クルマ好きあれこれ

対向車線のロードスターとすれ違いざま、ハンドサインで挨拶されることがある。「ロードスター乗り同士は路上ですれ違う時に挨拶する文化がある」と聞き及んだことがある。いや、ネット上でもそういう言説を見かけもした。最初は誰か知り合いかと思ってすれ違い後にあれこれ考えてしまった。半信半疑ながらそういうもんかと思うようになった今でも、対向車線を走るロードスターの運転手に筆者から挨拶することはしない。人は人、自分は自分である。

2022年秋、木枯らし紋次郎さんの990Sと

それにしても、なぜロードスターだけにそういう文化があるのだろうか。ロードスターという世間にとって不要不急の車種を相棒に選んでしまった人間同士の連帯感というのは筆者にもよくわかるつもりだが、ロードスターよりももっと珍車だったアルファロメオ MiToに乗っていた頃だって、MiToオーナー同士がすれ違いざまに挨拶を交すなんてことはなかった。しかし例えば駐車場でアルファロメオ同士が並んで(あるいはすぐ近くに停めていて)、たまたまドライバー同士が顔を合わせるとニヤッとしたり、時には言葉を交すこともあった。あれはなんていうのか、「お互い好きですなぁ」的な、一種のなれ合いであり選民意識みたいなものだったと思う。アルファ乗りもいろいろである。

2017年夏だから、
当スタジオMiToの最晩年ですなぁ

先日、あにまるの日産 マーチ12SRの助手席に乗って走っていた時、左隣の車線になかなかセンスの良いカスタマイズをしているNDロードスターが並んだ。ちょうど足周りのカスタマイズについてあれこれ考えていた時期だったから、もう遠慮なくガン見した(17インチに格上げして、良いタイヤを履いていた)。こういう時、筆者は本当に遠慮しない。見られてイイキモチになることが骨の髄までわかっているからだ。恐らく早々にオーナー氏は筆者の視線に気付いたと思うが、気付かないふり。しばらくペースの遅い2車線道路を並走して、とうとう筆者と目が合った。すかさず筆者はサムアップ。「良いタイヤ、履かせてますねぇ。しかもホイールのセンスも良い。よくわかっていらっしゃる」と目で語りかけたのである。オーナー氏は笑顔で12SRを追い越していった。こういうのはイイと思う。

小学生くらいの男の子に指をさされることもある。あ!見て!かっこいい!と素直に口にしてくれる。もちろんサムアップで応えている。その中のうちのひとりかふたりでも、将来クルマ好きになってくれたら嬉しい。

12件のコメント

  • NDでもその文化がありますか~。むかーしNAに乗っていた時はホントに頻繁にハンドサインがやり取りされてたのですが、(短い間だけど)NCに乗ってた時はほとんどそんなことがなくて、もうその文化は廃れてしまったものだと思ってました。
    あ、そういえば、なぜか道志みちでだけはロードスター同士が挨拶しているように見えたなぁ。でも124スパイダーは無視された…
    124スパイダー同士はたいてい挨拶してたし、たいていは知り合いだったっちゅう(笑)。

    なぜロードスター同士はあいさつしあうのか。たぶんオープンカーだから意思の疎通が取りやすく、お互いの表情をキャッチしやすいというのもひとつあると思う。ちょっとバイクに近いし。とはいえ、acatsukiさんご指摘の通り、こんな実用的じゃないクルマに乗っちゃってるオレ達って同類だよな、っていう仲間意識でしょうね~。

    • あ、NAから連綿とあるんですね、そういう文化が。まぁそうか。急にNCやNDで生まれるとも思えないし。124同士はたいてい知り合いってのは笑える。オープン界隈でもさらにマイノリティ的な。あ、でも首都圏と東北じゃ在りようがぜんぜん違うかもなぁ。近所の評判が怖くてBMWじゃなくてレクサス買う文化だから。
        
      世間一般に、「屋根が開く」「ふたりしか乗れない」ってのは意味不明でしょう(笑)。そういうのを選んじゃうオレたちって意識はあると思いますね。別にオレも挨拶すんな!と思ってるわけじゃなくて、同じ吹奏楽部なのに転校したら挨拶の仕方がまったく違ってて驚いた、みたいな感じです。

  • オートバイでは昔からありますね。ピースサイン。✌
    さすがに都市部ではほぼありません(あったら頻繁すぎて運転できないよ笑)が、ツーリングに出たりしたときとか。
    ビーナスラインでハングオン中に✌とかもあったなぁ。
    あれって山道ですれ違うときに、挨拶するのの延長かと思ってます。敵意はありませんよ、的な。
    でも、NAに5年乗ってたけど、✌は記憶ないなぁ。🤔

    • あ、確かに山道とか林道でガタゴト走っている時、よくすれ違うオフロードバイクのライダーさんから挨拶されるなぁ。もちろんこちらも返しますし、あれはこうなんというか、心細い山道で「あぁ!人がいたぁ!」的な嬉しさの発露みたいなところがあって、自然に返答できちゃいますね(笑)。
        
      やはりそういうツーリング先での文化が都市部へ染み出てきた感じなんでしょう。だとすれば納得もいくし。でもロードスター同士って、けっこういるよな。

  • こんばんは。すれ違いながらサインを交換することは北海道に行くと結構経験します。やはり、ヤッホーな感じに両方ともなっているからでしょうか。社会の分断が進む中、軽い連帯感のようなものを交換するのは、無くなってほしくないことの家の一つですね。
    幌を開けて走るようになる季節とともに、サムアップも増やしていきたいですね。

    • 北海道!都市部と郊外の落差が激しいところでは、アリなのかなぁ……。こっちもそれなりに気分があがっていないと、なかなかサムアップも出せないものです(笑)。

  • バイク乗りの方々のハンドサインは「ヤエー」って呼ばれるみたいですね。Yeah(イエー)のスペルを間違ってYaeh(ヤエー)にしたのが始まりとかなんとか。
    ロードスターのオーナーにはバイク乗りも多いようなのでそこから派生したのかも?

