を保存して、記念館として使用。ちょっと驚くような可愛らしい駅舎です。入り口のアールの庇がよいですね。その前を守るように立つ樹も素敵でした。駐車場近くには、踏切、そして転車台跡がありますよ!それらの遺構と駅舎との位置関係が何か不思議で、実際の線路がどう敷かれていたのかしらと気になります。雪深いこの地域での冬がどんな感じなのかは、NHKドラマ『雪國(2022)』でご確認ください。ロケ地です。

日中線記念館と駐車場

記念館周辺に散在する遺構の間をテコテコ歩いて、さがのの料理で満たされたお腹をこなすにはちょうど良い運動になった。ロードスターを出してR121をしばし南下。三津谷集落にあるれんがの登り窯と会津れんがの見事な蔵を持つ若菜家の見学に。ところがこの登り窯の直前に「岩月夢想館」という旧喜多方市立岩月中学校の見事な木造校舎を見つけてしまい、しばしそちらに夢中になってしまう。校舎の周りや校庭をうろうろして写真を撮りまくる。

岩月夢想館

<女主人の一口メモ>岩月夢想館 旧岩月中学校をコミュニティセンターとして使用しているとのこと。1964年廃校とは思えない、艶めく焼板壁の迫力ある建物です。校庭の向こう側はなぜかお墓。びびってしまい、探索はそこそこに終了。

道がよくわからなくて、先に三津谷集落の素封家・若菜家の蔵を見学に行く。ここは今も農業、味噌作りなどを営む若菜農園として営業中。この地方独特の仕上がりを見せる「会津れんが」をふんだんに使った蔵が4棟もあり、その内の味噌蔵と座敷蔵を見学できる(有料)。

若菜家味噌蔵
若菜家(若菜農園)味噌蔵

<女主人の一口メモ>三津谷集落若菜家 明治時代、三津谷地区に煉瓦の登り窯が創業。農業を営む若菜家からそこに薪を提供していたそうです。謝礼として譲り受けた煉瓦を用いて計画的に建造されたのがこちらの蔵群。喜多方の煉瓦は実に美しい!寒さの厳しい喜多方なので、凍害対策として釉薬を使用しています。この煉瓦の色合い・風合いにすっかり魅せられてしまいました。蔵ごとに異なるデザインを引き立たせています。

地方の素封家の生活って、これだけ具体的に見せてもらってもやっぱり想像が難しい(笑)。圧倒されたままやはりすぐ近くの「三津谷の登り窯」へ。こちらの釜に火が入るのは年に数回とのこと。見学は5日以上前に電話予約が必要ということに前日気がついた。なのでこの日は外から建物を眺めるだけに留まった。

三津谷の登り窯
登り窯外観

まだ15時くらいだというのに空が夕暮れ色になってきた。市街地へ戻って宿に入ろう。2014年の家族旅行でお世話になった「あづま旅館」さん。喜多方市役所東隣。朝ラーはしごツアーをするなら絶好の立地。こじんまりとしており、お値段も手頃。少し昼寝してから早速入浴。貸切状態。いいねぇ。しかし我々があづま旅館に決めた理由がもうひとつ別にある。待て次回。

8件のコメント

  • なんか、旅って良いなあって思える内容で良かったです。
    なんといっても女主人の一言が、さらに行ったことのない場所の想像を掻き立ててくれて最高です!
    喜多方から磐梯方面は何度も走ってるのですが、うちはあまり停まらない(目的地に一直線(笑))なので、今度寄ってみたいと思います。

    • 今回は付いていっただけみたいな感じなので(笑)、目的地を解説することができなかったもんですから……。食べ物屋さんはオレが決めたみたいなもんですけど。で、オレも運転することに夢中になってノンストップで行って帰ってになりがちです。通り過ぎてきた土地土地も、少し足を止めれば素敵な土地だったと思うんです。これからのお楽しみですね。

  • あら、奥さま、髪をばっさり切られたんですか?

    • オープン状態のロードスターに乗るために、ニットキャップを自ら編んだのでありますっ!

  • それ、正解!愛だねぇ、愛!

  • こんばんは。ちょっと見ないとこんな素敵な内容が!写真がどれも素敵です。特に喜多方で定食屋という選択にはうなりました。なるほど~。いつものお気に入りな道なので、道は分かりますが、こんなに良い町を素通りしていたのか、と慙愧の念。もう年なんだから、そろそろ真似しないと。でも途中下車ってすごく難しいんです。

    • わかります!途中下車って本当に難しい。なので行き慣れていても、近距離でも、いっそ目的地にしてしまえば……という発想の転換です。それから視点ですかねぇ。蔵や廃校の校舎とか、自分だけならまずわざわざ見にいかないです。でもつきあっているうちに、意外やそういうのも楽しくなってきました。その方面から考えると、登米とか山元町あたりは楽しそうです。あと村山市とか。近いがゆえにいつも素通りしてしまう町ですが、楽しそう。ただこれからの季節はちょっとねぇ。

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