タイヤ選びに焦りは禁物・ダンロップ ヴューロ VE304
家人のシトロエン C3(B6系)のノーマルタイヤを交換した。ダンロップ ヴューロVE304である。選定経緯と最初の印象記をお送りする。
家人のC3のノーマルタイヤは、驚くなかれ2019年5月の購入以来一度も履き替えられていない。4年と60,000km。その4年のうちスタッドレスタイヤ期間が4ヶ月/年くらいあるとは言え、どう考えても交換は急務である。昨年あたりから家人をせっついていたが埒が明かず、ほぼ強制的にタイヤ屋さんへ連行したというのが真相に近い。購入店舗はタイヤ&ホイール館フジスペシャルブランド富谷WILD店さんである。
購入当初の純正タイヤはミシュラン プライマシー3で、公式サイトによれば低燃費タイヤと謳われている。筆者個人の感想は「エコ(低燃費)タイヤに分類されるタイヤなのに快適性重視の良いタイヤだったなぁ」である。製造国確認を忘れたが欧州だったのだろうか。同じ銘柄でもミシュランはアジア製造のものよりも欧州製造ものが明らかに高品質だと聞く。元より筆者の主力戦闘機NDロードスターに履かせたパイロットスーパースポーツ(米国製造)の印象が爆上がり中でもあり、訪店時の第一候補はミシュラン、取り寄せで数週間待ちなどの事情があれば次点はコンチネンタル、コンチも無ければトーヨーなどのかつてから好印象を持っている国産ブランドでも良いと思い定めていた。前述のとおり交換は急務、即日装着が大前提だった。
思えばそれがいけなかったのだ。
在庫がないという。ミシュランどころかコンチもトーヨーもファルケンも。205/55R16がそんなに特殊なサイズだとは思わなかった。在庫がある中で前述ブランドに近しい乗り心地・性能のタイヤ、かつエコタイヤ、ブリジストン除外を条件としておすすめを若い男性店員に問うたところ、しばらく在庫検索に待たされた上でヴューロを奨められた次第。
結論から言うと在庫品で当日装着して帰宅できるものはダンロップ ヴューロ VE304しかなかった。筆者にはダンロップタイヤは他ブランドの同等ラインと比べやや硬い印象がある。最上級製品ル・マンならようやく許容できるかなというのが筆者の体感。C3は特に柔和かつしなやかな足のセッティングが持ち味なので、ブランドを問わず高価なスポーツ系ならOKなどという単純な話でもない。「ダンロップならル・マンあたりを……」と言うは易し、だって即日装着が最優先、ル・マンの在庫はないのだ。
エコタイヤを除外という条件を付けてなお店員君が奨めてくれているわけだから、低燃費タイヤというわけでもあるまい。家人が最終決定して当スタジオのC3はヴューロ VE304を装着することになった。製造国日本/2023年9週製造。取り付け工賃、旧タイヤ廃棄代金、消費税等含め約83,000円/60,830kmであった。お店が奨めてくれたパンク保障は辞退した。辞退の理由は以前同店で購入した別のタイヤで発生したスローパンクチャー事案の解決が、あまりスマートではなかったからだ。
装着したヴューロ VE304の感想だが、細かいゴツゴツ入力が絶えない。心持ち直進時のハンドル保持に意識が向く……つまり直進がふわふわしている感じ。これは筆者がそういう感想を口にする以前に家人もまったく同じことを言っていて、正直な話当スタジオが求めるC3の理想像に合わない。疑念まみれで帰宅後ダンロップ公式サイトで調べたらまんまと「低燃費タイヤ」であることが判明。ニーチャンオレノイウコトキイテナカッタンケ?若い店員君は在庫ありの1点突破で奨めてきたようだ。「これ、エコタイヤじゃないよね?」と一言念を押せばよかった……。
今回の交換、筆者の反省は「タイヤ選びには時間をかけろ」に尽きる。純正のプライマシー3にまだ余裕があるなら入荷を待つこともできたのだが、とにかく焦りすぎである。また信頼できるタイヤ販売店に巡り合っていないことも致命的だ。なにしろ筆者にはタイヤに関する大した知識もないのだから。ネット販売で購入してシトロエン仙台へ送付させ、後日作業という方法も検討しないではなかったが、もはやシトロエン仙台に気安いスタッフがいない上に工賃がややエクスペンシブな印象があり見送った。この辺りも微妙な問題を孕んでいる。
