【どうしてそうなった?3連発】2024年奥多摩方面他・第二章

<概要>
車両リストにポルシェが掲載されている国立市のレンタカー屋さんにて、マジ試乗を試みるkikuchi大先輩のサポートメンバーとして、今年三度目の関東遠征に出かけた。関東組ことProfumo姐さん、H社長、しまの助さんも同道してくださる。試乗当日は朝早くから東京の奥地を走り回るから、仙台組は前泊・後泊ありの贅沢なスケジュールにしたのは良いが、結局毎日何かしら予想外の事態が発生する珍道中と相成った。なぜかメキシコ料理を食べることになったり、危うく不審者通報されかかった初日に続き、本エントリーではいよいよ試乗(に付いて行った)日の様子をレポートする。ポルシェのクルマはAMG C43の後釜足り得るのか。それは別の形で明らかになったのだった。

珍道中1日目 / 2日目(本エントリー) / 3日目

<意味のない試乗>
その日もほぼ快晴だった。宿の前のコンビニ駐車場に道案内してくれるProfumo姐さんの、この日はアバルト 124スパイダーが到着し、ほぼ同じタイミングでkikuchi大先輩と筆者が合流。H社長としまの助さんは青梅方面のランデブーポイントに直接向かう手はずである。最初に目指すのは国立市内のレンタカー屋さん。いざ参らむ!

と、勇ましく書いたが、実は前々日に絶望的な知らせがkikuchi大先輩に届いていた。試乗車種の話である。前日の晩餐会席上で、大先輩に明日の試乗車種を訊いてみた。というのもそのレンタカー屋さんにポルシェの個体は3車種あり、911、ボクスター、マカンだと訊いていたからだ。当然大先輩がC43の後釜に考えていたのは911(のカブリオレ)。今回の試乗ではフィクストルーフでかまわないとしても、スポーティーポルシェの実態を確かめるためには911か、せめてボクスターである必要がある。ところが当日宛てがわれたのは寄りにもよってマカンだった。なんじゃそりゃ。筆者に試乗車種を告げた時のテンション駄々下がりの大先輩の声が哀しい。訊けばそのレンタカー屋さんは3種あるポルシェ車両の、どれに乗りたいかは指定できないのだという。ポルシェという大枠は指定できても、あくまで客はお店が指定するクルマに乗るしかない。「ポルシェならなんでもいーだろ」という態度なのだ。バカ言ってもらっちゃ困る。AMG C43の後釜探しである。屋根の開くもっとスポーティーな1台を探しているのだ。最もそぐわないのがマカンであることは自明。「生憎と911のご用意が難しい状況になってしまいました……。申し訳ありません。代わりと言ってはナンですが、アウディ S6ならご用意できますが……」と言うならわからないでもない。マカンが駄グルマと言いたいのではなく、目的に完全に不適合なのだ。いやそもそも911とマカンを同列に考えるクルマ関係者がいることが信じられない。

マカンのお出まし

とは言え決まってしまったことなのだという。だからレンタカー屋さんに到着してもkikuchi大先輩のテンションは低かった。筆者とP姐さんはお店の前で待ちつつ「ちょwww ホントにマカンだよwwww 意味ねーwwww」と盛大に草を生やしていた。酷い随行者もいたものだ。仙台からわざわざ2泊3日のスケジュールで国立まで来てマカンである。哀しみは共有しつつもこりゃ災難としか言いようがない。本関東行最大の「どうしてそうなった」案件である。それでもP姐さん、奥多摩方面への経路を2通りピックアップ。下道で向かっても時間的デメリットは少ないが、この日高速道路を走るタイミングは往路しかない。それならということで我々はE20中央道に乗り奥多摩方面を目指すことになった。腐ってもドイツ車、高速走行性能も確認したいでしょ?という配慮提案なのだ。単に草を生やしていたわけではない。

マカンのお出ましを待つサポートメンバー

<魅惑のデモンストレーション>
E20で郊外に向かうにつけ、周囲の山々の春の色合いが素晴らしい。こりゃー水彩画の世界だなぁ。加えて快晴の空だ。初めて訪れた土地で爛漫の春を噛みしめるなど最上の贅沢である。と、オープン状態の曉号のコクピットで春に酔っていたら、なんと昨日に引き続き事故渋滞である。この日は日曜日でおそらく小仏トンネルあたりを発端にした自然渋滞もあったのだろう。そこへ来て事故である。約60分のロス。こうなると幌を降ろした曉号はタンニングマシンと化す。当然めっちゃ暑い。かと言っていつまた動き出すかも知れず、幌を閉めてしまうのももったいない。結局小1時間もジリジリと太陽に焼かれつつ、我々は這う這うの体で八王子JCTでC4首都圏中央連絡自動車道に分かれ、八王子西ICでK61に降りた。予定を少し変更して向かった先はH社長の会社社屋。休業日にも関わらず、現地では道中P姐さんから急きょ連絡を受けたH社長が出迎えてくださった。ランデブーポイントに向かう前にお手洗いを借りる。

kikuchi大先輩にマカンのファーストインプレッションを伺う。「絶対に買わない!!」イッセンマンエン近くもするクルマなのにスマホのワイヤレス充電すらできないとご立腹。「見切りは良いのよ。運転しやすいよ」だそうだが……。まだ試乗コースにも到着していないのに失格宣言。H社長の超大型機械(あれはなんという種類の機械なのだろうか。金属成型機??学校の教室よりも大きい)のデモンストレーションなど見せてくださり盛り上がる。P姐さんに「あのさー、しまの助さん待ってるから」と急かされる始末。男子は概ねこういう機械の魅力に弱い。

