【懺悔】ダンロップ ヴューロ VE304再評価

2023年7月初旬、家人のシトロエン C3(B6系)のノーマルタイヤをダンロップ ヴューロ VE304に履き替えたのは既報のとおり。筆者はそのファーストインプレッションでこのヴューロをあまり褒めていない。「細かいゴツゴツ入力が絶えない。心持ち直進時のハンドル保持に意識が向く……つまり直進がふわふわしている感じ。」はむしろ貶している側に寄っている。ところが装着から三週間が経ち、この印象がほぼ逆転しつつある。懺悔の意味を込めて再評価文を書いてみようと思う。

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まず最初に気が付いたのは雨天の夜間走行の時だった。直進の保持性が高く、旋回初期の情報量も実は多いのでは?と気付いた。ダンロップはヴューロのコピーで「最高レベルのウェット性能を求める方へ」と書いているが、それを裏付ける手応えじゃないかと。そこに気が付いてその夜はかなりタイヤの反応を気にしながらの運転になったが、そうなると筆者が装着後真っ先に気になった「細かいゴツゴツ入力」が無い。無いは大げさだが減っている。ゴツゴツ入力が無いので初めて直進が楽とか旋回初期が素直とか気が付いたというべきか。舗装路の避け難い細かいアンジュレーションは伝えてくるが、ゴツゴツというよりもゴッゴッと収束が早くなっている。あれ?タイヤの評価記事、早まったかな?と家人に「タイヤの印象、装着直後と変わってない?」と訊くと、硬い印象は無くなったという。

この一転して良化したヴューロの印象をどうやって言語化しようかと考えていたら、無意識にミシュランタイヤの印象と比較していることに気が付いた。これまで経験してきたパイロットスポーツ系、そして現在NDロードスターに履かせているパイロットスーパースポーツという狭い範囲での比較ではあるものの、ヴューロは「貴族のタイヤ」として崇めているミシュランと比較したくなる。特にパイロットスポーツとヴューロは方向性は似ている。ただヴューロの方がよりあっさり、よりあっけなく入力処理が終わる印象がある。ミシュランの味を知っているとそのあっけなさを硬いと錯覚してしまう向きはあると思う。ただコンフォート系タイヤとして描く像は両者とも近いというか、同じじゃないかと思う。その上での微妙な違いだからそれはもう「企業理念の違い」で済ませられる範囲ではないか。

簡単に言えばダンロップの方が入力の収め方がカラッとしており、それはミシュランに及ばないということではなくダンロップはこれで良いと考えているのだろう。スタッドレスタイヤを含めて筆者が経験してきたダンロップタイヤの全体的な印象とも齟齬がない。たまたまB6系C3の足周りとの相性も良かったのだろう。高い直進保持性、旋回初期の描写力が揃っているだけで儲け物だと思うが、加えてウェット性能も高い。繰り返すがこれらの能力がミシュランを遥かに凌駕しているというわけではない。若干の方向性の違いと僅差はある。だが購入価格は軽く5-6万円ほどヴューロの方が安い(2023年7月・仙台での購入結果より)。結果論だが当家のC3に程よいタイヤであった。タイヤ屋さんで相手をしてくれた若者のことを「こっちのオーダーを理解できない経験の浅いにーちゃん」的な書き方をして申し訳ない。あなたの推しは良い仕事をしている。

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この先注視していきたいのは寿命。良い履き心地でも半年1万kmくらいで履き替えとなっては如何にもコストパフォーマンスが悪い。そこまで極端じゃなくても3万km耐えてくれたら嬉しい。もうひとつ腑に落ちないのは製品情報の「低燃費タイヤ認証」。ヴューロを低燃費理由に購入する消費者はそれほど多くないと思うが、だとしたらダンロップブランドの中でもそこそこ上位につけるヴューロをそういう売り方しなくても良いのにと思う。今どきの非低燃費認定コンフォート系タイヤがゴリゴリに燃費を削ってくるとも思えない。だとしたら「低燃費タイヤ」のラベルは本気でそっちに性能を振った製品にこそ付けて初めて差別化できるのではないか。

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このブログの信用を著しく下げるエントリーであることは承知の上で、ダンロップ ヴューロ VE304、B6系C3には良い選択肢だと思う。

4件のコメント

  • タイヤのファーストインプレッションから時間が経過しての変化って、発信する方少ないので寧ろ有り難いです。評論家は大概ファーストインプレッション&いいことしか書かないし。個人的にはダンロップ好きなので嬉しいです。しかし日本車に仏タイヤ、仏車に日本タイヤ(もとは英?)の組み合わせ面白いです。

    • いやぁ、そう言っていただけると気持ちが軽くなります。ありがとうございます。仏+住友ゴムってのは、なるほど確かに概念的な道筋から言うと反射的には「?」ですね。私は現象から辿り着いた結論なので違和感を感じませんでした。入力処理がやや乾いた印象のあるダンロップが今回しっとり系を売りとする(事実かどうかはともかく)シトロエンとぴったり来たのは、B6系C3の足がとても良くできているからだと思います。街乗り用の足としてはすごく良い。もちろん振り回したりするのはかなりロールを伴いますが、どこかに段が付いてるわけでもなく、制止時から最大ロールまで実に自然に、漸進的進行カーブがあるのです。そこに乾いた印象のダンロップが来たので、特に舗装路上の振る舞いが好印象なんだと思います。
        
      一方でこれ以上刺々しい入力処理のタイヤはそれが余計に強調されるような気もするので、ヴューロはギリギリのベストバランスなのかもしれません。

  • 最初の印象から、C3にはいい方向になったのは良かったですね。
    A.Sudさんもコメントありましたが、
    日本の大人の事情過ぎる「低燃費タイヤ認証」には、やはり戸惑いますね。

    • 逆にあの初日、翌日くらいのガチガチ硬い印象はなんだったのかという……。言い訳にしかなりませんが、あのネガティブインプレッションもウソじゃないんです。装着から数日でこんなに印象が変わるタイヤも、考えてみれば体験するのは初めてです。これってダンロップあるあるなのか?それともオレがボンクラなのか……?
        
      今度大人な事情、伺ってみたいです。仙台市泉区近辺を走るご予定の際は(以下略)

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