文句ばかり書いているがヴューロを返品するとかすぐ履き替えることは考えていない。これはこれで貴重なモニター経験になるだろう。一皮むければ印象が変わる可能性もある……かなぁ。そんな都合の良い話あるか?まぁともあれダンロップが「最上級の静粛性、快適性、最高レベルのウエット性能を求める方へ」と言うのだから、勉強の意味で体験してみることにする。勉強不足を痛感するタイヤ購入だった。
ややこしい例えですが、いきなりミシュラン1つ星の味と同等の店をガイドも口コミも見ず探した感じですね。ダンロップ自体は間違いないブランドだと思うし、求めるものの違いもあるし、決して悪いタイヤではないと思うのですが。あとこの界隈の方はタイヤもグルメ過ぎて、皆さんのハードルも高いっす。
おっしゃることわかります。自分の経験値と勘だけでドンピシャなものを探しても、そりゃなかなか難しいですよねぇ。だから自分のスキルを上げることはもうあきらめていて(笑)、頼れるタイヤショップを探してるわけです。ブランドを信用しようにもブリジストンみたいにポテンザは素晴らしいがエコピアは大地雷みたいなところもありますから恐ろしい。
>>この界隈の方はタイヤもグルメ過ぎて、皆さんのハードルも高い
わはははは。タイヤグルメのみなさんからのコメントをお待ちしておりますー。
ふーむ、げにタイヤ選びの難しき哉。しばらくこれを履かなければいけないっていうのが痛いですなぁ。
NCロドのタイヤ交換が多すぎるので、最近は専らネット注文ばかりで、取り付けは「持ち込みタイヤ専門店」と店頭に大々的に謳っている「タイヤフィッター」さんでお願いしています。いやこれが実に便利。ネット注文の時に配送先をお店に指定し、到着予定日から2週間以内の日付で予約するだけ。一応30分の枠となるけれど、たいてい15分くらいでやってくれる。店舗でタイヤを売っていないので持ち込みでも気を遣わないし、作業がすんごい早くて助かる。
でもさぁ、調べると言ったってヒトの感想を見てもわかりにくいし、原則的に「試し履き」ができないから好みのものを見つけるのは難しいよね。値段で判断するしかないのか?と思うほど。とはいえクルマとの相性もあるだろうし。
それにしてもミネルヴァF205はお値段の割にグリップするよ。私にとってはよくないことだけど。ぶつぶつ。
仙台にはそういう業態のタイヤ関連ショップ、ないんですよねー。ファクトリーでもショップでも「ネットで買ったタイヤ届けさせるんで、脱着お願いしていいっすか?」を受け入れてくれるところは多いと思うので、逆にタイヤ専門店は今大変だろうなとは思います。
試し履きが仮にできたとして、タイヤだけでなくホイールも試乗印象の少なくない部分を担っているのでやっぱり評価は難しいですよねぇ。だから結局安牌なミシュランにしておくか……と(笑)。
>>ミネルヴァF205はお値段の割にグリップするよ
時々こういう嬉しいことがあるから、「オレは一生ミシュランでいい」とも言い切れない(笑)。嗚呼。
空気圧は使用時の条件に合わせた値になっているでしょうか?
C3の空気圧指定ラベルの画像を検索で拾って見ましたが
低負荷と高負荷で前後バランスが異なる指定になっているのが気になりました。
C3の使用状況的に、ご自分で空気を入れるなら低負荷を選択すると思いますが(勝手な想像ですけど大荷物を後席に積みっぱなしは無さそうなので)
ショップ側が安全策で高負荷用の指定空気圧に合わせていた場合、操縦安定性とロードノイズに影響がありそうです。
空気圧指定ラベルの画像を見ると
低負荷の場合は前230kPa,後220kPa指定で、重心が前よりになるFF車に良くあるパターンですね。
高負荷の場合は逆に前230kPa,後250kPa指定で後輪の方が圧が高い指定になっています。
高負荷用の空気圧にして、荷物を積まずに2名乗車したら
リアが跳ね気味になるため直進安定性が落ちそうですし
空気圧を上げた後輪に対して掛かるべき重量が不足するのでタイヤが適度に潰れずリアのグリップがちょっと落ちて路面の荒れ具合によってはロードノイズ増大、おっしゃるような乗り心地になりそうだな~と
空気圧指定ラベルの画像を見ながら想像してしまいました。
もしdenzouさんがご覧になっていたらきっとコメントをくださると思っていました(笑)!ありがとうございます。空気圧は平時の2.3+2.2barに合わせられていました。で、ご想像のとおり2名乗車+空荷状態の評価をエントリー内で書いています。
