チャリでイオンに行く

宮城県川崎町、R457沿いを走っておいしいお店2軒を巡ってきた……と書くと、「はいはい、いつもの食いしん坊ブログですね」と、この1行で画面を閉じてしまう読者がいそうだが、本エントリーの本質はそこにはない。今回のツーリングには実は同道者がおり、筆者の同僚のI君こそその人である。I君は筆者よりも10歳以上年下だが、周囲に共通の知り合いが多く、また様々な分野で話が合う。オフィスで「最近じゃあそこがうまかった」的なグルメ情報を交換していたのだが、それじゃ実際に行ってみようぜということになった。この「中学生が週末にチャリンコでイオンモールに遊びに行くような感覚」、忘れかけていた。これが実に楽しかったのである(笑)。

仙台市太白区のとある場所でI君と合流する。彼はズブズブの自転車者で、100kmくらいの距離はしょっちゅう走っているそうだが、筆者が自転車で100km走ったら死んでしまう。筆者はまだ死にたくないのでロードスターでお迎えである。あ、そうだ、そもそも彼が乗ったことがない、オープンカーというものを体験するというのもこの日の趣旨のひとつであった。朝10時の約束にかなり早く到着してしまい、時間調整のためにすぐ近くにある愛宕神社に立ち寄ってみる。この神社境内から眺める仙台市街地はなかなかだ。

I君と合流し、さっそく川崎町へ向かう。R48=仙台西道路(市街地と西の郊外を結ぶ主要路。長大なトンネルがある)で愛子(あやし)へ抜けるつもりがうっかり宮城県美術館方面に向かってしまい、壮大な回り道をすることになった。だがそれがどうした。中学生がイオンへ遊びにいくのに効率などどうでもよい。この日は絵に描いたような秋晴れで、最高気温予想は18度。まさにドンピシャのオープン日和。

釜房ダム北岸の定点観測地点

I君はスープはおろか麺を打つ小麦の生産から自分でやりたいとまで言う生粋のラーメンマニアで、道中通り過ぎる何軒ものラーメン屋さんをわいわい評価しながら走る。ほら、中学生だから。川崎町内の某峠道での少し攻め気味の走りにも喜んでもらえた。そもそも自転車乗りのI君としては、登坂中の後ろから押される感覚が何よりも新鮮らしい。その感想の方が筆者には新鮮だ。時々こういうクルマヘンタイじゃない、しかし面白さのツボが近い人の話を聞くことは大事なのではなかろうか。

森のピザ工房ルヴォワール
(宮城県柴田郡川崎町前川松葉森山6-5)

11:30頃に到着したのは「森のピザ工房ルヴォワール」さんである。筆者は初訪問。R457沿い川崎エリアの飲食店はここ数年で急に充実してきた感がある。昭和の小学校をイメージした木造の店舗。玄関を入ると廊下があり、調理室は「職員室」だし、「校長室」なんて部屋もある。実はR457をはさんだ真向かいにも旧川崎小学校腹帯分校の廃校舎をリノベーションした「石窯屋」さんという同業の店があり、旧来の石窯屋を知っている人には紛らわしい立地ではあると思う。

手前:蔵王のお釜ひき肉ゴロゴロデミグラスソースピザ 1,801円
奥:森のきのこピザ(M)1,978円

天井の高い店内のテーブル席で待つことしばし、首尾よくピザが運ばれてきた。メニューの詳細は公式サイトを読者各位でご確認いただきたいが、ピザは滅法うまかった。偶然にも筆者はここ1ヶ月くらいにピザを食べる機会が立て続けにあった。その結果筆者の中の「うまいピザ情報」が次々とアップデートされているのだが、ルヴォワールのピザは十分に「また来よう!」と思えるものだった。なんと言ってもチーズのコクが強く、クリスピーともっちりの中間のような厚みのドゥとの相性も良い。となれば大抵の具材は受け止めてしまえるのだろう。それぞれ別のピザを頼んで半分ずつシェアしたのだが、どちらもうまかった。

気がつけば店内の席はいつの間にか満席に。さらにテイクアウトの注文電話が入ったりして、ルヴォワールは地域から愛されているらしいことが伺える。I君がもう1軒行きたい店がこの近くにあるとのことで、ルヴォワールを辞する。ちなみに会計は現金のみ。ご注意されたし。

次に向かったのはR457をさらに南下して、青根温泉手前にあるカフェ「BLUE COFFEE teshirotsukayama roaster」さんである。帰宅後調べたらteshirotsukayamaとは手代塚山のことであり、お店が建っている土地の名前なのだった。店の建つ土地に敬意を払う態度は筆者は好きだ。BLUE COFFEEの周辺は別荘地として開発されてはいるが、全体的には森である。その中にキャビン然としたカフェがある。まるで映画のセットのようだ。

BLUE COFFEE teshirotsukayama roaster
(宮城県柴田郡川崎町大字前川字手代塚山1-363)

