岩手県探訪シリーズ#4・東磐井大規模林道 豊饒の章

宮城県内陸部を2時間半以上かけてたどり着いた、岩手県は東磐井大規模林道。さぁ堪能するぜ!と走り出したは良いが、クルマを路肩に寄せたら繁った夏草に隠れた側溝にナナメに突っ込んでしまい、左前輪がバースト。走り始めて10分、まさかの積載車での帰仙という超絶トホホな案件の詳細書いたのがこちら。

岩手県探訪シリーズ#4・東磐井大規模林道 爆裂の章

こんなことでおめおめ引き下がれるか!厄落としも兼ねて東磐井大規模林道に再挑戦じゃ!と、バーストした翌々日の朝8:30過ぎに自宅を出発。やりなおしツーリングなので、往路は簡潔にしたい。定番コースで鳴瀬奥松島ICへ。E46三陸自動車道で北上し、小泉海岸ICでR45へ降りる。すぐ近くの交差点からR346で西進し、K218を北へ曲がる。実はこの区間もすごく風情があった。見直した。あとは林道入口からやりなおし。

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どうスか?見えるっスか?側溝が
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まぁこの角度からならね、見えなくもないよね
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シンプルにこう停れば良かったんだよなぁ……

自己弁護でしかないが、これ、側溝、見えます?見えなくても仕方なくないですか?交通の邪魔にならないよう最大限左に寄せようとしたのが命取りに……。ま、済んだことは仕方ない。魔のポイントにロードスターを停め、側溝を子細に点検。特に筆者がぶっ壊した形跡はなく一安心。積載車を待つ間停めていた路肩を通りすぎ、いよいよ東磐井大規模林道ツーリングのスタート!

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東磐井大規模林道の素敵さを証明する1枚

5月のレポートにも書いたが、ここんちの林道は、国内の林道、農道のおいしいエッセンスだけをぎゅっと凝縮したような素晴らしい道路だ。適度なコーナーとアップダウン、全線舗装済、広い道幅(ちゃんと対面2車線をキープ)、極少の交通量……。この日は曇天で一昨日よりも気温が低いが、ここはオープンで走らざるを得ない。スカーフで首元を、ウィンドブレーカーで上半身を、ヒーターで足下と指先を武装。サイドウィンドウもこの日は上げっぱなし。でも十分爽快だ。快適な道行き、延々と走る。

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東磐井大規模林道の素敵さを証明するもう1枚

5月は東に曲がり陸前高田市方面へ向かったR343を跨ぎ、さらに北上してみる。徐々に道幅は狭くなってきたが、それでも「林道」のイメージとはかけ離れた快適さ。やがてT字路でK10にぶつかる。迷ったがとりあえず左折してさらに北上。誰もいないスノーチェーン装着場で一旦停止。地図を見ながら行く先を考える。このまま西に進めば奥州市街地だ。奥州市!ということはR397でさらに秋田方面へ走れば、「栗駒焼石ホットライン」があるじゃないか!我ながら素晴らしい思いつき。さっそくK10で北西へ進む。

とにかく西に進みゃいいんだろ?と国土交通省謹製青看板にある「江刺」という文字だけを頼りに走る。土地勘ゼロの状態で闇雲に走るのは本当に楽しい。大東町内をゆっくり走り抜ける。ここもまた昭和で時間が止まっているような、昭和43年生まれの筆者には郷愁……というよりも、「あの頃はみんなこんな感じだったよなぁ」感満載の素敵な眺めだ。町の繁華街を抜けるといつの間にかK262に乗っていた。西に向かうと道は上り坂。どうも軽い山越えのようだ。ちらりと「冬季通行止め」看板を見かけた。

K262の冬季通行止め看板

10月下旬で通行止めはなかろう。ダメもとでロードスターを進めると、このK262が俄然おもしろい道で。印象としては宮城県最南の地・丸森の筆甫から福島県伊達市へ抜けるK102そっくり。すれ違いも難しい細い舗装路は左右路肩に落ち葉が山と積もっている。リアル峠越えの細道で楽しい。