<イタリアンで舌鼓>

しまの助さんが待つランデブーポイントは、青梅市成木である。奥多摩エリアの少し北東の地。予定ではここで落ち合って奥多摩周遊道路などを堪能するはずだったのだが、遅れた我々を待つついでにそちら方面を事前調査してきたしまの助さんに拠れば「混んでて楽しくないです」だそう。基よりマカンじゃなぁ…… ←また言うか だが筆者はまず八王子からこの成木までの道のりに大感動していた。八王子のK61に始まりあきる野のK251、青梅のK45などなど。低い山地を縫うように走る生活道路なのだが、幸いそこそこのペースで走破できたのもラッキーだった。山寄りの土地だからこそ春の気配が濃厚なのかもしれない。別にわざわざ桜の名所を探すまでもない。ちょっと山方面に向かって走ればそれで充分。自分のクルマを駆り、知らない土地の空気を吸い込むことこそご馳走なのだ。感激である。

ランデブーポイントで談笑しているうちに昼食会場の予約時間が迫る。腹ごしらえという最優先課題を解決すべく移動を開始。20分程度で「古民家ひらぬま」さんに到着した。

古民家ひらぬま駐車場
古民家ひらぬま2
古民家ひらぬま1
面々
L→R 失意のkikuchi大先輩、議長席のProfumo姐さん、
サイドブレーキどうなったんだH社長、待たされたしまの助さん
料理1
料理2
デザート

このお店の魅力については、ここで筆者があれこれ書くよりも前記リンクの公式サイトをぜひ見ていただきたい。「こぉんな いぃところぉがぁ あぁるなんてぇ♫(ANGLER’S SUMMER/矢野顕子)」と思わず口ずさみたくなるロケーションと佇まいである。店内で席まで案内されるまでも、築100年超えの古民家ならアトラクションである。そして供されるピザもパスタもサラダもデザートもうまい。うまいうまいうまい。そしてテーブルを囲むのは顔なじみのクルマヘンタイ同士。もう楽しさMAXである(今年満56歳になる男性の表現としてはどうか)。満腹になって退店。名栗川河辺で満開となっていた桜並木を散歩がてらにみんなで堪能。

夢のような時間だったが、実は店内での食事中に風雲急を告げる情報が……。

<空手ではお迎えできないので>
実はこのマカン試乗会、最後はフィアット/アバルト国立に立ち寄り、P姐さんをいつも誑(たぶら)かしている悪の営業さんのご尊顔を拝するツアーというものが組まれていた。この営業さん、以前ボクスターを買った1ヶ月後の姐さんに「911の出物がありまして」と営業をかけてくる中々な人物(さすがの姐さんも「あんた1ヶ月前にわたしにボクスター売っただろ!」と呆れたらしい。結局その911を買った姐さんに我々は呆れたのだが)。いつも姐さんから新機購入のきっかけを聞く度に「そんな気が狂った営業さん本当にいるのか?(褒めてます)」と半信半疑だった我々。今回も「ちょっとみんなで顔見に行くからさ(意訳)」という姐さんに対して、「ドイツ車好きな方なんですよね(kikuchi大先輩のこと)?いや遠くから来ていただくのに私も空手ではお会いできないんで、アウディのSモノ、ご用意しましたんで。これエンジンV8ですよ」と。今度はkikuchi大先輩を毒牙にかけようとしているらしい。天晴れである。古民家ひらぬまでの食事中にそれを伝えられた大先輩は大先輩で、「なぬ?V8??え、それ見たいな。もうマカンなんかどうでもいいから早く行こうよ」とクモの巣に自ら突撃号令。


ちなみにしまの助さんのマカンの印象や如何に。「良く出来てると思いますが、同じくらいの性能をレクサスとかあの辺のSUVが達成していることを考えると、マカンじゃないとダメな理由がわからないですねぇ」と至って冷静なお言葉。