店内はそれほど広くなく、むき出しの木材と漆喰の壁を組み合わせたシンプルで落ち着いた雰囲気。店内奥にはストーブがあり、その脇のソファ席に座る(それ以外はカウンター席とテーブル席)。2階同等の高さまで天井は吹き抜け。木と漆喰だから店内の響きが柔らかい。店員さんがささやくような声量で、この日欠品になっている豆やスイーツメニューを説明してくれる。お洒落なカフェの店員さんはどうしてささやくのだろうか。誰かおせーて。それぞれに珈琲と、I君がバスクチーズケーキ、筆者がプリンを頼む。

珈琲はもちろん、バスクチーズケーキもプリンもおいしい。濃い珈琲と一緒に口に入れた時に負けないよう調製されている。すっかりリラックスしてしまい、オーガニックで居心地良いカフェで話すにはあまり相応しくない、職場の愚痴などトークし続けてしまった。おっさんになるとお洒落なカフェと深夜の居酒屋の区別が曖昧になるのだ。

「あぁ……もう紅葉か……」

その後はR457やK47を川崎町内へ戻り、R286、仙台西道路=R48を経由して向山へ帰着した。6時間/102km。気がつくと仙台周辺の山々でも紅葉がずいぶん進んでいた。昼夜の寒暖差が大きくなってきた。いずれすぐに冬が来る。川崎町も冬季積雪は著しいが、青根温泉までの区間、つまり今回堪能した2軒のお店を含んだエリアは除雪もそれなりの強度で行われるはず。日帰りさっくりツーリングには最適な距離感と目的だと思うので、ぜひお試しいただきたい。I君、チャリでイオンに遊びに行くようなツーリングにつきあってくれてありがとう。

6件のコメント

  • こんばんは。いつもとちょっと違うブログですね。新鮮です。知り合いと二人で食べ物屋に行くためのドライブ。なかなか無いですね。食べることに重心があるのでもなく、運転にだけ重心があるのでもなく、両方楽しむ。良いですね。美味しそうなお店をご存じで、羨ましいです。
    私としては、ニット帽がすごく決まってるとおもいます。ひげやフリースのもこもこ感とフィットして雰囲気がありますね。
    先週末の甥との竜飛&奥入瀬(天気いまいちだったけど例年も行くこと決定)のあと、本日晩秋の奥会津を楽しんできました。走れるのも本当にわずかです。あちこちから冬季閉鎖の知らせが…。

    • 今回は食べるのは口実で、ちょっと遊びに行こうぜ!ってテーマでしたので、なるほど確かにいつもと雰囲気が違うかもしれないです。でもこれ、相方が女房じゃない女子だと絶対にこういう雰囲気にはならないわけで、たまには男子2人も楽しいなと心底思ったです。晩秋の奥会津、あっちのブログにて楽しませていただこうと思います。本日は仕事でヘロヘロになってましたよ、トホホ。

  • 一言、最高です。女子とデートもワクワクなんだけど、ヤローだけでつるむのも楽しいんだよなあ。自分とちょーななも気の合う奴等で長年つるんできましたが、最近は中々お互いの時間も取れず、今思えば贅沢な時間だったんだなあ、としみじみしております。そのかわり集まれた時は思い切り楽しもうと心がけます。まあ、セブン&4C&はしゃぐおっさんは若干ヤバいですが…。

    • おっさん化したことが真にヤバイのは、この上なくおしゃれなカフェで、来年度人事の心配事をひそひそ話すってあたりです。どうもね、冴えませんわ。まぁ一部にそういうネガティブな要素はありましたが、全体的にはめっちゃ楽しい時間でした。そして、セブン&4Cの前ではしゃげるのは、おっさんの特権です!小学生、中学生の自分に教えてやりたい!今の自宅スタジオのこと!乗ってるクルマのこと!オフ会の楽しみ!お前の経験値と財力じゃ無理だ。だが待ってろ!20年後、30年後に良い目が見られるぞ!と。

  • 美味しい食べ物にお洒落なお店!そして何といっても気の合う仲間!!
    (オイラの言う「仲間」はただ同じ集団のメンバーという事では無く、共通の感性をもつ友人以上の存在の事です。)
    そりゃ最高!
    じゅんすかとも学生時代には時間はあれど金は無く、コンビニの駐車場でガリガリ君を齧りながら「今日何するぅ~?」「何すっかぁ~?」
    なんて話していたけれど、
    お互いに仕事があり家庭が出来た今ではたまに集まることが出来たコンビニの駐車場での僅かな時間でさえ、とっても楽しいひと時!!
    その時に飲むコーヒーはコンビニドリップのいつもの味なんだけど、何だかとっても旨いんですよねぇ~。
    何だか車からは話が逸れてしまいました。
    今回のブログは色々と考えさせて頂きました!
    この様なネタも楽しみにしています。
    とにかくクルマのある人生って楽しいっ!!
    (ありま、ヤナセチックなコメントになっちゃた…。)

    • ああ!そうなんです!クルマがあるからこそできる体験、それこそがこのブログで書きたいことなんです!忘れてました(笑)!いやぁ、ホントに金がなかったなぁ、あの頃は。コンビニでアイスを買う金もなかった。でもひらめきに従順でした。なんか面白そう!ってことに素直でした。クルマに乗るようになった今もそこは衰えさせずにいたいです。このブログのおかげで佳き仲間に巡り合うことができています。

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