K262の小黒滝
「小黒滝」なる滝の名所があった
K262
K262
さすが冬季通行止め有りの県道、
こんな区間もある

幸い道幅が広くなるまで対向車も来なかった。バーストから一転してこんな楽しい道路を1日に2本も走ってしまうなんて……。シアワセ過ぎてコワイ!再びR456などを経由しつつちんたら走ると、なにやら見覚えのある道路に……。あ!ここはK14じゃないか!いつも花巻や遠野へのメイン道路に使っているが、なんだー、ここを曲がれば奥州市だったのかー。奥州市・水沢には古くからの友人がいる。以前やっぱり花巻あたりから南下する最中に突然立ち寄ったら、仕事の合間の昼メシ時間で「突然来るな突然」と怒られたなぁ……。だから今日は寄らない(笑)。K251経由、水沢東バイパスという名のR4高架をくぐり、地面を走る本来のR4に合流する。ちょうど昼時。迷いに迷い、コンビニの駐車場でGoogle検索までしてみたが、これは!というお店は軒並みこの日定休日だった。がっかり。ご当地豪華メシはあきらめ、「吉野家4号線水沢店」さんに入店。

牛丼並盛・卵・おしんこ
紅生姜のターボ過給がどうしても止められない

「並、玉(ぎょく=たまご)、おしんこ」というフレーズは、ヨシギュウに入店すると自動的に口をついて出てくる。にしてもヨシギュウも変わっちまったなぁ。カウンターにおっさんばかりの頃は、あっという間に丼が出てきて、下手したらお店の滞在時間が10分もかからなかったことすらあったが、今はまるでファミレスだ。20年前の殺伐としたヨシギュウ店内の雰囲気も決して嫌いじゃないが、カップルや親子連れ、老夫婦が次々入店してくるのを見ていると、これはこれで仕方ない変化なのだと思える。

吉野家でモノノアハレを感じつつ、いよいよ復路に突入。まずは栗駒焼石ほっとラインだ!R397に乗ると、奇跡のような数キロ続く直線路をひたすら西進。まだ13:00だというのに、西日っぽい雰囲気。この日は午後になるにつれて天気はどんどん良くなり、いまやすっかり秋晴れだ。大好きなK37との交差点を通り過ぎるといよいよほっとラインへ。うっすら紅葉が始まっているダム湖を堪能。気の早い紅葉狩りのクルマがけっこういる。

R397
R397のひたすら続く直線
紅葉初期バージョン
おっと、もう紅葉……?
栗駒焼石ほっとライン1
ヒャッハー!
栗駒焼石ほっとライン2
栗駒焼石ほっとライン3
栗駒焼石ほっとライン4

焼石ほっとラインをするする南下すると、すぐにR342にT字路でぶつかる。右折すれば栗駒山方面経由の秋田県、左折すると再び一関市方面へ。今回はK49経由で宮城県栗原市へ南下したいので、左折して車列に紛れて進む。あ、このまま進むと、栗駒茶屋があるじゃないか!10月下旬でシーズン営業を終えてしまうので一か八か(ちなみにネットで調べればすぐわかる情報)。幸いシーズン営業最終日は10月31日だった!無事におだんご2串を購入。

栗駒茶屋
だんご
かぼちゃあんとあんこ。
かぼちゃ系のおかしに抗えない……

うまいよね、栗駒茶屋のだんご。本当は古民家を改装した店舗2階のお座敷でゆっくり食べるともっとうまいのだが、あそこはつい昼寝したくなってしまう。せめて日没前には帰宅したかったので、駐車場でむしゃむしゃ食べる。食べたら出発。思えばK49を南に下るのも久しぶりだなぁ。例によってというかやっぱりというか、自分以外にほとんどクルマが走っていない。するする走ってあっという間に宮城県栗原市へ。わざと田んぼの真ん中の道を走ってR457へ合流。トイレを借りるためにたまたま目に入った「栗駒山麓ジオパークビジターセンター」へ立ち寄る。