<長男ととんかつを食べる>
一方筆者は戻ってきたランデブーポイントでみなさんとお別れ。足利市在住の長男と晩飯を食べることにしており、この日の宿は佐野市内に取っていた。マカンのことは心底残念だが、早めに結論が出たことは幸いではあった。青梅市成木から佐野の宿までの所要時間は約3時間という予想。今度こそ早めに宿に入って食事前にひと休みしたい。アウディのV8エンジンを堪能しに行く皆様に別れを告げ、青梅市内K194やK28、K44を経て青梅ICからE20に乗る。残念ながらE20はいつ走っても退屈だ。便利は便利なのだろうけど。そして久喜白岡JCTからE4東北自動車道、佐野藤岡ICで降り当夜の宿「カンデオホテルズ佐野」さんへ到着したのは16時過ぎだった。

屋上に展望大浴場がある。混み合う前にと思い早速入浴。これが思った以上に素晴らしかった。そもそも明るいうちに風呂に入るのが大好きな筆者、10階建てのその最上階の露天風呂である。冒頭に書いたがこの日は佐野も快晴。さらさらの西日を浴びながら春風に吹かれつつ入浴する気持ち良さを想像していただきたい(とうとう表現することをあきらめ始めたわたくし)。首尾よく仮眠もできて、18時にホテル駐車場に長男運転するロドっちことNCECが登場。当夜は運転を長男に任せ、助手席に乗って目指すはお隣り館林市のとんかつ屋「福よし」さんである。

わざわざアウディV8エンジンを見送ってまでなぜ館林でとんかつを食べるのかと問われれば、「いつも長男に自慢されて悔しいから」と答えざるを得ない。実は曉スタジオには「おいしいもの」という家族全員が参加するクラウド上の共有画像アルバムがあるのだが、時折長男から福よしさんのとんかつの写真が流れてきて「ウキーッ!」となっていたのだった。積年の念願が今、叶う!

さらにチャラ味を増す長男
ロースかつ定食M判1,490円。
ごはんをお代わりする馬鹿野郎

福よしさんのとんかつを「ただこのトンカツが喰いたい」風に評するなら「中の上」、あるいは「上の下」である。今どきもっと肉質の良いブランド豚を供するとんかつ屋さんはいくらもあるし、食事中にどんどん衣が剥がれてくるのも大減点ではないものの気にはなる。だがそこが良いとも言える。まるで禅問答のようだが、とんかつのような庶民的な料理の場合、やや粗さが残る仕事が味わいを高めることがある。味というよりも「体験の質感向上」と言うべきか。福よしさんはそれを地で行くパワー系とんかつの店であった。

もう1軒くらい、例えばカフェでも行くか!と意気込んだのだが、館林市内、これは佐野も足利もそうだが、日曜夜の店舗閉店時間が早い!20時過ぎると街道沿いでもネオンの消えた店舗だらけになる。やっているのはファミレス、焼肉や居酒屋のチェーン店ばかりという惨状。残念だが撤退を決め、宿に戻る。睡眠障害で「眠れない・眠ってもすぐ目が覚めてしまう」筆者もこの旅行中はまだ眠れた方だ。やはり疲れていたのかもしれない。ベッドの中で「アウディ……V8……」と考えているうちに気絶したようだ。寄り道しながら帰る最終日のレポートに続く。

2件のコメント

  • こんにちは。馬鹿げたイベントにお付き合いいただきありがとうございました。マカンはアップ頂いた通りです。きれいさっぱりポルシェの未練を断ち切ってくれました。911に乗る必要も無しになりました。
    さて、RS5と聞いていたブツはS4でした。アバント。これは以前試乗したことがあり、私の好みには合いません。しか~し、お店に伺ってセールスM氏にお会いできたのは、大いなる喜びでした。お店もきれいで大きくて、想像以上の店構えでした。女性スタッフの制服までステキ!勿論ご本人も。
    案内してくれた3人とも超常連なので、まるで我が家のごとくのリラックス。そしてそれを受けるM氏の受け答えの絶妙さ。この呼吸にP姐さんもいつもやられるのかなあと嬉しく見ていました。
    仰る通り、わざわざ有名どころに行かなくても素敵な場所はある、と私も思いました。地元東北への見方も少し変わりました。楽しかったです。ご一緒いただいてありがとうございました。続編をお待ちいたしております。

    • いやいや「馬鹿げた」なんてとんでもありません!首尾よく911カレラが借り受けられれば、相当有意義な1日になったはずなのに……。
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      そうですか。S4、合いませんか。私が思うに、アウディの役モノは、理屈に則って果てしなく技術を重畳させて製品化するという意味で如何にもドイツ車という感じます。もしかするとkikuchi大先輩はドイツ車が好きなのではなく、ベンツの乗り味が好きということなのではないでしょうか。先日YouTubeのあるチャンネルで300Eの試乗動画というものを見ましたが、90年代半ばの大改革以前の「ベンツと言えば……」な要素てんこ盛りで私から見ても素敵でした。慌てて中古車情報を調べたりして。走行距離5万kmくらいで300万円台。維持管理にお金は出て行くと思いますが、なに、AMGのブラックシリーズを買ったと思えば安い物です。
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      Mさん、お会いしてみたかったですねぇ。多摩市、国立市方面はまた行きたいので、もしかすると……。

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