しっかし神経質なタイヤを履かせてしまったな……と思いつつ昨日も運転したんですが、また印象が変わっていて、交換当日のゴツゴツ・ビリビリ系の細かい入力はずいぶん角が丸まった印象になっていました。自分の勘違いかと思って家人に確認してみたところ「距離乗ったらちょっと変わって良くなった」と言っていたので、私の勘違いということでもなさそうです。ざんざん降りの中を走っていたのですが、ウェット性能はむしろ特筆したいくらいしっかりしていて、こりゃ訂正エントリーをアップしなきゃダメかもと思いました。ヴューロ、悪くないんじゃないか(笑)。
日本全国色々な場所でタイヤ交換をしているMotiです 笑
少し気になったのでコメントです。
そもそもミシュラン プライマシー3は、決してエコタイヤではありません。
一時期プリウスに採用されたこともあり勘違いが生じているのだと思います。
国内メーカページには、
「快適性と高速安定性を融合したアクティブコンフォートタイヤ」
とうたわれています。
確かに公式サイトに低燃費タイヤと記載のある表がありますが、
同じ表は、パイロットスポーツ 4 S、パイロットスポーツ 5にも存在しています。
一方、パイロットスーパースポーツについてです。
こちらは貴族のミシュランでもさらに上位貴族?になります。
タイヤの製法からしてプライマシーシリーズ、パイロットスポーツ5系とは異なります。
最新技術を惜しみなくつぎ込んだスポーツ/サーキット走行用がこのシリーズになります。
このシリーズでの良さを知ると、後の選択肢が厳しくなりますよ 笑
ちなみに少し調べてみましたが、
ダンロップ ヴューロ VE304もミシュラン プライマシー3と
同じカテゴリーになるのではないでしょうか。
結果としていい選択だった気がしますよ。
タイヤに関しては色々思うところが多いので、直接お話をしたいですね。
長文となり申し訳ありません 伏
タイヤグルメの方御成ぃーーー。もしプライマシー3が日本国内で言うところのエコタイヤでないとしたら、シトロエン本社やるじゃないか(にやり)。今回のことでわかってきたのですが、「エコタイヤ」と呼ばれる製品もピンからキリまで、魑魅魍魎、言ったモン勝ちみたいなところがあるように思います。自動車本体と同じでエコ、低燃費と言っておかないと売れない低能市場対策と同じで、このタイヤ履かせておけば夢のような乗り心地と低燃費が両立できますよと半ばハッタリで宣伝しているような(と書いてますが、自分の頭の中では断言です)。
パイロットスーパースポーツの説明をA.Sudさんから伺ったのですが、えーっと、パイロットスポーツの系譜じゃないんですよね。Motiさんおっしゃるとおりスポーツ走行用タイヤの系譜だとか。ま、そんな能書きもあったのでNDロードスターには、増してや17インチは重荷なんじゃないかと心配したのですが、そっちは杞憂でした。
単純に体感比べだとプライマシー3とヴューロ VE304は確かに似ています。雨天時にむしろグリップ能力が上がったようにすら思ったので、その点ではプライマシー3以上かもしれません。ただC3のパワステの味付けとの相性ってのも無視できない要素です。ヴューロを履かせたらハンドルが若干軽くなったような気がして、それは100km程度乗っても払拭できていないので、この組み合わせではこういう手応えになってしまうのでしょう。快適性もウェット性能も確かにサムアップなのですが、旋回時の前輪情報の描写力はプライマシー3の方が勝っていると現状では考えます。このように要素ごとに比較できるのだからヴューロもけっこう力作なのは認めても良いと思います。
ちょうど会社にVE304を履いたクルマがあったので観察しました。縦溝が深くていかにも排水性が良さそうですね。全体的なトレッドパターンの雰囲気はプライマシー3&4と似ている・・・というよりプレミアムコンフォートクラスのトレンドに沿ったパターンと言えそうです。「エコノミー」クラスのタイヤではないはずです。特に日本のタイヤラベリング制度は欧州の制度より恣意的な運用が可能な部分があり、全銘柄エコタイヤみたいに見えてしまうところはあります。
特に電動PSの場合(現在はほとんどの市販車が電動PSですが)、油圧PSのいい意味での「なあなあ」な部分が全部制御で作り込まれるので、超厳密に言えば「そのクルマ・そのタイヤ・そのサイズ・その空気圧」でのみ純正の感触が再現されることになります。銘柄変更での感触の違いは油圧より出やすいと思います。