栗原北端
以前工事の交通整理のおじさんから教えてもらった極上田舎道
栗駒山麓ジオパークビジターセンター

廃校となった小学校のリノベーション物件らしいが、内装も展示物もなかなかに美麗である。どんなに展示内容が良くても、汚れがついていたり古くて煤けた展示ケースを使っていては魅力半減以下になってしまう。そういう公立施設が時々あるが、ここはそういう憂いは一切なし。またスタッフさんの対応もはきはきして気持ち良い。トイレだけ借りるのがもったいない施設だった。また来よう。

岩ヶ崎町内をR457で南に駆け抜ける。当然K17に乗り岩出山町へ。R47へ合流。実は陸羽東線西大崎駅方面に右折し、内陸部の田舎道をふらふらと走っていくと再びR457へ抜けられる。このR47とR457の間に広がる田園地帯を走るのが大好きで、岩出山方面からの帰路は最近ではこのコースばかり走る。お気に入りの宮城県畜産試験場を経由する。ちょうど夕陽があたる時間。この試験場の風景はまるで箱庭の北海道のようでお気に入り。この日は時間も良かった。

宮城県畜産試験場1
宮城県畜産試験場2

試験場から南下しつつR457への合流を目指す。思うのだが、さすがにここまでディープな生活道路だとよそものがうろうろしづらい雰囲気がある(対向車のドライバーから奇異の目で見られたりして……)。試しにナビを起動して画面を頼りに走ってみた。結果的に早かったのかどうなのかはっきりわからないが、ひとつ言えるのはナビの画面頼りで走ると、実走経験値にはあまりならないということだ。今回と同じ道をソラで走ってみろと言われても不可能だし、いつものふらふら走ってるコースの所要時間と大して変わらなかったんじゃないか。この辺は研究継続が必要だ。

R457に合流すると、あとはひたすら車列に紛れて南下するしかない。王城寺原で定点観測。大和町・南川ダムで夕陽を背景にロードスターの雄姿を撮影練習。思えば胆沢ダム付近から逆光撮影の連続である。難しい。

陸上自衛隊王城寺原演習場脇定点観測地点
陸上自衛隊王城寺原演習場脇の定点観測地点
大和町南川ダム
大和町南川ダム近辺で

16:40に無事に帰宅。今回の東磐井大規模林道行、のべ10時間/501km。初日の積載車に搭載されるまでの走行距離が121km、タイヤ交換で市内を動いたのが10kmだったので、リベンジツーリング自体は369km。ちなみに任意保険のレッカーサービスを利用はしたものの、レッカー代は無料で等級監査にも抵触しないとのこと。宿泊もレンタカー利用もなかったのは幸いだった。冬季を迎える2022年内の岩手県探訪シリーズは、おそらく今回の爆裂案件で終わりだろう。結局岩手県北には足を延ばせそうにない。来年の課題だ。

(了)

10件のコメント

  • おぉ!流石です。
    トラブルの後のナイスリカバリー!

    トラブル、それは神が与えて下さった試練なのです。
    こんな事でへこたれるようではクルマ好きを名乗る資格など無いと!
    言い換えれば…、そうです、神に選ばれたのです!
    これは忘れるべき悪しき不運ではないのです。
    クルマの神に感謝するべきなのです!
    そうです、積載車は神の使いなのです!!
    これでまた車への高みに一歩歩み寄れたのです。
    有難う神よ!有難うトラブル!!
    ぐわははは!!

    …こんな事言ってるからカミさんから「車に関して頭狂ってる…、というかただの根本的なバカじゃない!」とか言われちゃうんだなぁ~。

    • ただ爆笑。「根本的なバカ」は当たってると自覚しております(笑)。でもさー、厄落としは早い方が良いじゃないですか←バカ

  • 選ばれし者参戦!結果佳いツーリングになったようで何よりです!吉野家は全く同感ですが、今かつての吉野家の雰囲気は朝のコンビニで感じております。自分がほぼ毎日通勤途中に寄るコンビニは働くおっさん、お兄さんで埋まってます。買ってるものも大概タバコと缶コーヒーがデフォなので殺伐ぶりはなかなかです。でもそんな中に溶け込むのがまた良いんですよね!

