2023年3月25日・女川

「60代は口を出すな。50代は口を出してもいいけど手は出すな。一通りの工事が終わり町ができあがるのに最低10年、その町づくりを評価されるまでにはさらに10年かかる。その時に今の50代60代は責任が取れない。責任を持って町を担っていく若者に任せよう」(女川復興連絡協議会会長の発言)

東日本大震災を仙台で経験した人間として、毎年3月は津波の被災地を訪れるようにしている。イイヒト面をしたいわけではなく、とにかくどうにかして忘れないようにしなければならないと思うからだ。ただし3月11日当日には絶対に行かない。現地で本当に追悼する方々の邪魔をしたくないし、共感ビジネスの現場など見るのもイヤだ。そういう理由から例年11日から数日を経て走りに行くのだが、今年はあれこれあってすっかり遅くなってしまった。今年はたまたまweb上で見かけた冒頭の文章に感銘を受けたので(残念ながら引用ソースしか示せないが)、女川町へ行くことにした。女川からはR398で海沿いを北上。南三陸、あるいは石巻市大川付近で内陸に戻ってくる予定である。

筆者のこの被災地詣での日はたいてい天気が良くない。この日も曉スタジオ近辺は霧雨が降り、行く先々が曇天のままだった。だがそんなことはどうでもいい。8:30頃に出発。奇を衒わずに定番コースで女川へ。即ち仙台市から大和町・大郷町などを走り抜け、鳴瀬奥松島ICからE45三陸自動車道に乗り、石巻女川ICで降りる。

大和町定点観測地点1
毎度お馴染の大和町定点観測地点ですが……
大和町定点観測地点2
ここはE4東北自動車道の直下
真野1
梅の写真は撮れなかったけど、菜の花は撮れた
真野2
こちらも毎度お馴染、真野の田園地帯

11時前には女川港に着いてしまった。些少なりともお金を落としていきたいので、目当ての飲食店の開店を待ってうろうろしてみる。

女川港
女川の港だぜ!
シーパルピア女川
シーパルピア女川

昼食は超絶有名店にして牡鹿半島・小乗地区の大改造によって女川駅前に移転してきた「女川海の膳 ニューこのり」さんにて。開店時間11時の少し前に店に行くと、すでに10人以上が並んでいる。開店時間と同時にあっという間に店内に飲み込まれていったが、その人気ぶりに期待値がイヤでも上がってしまう。

ニューこのり
ニューこのりのまぐろ丼
本まぐろ丼 2,750円

筆者のオーダーは「本まぐろ丼 2,750円」。ご飯の大盛り、お替り無料とメニューに書かれており0.7秒ほど逡巡したが、普通盛りにした。結果それは大正解。満腹である。入口付近の待ち客に遠慮して、すぐ席を立つ。

退店してまだ11:30。R398を北上することにする。女川から北上川河口付近の大川地区までのR398も、微妙にだがどんどん改造されている。結果的に旧道となった以前のR398の内陸側に新しいトンネルが開通していたり、場所によっては道幅も舗装も見違えるようになっている。加えてスピード勝負ならE45が無料なのでそちらを使う人が多いのだろう。車影というものがほとんどない。

あっという間に雄勝へ。そのまま南三陸方面へさらに北上する。病身の体力を勘案し、大川地区から内陸に反転するつもりだった。しかし長面浦を思い出してしまった。小川さん、元気だろうか。

2021年4月13日のエントリー
プントエヴォで行く!牡蛎を買うなら小川水産で

復興工事らしいものは完全に終わったらしい大川地区を爆走し、長面浦を目指す。ひたすら平地に田が拡がっている。おかげでずいぶん距離があっても防潮堤や新規建設された橋がすぐに見えてくる。

長面浦

2年前に来た時(上記エントリー)は、直前の大きな地震のせいで法面が崩落し、橋は出来ているのに通行止めであり、旧橋を渡るしかなかった。この日、すでに旧橋は撤去されており、とても快適に浦の反対側に渡ることもできた。はまなすカフェ前にはクルマが何台も停まっており、どうやら会合が行われている様子だった。やはりカフェは再開しておらず、近隣地区の寄り合い所として機能しているようだ。それはそれで良いことだと思う。お邪魔しないようすぐに立ち去った。