ミシュランのパイロットシリーズはそこそこ長い歴史があるので世代・仕向地でそれなりのバリエーションが存在します。PSSの直系の先祖はPilot Sport PS2というモデルで、Motiさんのおっしゃるようにこの後に出たPilot Sport 3とは系譜が異なります。PSSの後継モデルが4S~S5になるのかな?といったところです。当時日本国内のカタログでは、唯一PSSが全サイズで希望小売価格(かなり強気のお値段ww)を明記して
おりました。その点をもって上位貴族のタイヤと言い切ってもいいですね(笑)。
※コメントがぶつ切りになって申し訳ございません。
>>日本のタイヤラベリング制度は欧州の制度より恣意的な運用が可能な部分があり
あぁそうなのですね、やっぱり。どうもね。ああいうの、消費者のためにならないばかりかメーカーの首も絞めてるんじゃないかと思います。「今売れなければ明日がない」というせっぱ詰まった気持ちはわかるのですが。
電動PS……のことを電子制御パワーステアリング、略してEPSと業界では書くことがあるようですが(じゃあ油圧式はオイルだからOPSなのか?)、非常に紛らわしくブログエントリーを書く時に「本当はなんと書けば読者に一番分かりやすいのか……」と悩みつつあれこれ書いています。それは置いておいて、なるほど「そのクルマ・そのタイヤ・そのサイズ・その空気圧」、設定時の諸条件が揃わないと純正の乗り味がわからないというのは頷けると同時に「クルマ好きほど純正値を味わいにくい」んじゃないかと苦々しく思います。タイヤ選びは楽しみのひとつだし、銘柄選定だけじゃなくサイズ選びや空気圧上げ下げしての乗り味変化のチェックなどはクルマ好きなら一度はやってみることじゃないかと思います。いろいろ世知辛い世の中ですなぁ。
すまぬ。昨年秋にacatsuki様と真逆のスタンスで、208をインチダウンして同じサイズの205/55/R16を履きました。タイヤはネットショッピング、タイヤの入れ替えだけをイデアル仙台さんにお願いしました(16,720円)。酷い客だ。イデアルさんは意外とタイヤの入れ替え(だけ)は安いと思います。銘柄は以前個人的にお伝えしたとおりです。とまれ、タイヤ選びに焦りは禁物であります。パンクが理由なら仕方ありませんけどね。
焦りは禁物ということは今回よーっくわかったのですが、じゃあ時間があってあれこれ考えても「下手の考え休むに似たり」になってしまうのが無知の辛いところ。あと単純に「在庫がないのでお取り寄せで○週間かかります」というお店の言い分を「いいっすよ!」と笑顔で受け入れられる時間の余裕が必要ですね。208のインチダウンは吉と出るイメージしかありませんねー。どうだったんでしょうか。
ちなみに油圧パワーステアリングは「HPS(Hydraulic Power Steering)」となるのが通例のようです。
※EPSもHPSもPとSの間に「A(Assist)」が入る場合があります。
EPSは操舵系のどこに電気モーターによるアシストが入るかでいろいろなバリエーションがあります。
純正状態のフィーリングが最良とは限らないし、時間が経てば技術進化で純正装着より良いタイヤが選べる可能性も広がります。タイヤ選びは大きなお楽しみでもあり、あれこれ考えてる時間が一番楽しいですね。上手くいかない時もありますが、それも含めてお勉強と思えば・・・
「なぜ油なのにハイドロ?」と思ったのですが、水圧・油圧を示すんですね、ハイドローリック。勉強になります!HPSを見たことがないのは、おそらくパワーステアリング登場時はHPSしかないので、パワステ=ハイドローリックという状態だったからでしょう。電子制御式が現れて初めてHPSと区別する必要が出てきたから……だと思いました。
純正が最高とは限らないとは意外な視点でした。考えてみりゃそうですね。それに中古車を買ったらすでに純正状態じゃなく、そこからスタートするしかないというケースもまた多々あるでしょうし。当スタジオのNDロードスターの場合は結果的にメカニズムと部品は純正でしたが、タイヤだけはダンロップ ディレツィアIIIだったわけで、(まったくの憶測ですが)ちょっと変則的な純正状態からのスタートになりました。現在のアドバンレーシング17インチにミシュラン PSSという組み合わせが「いいぜぇ!」と言っているのも完全に主観ですし、やっぱりメーカーがどう言おうが時には「そりゃねーだろ」と言える見識は持っていたいものです。勉強代が高過ぎますが(泣)。