    • いやぁ、ここでこんなに共感を得られるとは思いませんでした!そう!かつての吉野家にあった、ある種殺伐とした、言い換えるとプロフェッショナルに言葉はいらない的な、あの雰囲気が良いんです!いつもの時間にいつもの店に入り、いつものメニューを言葉少なに頼み、そそくさと食べ支払いを終えて退店する。これは美学ですよ、美学。
        
      その殺伐とした雰囲気で吉野家は経営破綻(でしたっけ?)したんで、今の姿は「吉野家が存続している」という意味では肯定するしかありませんが、どこかにあの雰囲気の店舗、まだ残ってないかなぁ。

  • こんにちは。リベンジがこんな、豪華2本立て!!この組み合わせは、頭に全くなかったです。そうですよね、出来るんです!うむー、またまた一本取られた。フルコースを一晩で2つ食べたような。でも胃もたれはしない。スタートをどこにするかで、もっと気軽に行けるかも。
    どちらも、メインにふさわしい道なので、一遍に走るアイデアは無かった。凄いです。いつも驚かされます。
    そして、栗駒茶屋本店、妻も画像を見て、行きたいと言っているので、来年の春に行きます。妻は無類のカボチャ好きなので、カボチャの餡に驚いていました。なかなか無いですね。本寺村は昔は骨寺村だった、由緒ある落人部落なので、こういう素敵なところが残っていても不思議ではないです。
    ほっとラインももうじき冬の閉鎖ですね。桜が咲いても、連休にならないと開通しません。しばしの我慢です。冬はいらないから、早く春になれ~!

  • 北から降りてくると、骨寺荘園跡で必ずクルマを停めて(ちょうどチェーン装着場があるんです)休憩します。その辺をウロウロ歩いてみたり。あの景色がずぅっと維持されていることが素晴らしい。今回は素通りしてしまいました。残念
      
    栗駒茶屋のかぼちゃ餡だんご、多分秋季限定メニューかもしれません。以前行った時はなかったメニューなので。なのですかさず発注してみた次第です。おいしかったですよ。今回は「大規模林道」「K262」「焼石ほっとライン」の3本立てだったなと、今は思います。K262も楽しかったー!抜ける先が奥州市ってあたりもポイントが高い気がします。

  • 吉野家の一説には私も同感です。
    ちなみに贔屓にしているタイヤ屋からは、
    パンク修理材はトレッド面の釘とかネジ程度の穴くらいにしか使えないとのことです。
    それはおいといて、#4では豪華なツーリングになりましたね。
    昼間の焼石ほっとラインはいい雰囲気ですね。
    今年は朝方だったので、次回時間を変えて走ってみようと思います。

    • 吉野家、アツいな(笑)!みんなお世話になったのねぇ。パンク修理材、剤?、確かに同じことを言われました。釘が刺さっていつのまにか圧が下がってる……なんて時ぐらいしか役に立たないよと。それでも持っていた方が良いとは思いますが、釈然としないですねぇ。ただロードスターの場合は予備タイヤを積まないことで軽量化につなげているわけですから、致し方なしと割り切ります、うん。←言い聞かせている
        
      焼石ほっとライン=胆沢ダム、確かに西側から陽が当たらないと、写真のような見え方にはならないと思います。でも朝方の景色もそれはそれで見てみたいなぁ。磐梯山や安達太良山もそうですね。基本的に太陽が背中側から当たっている時の眼前の風景は、本当に映えます。

  • 私もacatsukiさんに見習って、昨日同じところへ向かおうと思いましたが、前日は朝8時に出発しようとおもったら10時になり、向かっている途中急にモチベーションが下がり、泉ヶ岳へ行って戻ってきました(笑) 泉ヶ岳は今年は紅葉はあまり綺麗ではないですね。スプリングバレーへ行く途中の絶景スポットも工事の小屋が立っていて立入禁止になっていたり。

    • そういう精神状態の時に、無理して走らない方が良いと思いますよ!その選択は正解じゃないでしょうか。もっとも泉ヶ岳よりは遠くに行っても良かったんじゃないかとは思いますが(笑)。泉ヶ岳でも北側、大和町の旧升沢集落の方なんかは、そろそろ紅葉もキレイなんじゃないかなぁ。旗坂キャンプ場ってとこ。みいさんの黄色いクルマでも十分安全に行き帰りできますよ。

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