石巻内陸コース考、またはうまいメシ2件

最近立て続けに宮城県石巻市を訪れた。2度の訪問どちらも昼ごはんを食べに行ったのだが、三陸自動車道を使わずに内陸の道を走ったら勘違いから遠回りしてしまったので、自らのスキルアップのためにエントリーとして残しておく。

その1
今日は久しぶりに石巻市の商業施設「いしのまき元気いちば」へ行って2階の「元気食堂」さんで『金華さば焼き定食』を喰おう!と思い立ったは良いが、さすがに大和町・大郷町・東松島町と経由して鳴瀬奥松島ICから三陸自動車道……というド定番コースはさすがに飽きた。たまには下道だけでのんびり行くか。

一般に仙台から石巻へ下道だけで行くならば、R45を北上の一択である。が、仙台市の北の外れにある曉スタジオからだと仙台市役所前(R45の起点)へ行くのにまずそれなりの時間がかかってしまう上に、R45は古からの幹線道路、特にロジスティック系の交通量が多く、ペースが悪い。まぁこうやってR45を忌み嫌っているので見落としている良店もあるとは思うが、今回はうまい店探訪の旅ではない。

そうなると仙台市の北隣、大和町を経由して東へ向かうことになる。その隣の大郷町、鹿島台町を経由してK16を東進、K204、K43を経由すれば石巻市21世紀の盛り場・蛇田へドン!と出る。早くて合理的。だが新鮮味がない……。あ、そういえば田尻町からK15経由K29でひたすら東に行けば石巻じゃん!しかも交通量僅少。おお!ナイスアイデア!と早速三本木町を経由して田尻町を目指す。

ここで疑問に思った読者もいるだろう。左様、田尻町は緯度で示せば石巻市よりも遥かに北なのだ。先ほど合理的コースの経由地点として挙げた鹿島台からJRの駅で3駅も北である。

宮城県内陸地図例1

いや、鹿島台だって決して合理的とは言えない。無理やり正当化するなら「でも走って楽しいんだもん!」ということになるが、田尻経由では「でも昼時にちゃんとメシを喰いたいんだろ?」とセルフつっこみが入るレベルの遠回りである。どうも三陸方面から県北の内陸道路を走り継いで帰宅する記憶がオーバーラップしてしまったらしい。このエントリーを書くために地図にピンを落として行って自分は一体何を言っているのか?と疑問に思ってしまったほどだ。仙台から石巻に下道で行くために田尻を経由??AHOか。だがその道中はたいへん走り甲斐がある楽しいものだったので結果オーライとしたい。

道の駅やまなみ
三本木町・道の駅やまなみでひと休み
北上川沿いの定点観測地点
もう石巻市内。
経路設定をミスった動揺で画像が少ない
元気食堂の金華さば焼き定食
金華さば焼き定食

結局3時間かかって元気食堂にIN。金華さばとは宮城県沖にある金華山沖で獲れる鯖。金華山沖は暖流と寒流の合流点で豊富な漁場である。脂が乗ってめちゃくちゃうまいぜ諸君!画像はご飯少なめオーダーなので、ノーマルバージョンはもっとガツンと盛りが多い。ちなみに帰路は定番・三陸自動車道経由の鳴瀬・東松島町・大郷町・大和町の最短コースにしました(笑)。5時間/164km

駐車場屋上からの遠望
元気いちば向かいの市営駐車場屋上からはこんな眺め。
ちょうど離島への連絡船が出発するところ

その2
休日の家人とどこへ行くかあれこれ行き先(昼食メニュー)を考えていて天啓を得た。石巻市成田にある明らかに大衆食堂チックな「とんから食堂」さんである。これはGoogleMapでうまいメシ屋探索をしていた時に見つけた宿題ネタのひとつで、良いタイミングで思い出すことができた。家人のシトロエン C3で出発。往路は上掲の最短コースで三陸自動車道・河北ICまで。河北ICから旧来のR45で少々北上すれば成田である。

とんから食堂外観

とんから食堂はR45沿いではなく、路地を1本入ったところにさりげなく……いや、外観はさっぱりさりげなくないのだが、気をつけないと見落とす場所にある。とにかく「町の大衆食堂」として完璧な外観にこちらのテンションも上がる。造りだけは小洒落ているくせに盛りつけや店員の態度が田舎くさい中途半端なお店が時々あるが、洒落るなら徹底的に洒落てほしい。そして大衆食堂なら徹底的に大衆に阿ってほしい。とんから食堂は入店するとまず食券を買うスタイル。こういうのも大衆食堂なら正しい。この日はおすすめランチBがメンチカツだったので迷わずランチBを発注。家人はシンプルに中華そば。

おすすめランチB(メンチカツ)
おすすめランチB(この日はメンチカツ)
中華そば
家人のオーダーした中華そば

いやもう参りました。大ボリュームに加えて実に丁寧なお仕事。メンチカツは箸を入れると肉汁がじわじわじわ。衣の焦げ方も中のひき肉への火の通り方も完璧。画像中の鶏の唐揚げは別発注の独立メニューだが、そもそも店名の由来が「豚汁と鶏の唐揚げがうまい店」なのだから、図らずもお店の黄金コンビを試したことになる。店内には「唐揚げは注文を受けてから衣を付けて揚げ始めるのでお時間少々いただきます」の張り紙。シビレル。当然うまい。豚汁は白味噌仕立てで具はどれも細切れで、具の存在を主張するのではなく、汁物として渾然一体を目指したもの。もちろんそれが大成功していて、はっきり言ってこの一杯におにぎりでもあれば大満足できるレベル。

中華そばもスープだけ一口もらったが、醤油味ベースの第一印象はシンプルな味。だがのど越しに複雑な出汁の積み重なりが感じられる端倪すべからざるもの。メニューのバリエーションは少ないが、その分ひとつひとつに手をかけている印象。現代はチェーン店やフランチャイズ店が幅を利かせ大衆食堂的ポジションを独占しているが、反面「オヤジさんの丁寧な仕事が味わえる食堂」にはなかなか出会えない。ガツガツ食べながら家人と「ウチの団地にほしい店」と何度も話した。次回はとんから定食(唐揚げ小、豚汁小)に決定。幸せな時間だった。ごちそうさまでした。

帰路はその1の往路を逆行。とんから食堂からR45を北上し続けると、桃生町、桃生津山IC付近まで北上川を渡河できない。「北上川河川歴史公園」の遺構群に家人が大興奮。興味の対象が違う人と一緒だと、普段気にしなかったものに価値があると知ることができる。

北上川河川歴史公園
北上川河川歴史公園の遺構群

グッと歩を進めてようやく大崎市内へ。三本木へ至る前に甘味を所望する家人のために「田園菓子処あんどー」さんを初訪店。この交差点は伊豆沼への定番コース中の1点で、以前から看板だけは認識していた。あれこれ買ってどれもおいしかったが、とりあえず「茶まんじゅう」と「チーズ入りスイートポテト」をお勧めしておく。この日の走行時間と距離は測定し忘れた。

大和町の田園風景・東北新幹線
大和町の田園風景。東北新幹線高架を望む

石巻市は仙台から遊びに行くには距離も適当で、しかも港町だからウマイモノ屋さんがかなりあるはず。探求が進まないのは「いつものお店のいつものメニュー」があまりにおいしいからなのだが、とんから食堂は久しぶりのブレイクスルーになると期待している。新規開発を進めたいのでお勧めの下道コース、お店があればぜひコメント欄に寄せていただきたい。

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