長面

震災遺構大川小学校まで戻る。今度は北上川南ほとりのK30をひたすら西進する。毎度思うのだが、この大川・河北中学校付近までのK30が長い(笑)。延々と河辺を走る印象がある。大きな河川って素晴らしい。この日はトンカラ食堂(リンク先エントリーを参照)にも寄れず、あとは内陸部の2桁3桁県道を走り継いで帰宅するだけなのだが……。

ちょっと待てよ、と。いつもスーパーマーケットで売られている大福餅の詰め合わせ、あれを製造している大沼製菓は桃生郡にあるではないか。スーパーの和菓子コーナーで売られている大福と侮るなかれ。これが実にうまいのだ。皮とアンコの絶妙なハーモニー!とアホな表現しかできないが、そもそも大福は皮かアンコがダメなら共倒れのお菓子じゃないか。以前から大沼製菓の他のお菓子も食べてみたいと思っていた。あのやっすい大福詰め合わせは奇跡なのか?それとも必然なのか?まさに桃生郡を走っている今、試すべき時が訪れたのである。

大沼本舗
石巻市桃生町給人町東町119

今回訪れたのは販売店舗「桃生菓子処大沼本舗」さんである。派手ではないが清潔で動線の整備された店内には、やはり和菓子が所狭しと並べられていた。燃える!大福ももちろん購入したが、その他目に付いたものをあれこれ買う。自宅用と言うにはちょっと恥ずかしい量になってしまった。それなのにお会計は安い。あぁ、本当に正しく「町のお菓子屋さん」なのだなぁ。良い気持ちで退店。もちろん車中で大福をひとついただく。うまい。

そのまま西に進んでいたらうっかりR108に乗ってしまった。幹線道路も幹線道路、ペースが遅い。しかし青切符を切られたばかりの筆者は、少し気を引き締めて走るくらいでちょうど良い。そのまま涌谷町までR108を西進し、R346で南下する。鹿島台の町内を進み、農免農道で大郷町へ。あとは朝来た道を戻るだけとなってしまった。6時間/201km。女川や雄勝の海は相変わらず美しかった。そしてもうひとつ重大なトピックがある。とうとう6年越しのあの道路が開通するらしい。実走行の曉にはこれも必ずエントリーするのでお楽しみに。

4件のコメント

  • 今回のルートは私もよく行くところなので一緒に走っている感覚でした。桃生町の和菓子屋さんは知らなかったです。凄い情報をありがとうございます。そのすぐ近くのカフェには何度か行ってたのに…
    それと魔の峠、あ違った真野峠。そろそろですね。震災当時、雄勝中校長だった方から、そこをランクルで仙台に通った話を聞いていた私は是非とも当時の苦労を偲ぶためにも行きたいと思っています。まず、acatsukiさんのここでのエントリーをたのしみにしています。

    • 桃生町のカフェ??へー。最近仙台よりも北方面に良いカフェが次々開店していると聞いたことがあります。そして真野峠、レポートをお待ちください。速報としては「早く行った方がいいですぜ」。

  • こんばんは。本マグロ丼が超絶美味そうです。こんなのよく考えつくなあと思います。マグロをとことん愛しているからこその発想でしょう。
    さて、acatsukiさんに対抗(?)して本日三春の滝桜に行ってきました。妻を浜吉田駅近くの実家で拾って、常磐道、R115、霊山からK31、までい館経由K12,R349で行ってきました。天気が良くて満開の滝桜を見てきました。3年目にしてはじめて、快晴と満開に恵まれ、満足でした。それにしても、福島の方々の運転速度の遵法精神には驚きました。皆さん、きちんと守っていらっしゃいます。〇察もいないのに、しっかりと守っていました。道はどこも素敵なのに、残念、いや素晴らしいです。

    • 残念だったのか素晴らしかったのか……(笑)。滝桜はそもそも咲いてるところを見たことがないんですよね。ずいぶんな人出と聞いてすっかり行く気が失せてしまって。でも道々の桜もきっと素晴らしかったことでしょう。途中の道路のチョイスも魂が震える!

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