    ロードスターは恒例の軽井沢(31回目/1,000台程度)・オアシス(20回目/700台程度)に代表されるミーティングが4〜12月の間は毎月どこかでありますし、10周年毎の三次ミーティングなどの特別イベントもあったりするので、参加したことがある人なら尚更同族意識が高まりやすいのだとおもいます。
    オーナーズクラブ(ROJC)も年4回のクラブマガジンをずっと継続してるみたいです。

    124は原理主義者的には外装はもちろんだけど『心臓(エンジン)が違うから同族とは認められん!』ってコトなんだとおもいますよ。
    ロードスターは自然吸気派が主流なのでターボは邪道扱いされます。

    • なるほど、オーナーズミーティングみたいなのが盛んだから……というのは一理あるような。カングーもそうなんですかね。124のことといいターボ認めない件といい、ロードスター界隈は原理主義者が多いのかなぁ。ハンドサインは表裏一体の現象なのか……??
        
      わたくし個人としてはオーナーズミーティングって興味がないんです。 行けば楽しいだろうとは思いますが、同じ車種の中で集まってると、改造に金をかけたやつが偉いとか、希少モデルに乗ってるやつの方が……みたいな空気があるんだろうな、と腰が引けてしまうのです。まぁ自分の中の引け目が表層化するってことなんですが。

  • 4代30数年も展開しているとオーナーさんもかなりの数になると思います。
    私の勝手な推測ですが、その中に所属歴とかをステータスと考えている(勘違い)タイプの人がいて、集団内での立ち位置(そもそもそんなものは無い)を構築・向上させるために、自身の所有する初代NAを持ち上げる感じの与太話(それを所有してる自分が凄いって言いたい)をぶち上げて吹聴し続けてきたんじゃないかな?と。
    何処ぞの宣伝大臣も『嘘も100回言えば真実になる』って言ってますし。

    ロドスタのオーナーさんってちょっと真面目な感じがあった気が。だから後から入った人達が、先輩の話だからと間に受けてしまって定着しちゃったとか?
    走行性能とかはサーキットやジムカーナで実証されてしまう話なので嘘は淘汰されてしまうけれど、『初代NAに敬意を表す』的な宗教じみた話だとなんか否定しにくい感もありますし。

    • ひえーーー、おっかねえー。まぁ同じ価値観同士の人の中でそういう風俗を楽しむのは止めませんけどねぇ。もっと気楽にクルマに乗りたいです。

  • こんばんは。
    久し振りにコメントさせていただいております。
    昔、NAVIというCAR GRAPHIC誌の姉妹誌で三菱のディアマンテを特集していて、試乗記を読んだことがあります。リポーターが誰だったか忘れてしまいましたが、リポーター氏曰く、ディアマンテ同士がすれ違うと互いにゼロ戦のパイロットみたいに(日本)海軍式の敬礼をすると書いてありました。やはりゼロ戦を作ったメーカーなんだ、と実感したと。でもランエボ同士がすれ違ってもそんな話聞いたことないし、その話、ホンマかいなと思っています。

    • じゃあデボネアはどうなんですかね(笑)。お久しぶりです。お元気ですか。NAVIって今思うと自動車雑誌の態をしたファッション誌だったなぁと思います。夢中で読んでましたけど。「やはりゼロ戦を作ったメーカーなんだ、と実感したと。」んなもんライターさんの感想でしかなく、自動車評論にもディアマンテの評価にもなってないのが笑えますね。思えば自動車雑誌を読む視点も自分はずいぶん変わってしまいました。
        
      これはエントリーとして書くと物議を醸しそうだと思ってまだ手を付けていないジャンルの私見なのですが、三菱って自動車作らない方が良いと思うんですよ。正論としてはユーザーにとって選択肢が増えることは良いことだし、大きな会社だから技術者の母数もきっと多くて、結果的にすごく優秀な技術者の含有率も高くなるかもしれず、だからランエボとかデリカD:5みたいな突出した製品が「ひょこっと」でてきたりはします。しかし総合商社、引いては財閥母体の「一部門」でしかないことも確かで、結果的に自動車作りの依り代が無い。少なくとも私にはそれが見えない。デボネアに5ナンバーモデルがあるんですよ(もうないのか?<公式サイトを見る気にもならない)。それは三菱系企業の役付きヒエラルキーの中で、自分の上司が3ナンバーデボネアに乗っている場合、その下の役職の人は3ナンバーモデルに「乗っちゃいけない」という不文律があるので、そういう人用に5ナンバーモデルもリリースしていると。まったくユーザーを見ていない会社なんだな、と思っていたら例の三菱製ダンプカー走行中のタイヤ脱落死亡事件とそのもみ消し(ウチのせいじゃなく現場=ユーザーの整備不良ということにしたがった)事件。強烈なバッシングが起こってディーラーの人たちには本当に気の毒だと思ったけど、こんな企業の都合でやってる自動車作りなんてやめてほしいと思いました。強力なミツビシファンもいますから、その人たちは今挙げた例のようなことをどう考えているのか。でも興味なさすぎてネットを捕猟する気にもならんのです。
        
      コメントへの返信なのにクソ重いこと書いてすみません。

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